新技術と規制(リブラを巡って)

昔の郵貯、現在のゆうちょ銀行も、フェイスブックのリブラのように国債だけを持って送金サービスを提供していました。なので、資産構成だけを見ればリブラは新しいところはありません。

これまでのメディアの報道をみると、リブラの新しい点は、

クロスボーダーのインターネット・プラットフォーマーが提供する
利用者との契約が存在しない形で、発行体の一方行為として既存の通貨との安定的な兌換性を実現する暗号通貨という体裁を取ることで、金融規制のグレーゾーンをついて、負担の重い銀行規制を回避しようとする

の二点です。

リブラは新しい技術なので従来の銀行規制をかけなくてもいいという結論を導く場合は、「クロスボーダーのプラットフォームが従来の国別の銀行システムが持つ問題点を補う技術的特性を持つ」ことを証明する必要があります。そうでなければ、サービスを提供するために使う技術にかかわらず、サービスの内容に応じて規制がかかることになります。

銀行規制が重いのが問題なら、銀行規制そのものを変えるべきで、銀行規制を避けようとする新規事業者だけを特別扱いするのは間違いです。

この点は民泊と旅館の関係と同じであり、星野リゾート社の星野社長が主張されていたように、旅館業法に過度の規制が存在するなら、民泊のみの自由化でなく、旅館業法そのものを改正する必要があるのと同じです。

新しい技術への対応には、ふんわりとした期待感でなく、しっかりしたビジョンが必要になります。