はじめてのたいしょく⑬

週一定例の部門MTG。
今日その会議で全員に向けて開示するよ、と次長から事前に知らされていた。

やっとみんなに知ってもらえる。

想像以上に緊張し、会議前から心音が大きく早く打つのがありありとわかる。
ずっとデスクに座っているだけなのに、
全力疾走した時のような早鐘具合。
息もあがらないし脚に疲労もないのに、心臓だけが別物みたいだ。

「思考はけっこうクリアなのに、自分めっちゃ緊張してるんやな。からだってすごいな。」

そんなことを思いながら、会議の内容に耳を傾ける。

会議の終盤、次長から全員へ向けて
私の退職が知らされた。
さらっと告げられるのかと思っていたら、丁寧に紹介して頂きちょっとビックリした。
そして素直に嬉しかった。

「みなさん、驚いて頂けましたでしょうか。
今回自分なりに考えて、退職を決めました。本当に長い間、どうもありがとうございました。来週の水曜日、9月30日が最終出勤日ですが、それまでの間、もうほとんど出社日がありません。今日含め、明日、日曜日、最終日のあと4日です。ですので、最終日を待たず、遠巻きにせず、達者でなと声を掛けてくださると嬉しいです。宜しくお願いします。ありがとうございました。」

拍手をもらって、一息ついた。
やっと緊張がおさまった。

嬉しいことに会議終了後からさっそく声をかけてくれる人達がいて、それぞれとわいわい話す。
しんみり声を掛けてくれる人と話すと、涙が滲む。

「え。やばい。立ち話でうるうるしてたら、最終日の終礼挨拶のとき、ぜったい泣いてまうやん。」

ハンカチとティッシュを、すぐ手の届くところに配備しておかなければ。

出勤日数  残り3日

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