中欧旅行記①:成田~ソウル

成田テイクオフは1330であるが、自宅を当日出発していては間に合わないため、千葉駅近くのホテルに前泊した。東京は電車も徐行するほどの大雨、千葉では激しい雷雨。なんなのだ、この門出は。

ずっと心にあったヨーロッパ旅行がついに実現した。3週間という長さも、バックパックというスタイルも、未体験ゾーン。どうでもいい情報を付記しておくと、ヨーロッパは我が家未踏の地である。

空路でお世話になるのは韓国第二の航空会社、アシアナ航空である。立派にスターアライアンスメンバー。ソウル経由フランクフルト往復で運賃は9万円くらい。日系航空会社の正規割引運賃が17万円くらいであることを考えると、破格といえるだろう。

1000頃には成田空港に到着。案内板の「出発」の文字に否が応でも心は躍り、顔はにやつく。

カウンターでチケットを発券してもらい、チェックインしようとしたところ、オーバーブッキングで次の便に移ってもらえないか、と頼まれた。あまり遅くなりたくなかったので迷ったが、「出発までラウンジご用意」と「キャッシュバック1万円」、とどめの「係のお姉さんの哀願」に易々と了承。そんな笑顔をされたら断るわけにはいくまい。ただ、チェックインの関係でどうなるかわからないから搭乗口で待っていてくれとのこと。

出国審査を受けて、搭乗口でぼーっとしているうちにボーディングが始まる。結局座席が足りたとのことで、ラウンジも1万円もはかなく消えた。まぁ、お姉さんの困った笑顔に免じてヨシとしよう。そしていよいよテイクオフ。さらば日本。

機内食は、白身魚をコリアン風(要するに辛い)に味付けたものとパンと蕎麦で、味は意外と良かった。この後の機内食でも毎食コチュジャンのチューブが標準装備されてきたが、これが韓国人の一食分の消費量なのか。シンジラレナイ。

1600ソウル仁川国際空港に無事到着。フランクフルト行きの便は明日1400出発、本日はソウルに泊まるためいったん韓国入国。アホみたいにとばすバスに乗ってソウル市は東大門市場近くの、日本から予約していったホテルを目指す。

東大門市場が終点だと思いこんでぼけっとしていたら、バスを降り損ねて、30分くらい歩いて戻る羽目になった。暑い、荷物重い。韓国語ばかりの雑踏に早々に気圧され、迷って警察に道を尋ね、ほうほうの体で目的地周辺に着く。この先大丈夫か。

東大門市場界隈は、ナウでヤングな店と雑然とした露店が混沌としていた。ファッショナブルな若者がたむろする一方で、秋葉原でも見かけないような古い計算機やらタイプライターやらを二束三文で売っている店がある。シムシティの、地価の上がりきらない商業地を感じた。

夕食を食べに街をうろつく。ソウルのことを何も調べてこなかったので、うまい店も有名な店もわからない。一見で韓国料理の店に踏み込む勇気はなく、雑踏の雰囲気に気圧されていたそのとき、ふと目の前に現れるケンタッキーフライドチキン。ああ、ここに入って事務的な注文さえすれば、安心して間違いなくうまいものが食べられる!ありがとうケンタッキー!ありがとう資本主義!

「いやいや、韓国に来てまでケンタッキーはないだろう」となんとか思いとどまることができた。危うい。がんばれ自分。

結局カジュアルな韓国料理店に入り、おすすめされていたシーフードヌードルを注文。出てきたそれは美味そうではあるが、とてつもなく辛い。汗腺から汁がとめどなく溢れ、テーブルのボックスティッシュをすべて消費し、店員さんからは心配された。しかし、隣のご家族は同じものを涼しい顔で食している。韓国人のカプサイシン耐性恐るべし。

ホテルに戻り韓国語バラエティを見ながらビールを飲み、早々に就寝。明日はアジア脱出である。

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