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電気、熱、CO2 木質バイオマスのトリジェネレーション カーボンサイクルテクノロジー(11)

木質バイオマスを熱分解して発生するガスを燃料としてタービンを回して発電し、その時に発生する熱を利用し、おまけに排出されるCO2をトマトなどのハウス栽培のCO2施肥に使うトリジェネレーションの取り組みが始まった。ハウス栽培では、24時間365日電力が必要であり、冬期には加温用の熱が必要であり、作物の生育を促進するためにCO2が必要である。このため、灯油を焚くなど環境に負荷を与えるイメージがあったが、近年は薪ボイラを用いる農家もあるそうだ。

エア・ウオーター社は長野県・安曇野市のトマト栽培に、木質バイオマスのガス化発電方式による「トリジェネレーション事業」を開始するそうだ。森林組合から調達する未利用木材を活用することで、地域の林業振興に貢献するとともに、発電設備から排出される熱と二酸化炭素(CO2)をトマト栽培に利用することで、エネルギーコストの削減と収量増加を同時に達成できる。木質バイオマスを使うのでカーボンニュートラルであり、カーボンサイクルテクノロジーとしては秀逸である。持続可能な林業・農業に寄与することは間違いない。

私がこのシステムに注目しているのは、大気中のCO2をエネルギーに変換するのに樹木の光合成を使う点と、エネルギー利用で必然的に排出されるCO2をオンサイトで植物の光合成を使い食糧に変換する点だ。無駄なエネルギーやコストの投入が少ない。この二酸化炭素循環システムは最強だと思う。中山間地域で小型設備でも実用化でき、林業や農業との親和性が優れるため、地域活性化の救世技術である。


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