はじめてのたいしょく⑮
はて。
頭では、
もう終わりだ、10月には部外者だ、毎日通っていたここにはもう入れない、この目でこの景色を見ることは無くなるんだ、とか色々言葉が流れるんだけれど、
感情は凪いでいる。
人と話すとうるうるしてたのに、今日は話していてもなぜか凪。
最後の日に、いっぺんに来るんだろうか。
それとも、退職して幾日か経った頃に突然にやって来るんだろうか。
さびしさとか、悲しさとか、そういった感情の類いが。
なんてことを考えながら仕事をする。
考えながらも時間を気にしている自分。
今日は、何がなんでも成し遂げないといけないミッションがあるからだ。
ちょくちょくおやつを頂いていた食堂のおばさま。
先日、退職することは伝えることが出来たのだが、そのときに、おそらく日曜日が顔を会わす最後になるだろうということで、必ず会いに行く約束をしていたのだ。
お昼前の食堂がまだ空いている時間を見計らって会いに行くと、ちょうど休憩中で、食堂のテーブルでごはんを食べている姿を見つけた。
声を掛けると、
「ちょっと待って。お菓子取ってくるからね。」
美味しそうでおしゃれなお菓子がたくさん入った袋を渡してくれた。
「こんなにいただいて良いんですか?!どうもありがとうございます。」
今までのお礼に、とても手触りの良いタオルハンカチを百貨店で買って来ていた。
が、もらっている方が多い・・・・・。
一枚ではなくて、二枚買えば良かった・・・・・。
休憩中だったので、注文待ちの人を気にすることなくお喋りできた。いつも一言二言を交わすだけだったけど、お互いに癒しになっていたという事実。
私はしょっちゅう食堂の終わり時間ギリギリにヘロヘロで駆け込み注文したりしてたから、目が止まったのかと思っていたが、
そうではなく、
「話かけやすかったのと、お菓子好きかなと思った」
あたりです。お菓子好き。めっちゃ好き。
すぐに餌付けされるタイプです。
お互い、連絡先の交換は言い出さず。
一期一会だな。
本当にありがとうございました。
ああ。
このあとさようならと言ったときは
寂しかった。
出勤日数 残り1日
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?