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『ロウソクの科学』ファラデー

「ロウソクが燃える」とはどういことなのか?

皆さん、ファラデーをご存知ですね。小学校の高学年で習う「電磁誘導」を発見したひとです。発電機も、モーターも電磁誘導を使っていますね。
彼は、イギリスの王立研究所の教授です。この本は、1861年末のクリスマス休暇に、ロンドンの王立研究所で催されたファラデーの講演(連続6回)の記録です。

この講演で、ロウソクを題材に、色々な実験をしながら、ロウソクが燃える謎を解明していきます。その過程で水素、酸素、窒素、炭素、そして二酸化炭素へと話が展開してきます。そして、酸素と二酸化炭素の関係から動物の呼吸や植物の光合成、化学実験からエコシステムまで話が展開されています。詳しい話しは、この本を手に取っていただくの一番だと思います。少しだけ触れます。ロウソクは、パラフィンという油脂が原料です。炭化水素のひとつの形態です。水素と酸素の反応があの明るい灯になります。

ファラデーとどんな人?

ファラデーは、ロンドン場末の生活保護をうけるような鍛冶屋の次男として生まれます。幼少期から家業を手伝い、小学生のときは製本屋の小僧になります。幸いなことに、その店主が理解のある人であることからひらけました。当時の小僧は、無給できびしい条件で文句いない環境が普通でしたが、この店主は、時間のあるときに製本途中の本を読むことを許しました。また、彼が寝泊まりする屋根裏部屋で理科の実験をすることを許しました。ある日、街角で見た科学講義のお知らせポスターが目に留まり、兄の好意でそれに参加することができました。また、製本屋のお客のひとりがきっかで王立研究所で公開講座を受講し、その後しんばらくして研究助手の募集に声掛けてもらいそこで働くよいうになります。

また、彼はていねいに日記を書く人で、ときには文庫本10ページ相当を書くこともあったようです。多くは実験のアイデアや実験過程と結果です。そのは、日々、自然の語る新しい声が記されているようでした。その中には、多くの新発見も含まれていて、そのひとつが電磁誘導です。

読んでみて・・・。

この6回の講演記録を読んでみて、ともかく言葉づかいが丁寧です。この講演の参加者が、ロンドンの市井の人たちやその子供たちだけなく、王侯貴族も参加する講義だったからかもしれません。いきなり化学の細かな話にはいるのでなく、ロウソクの種類(実物を見せて)を紹介、その原料は何かを説明します。そして、ひとつひとつステップを置きながら、進みます。燃焼過程の生成物についても、1元素ずつ話題のスポットを当てることで進みます。酸素、窒素、二酸化炭素・・・と。

このまま教科書にしてもいいのではないかと思う充実した内容であるとともに、ファラデーの科学への思い、自然への向き合う姿勢の真摯さが見えてきます。私はこの本をタイトルは知っていたのですが、この歳ではじめてこの本を読みました。もし、小中学校時代にこれを読んでいると人生が違っていたかもしれません。
是非、ご一読ください!

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『ロウソクの科学』
ファラデー 訳・三石 巌
昭和37年10月20 初版 
角川文庫
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2023/4/1 読了



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