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要再検査・要精密検査が怖い人へ

これまで、健康診断・人間ドックと説明してきましたが、

要受診・要再検査・要精密検査 等の再検査判定をされてふたたび検査をうける、もしくは病院に行かなければならない場合があります。
「もしかして癌かも・・・」こんな恐怖が頭をよぎります。
「そういえば、最近だるい?」など思い返すと、確かにすこしおかしかったかも・・・と思ってきたりします。

また、同じ怖いでも「もし病気となれば、仕事を頻繁に休まないといけない」であるとか、「毎年毎年、病院に呼び出され、塩分を控えろ・煙草をやめろ・睡眠を十分取れ、と指導を受け続けることになるのかなぁ」など、めんどくさいことになりそうな感じがして、ついつい検査に行きそびれてしまうこともあるかもしれません。

自分も20年前、要再検査と言われ・・・

そういう私自身も、20年前の27歳のとき、健康診断で血糖値が高いとの判定をうけ、再検査をしにいったことがあります。
さすがに健診結果で再検査ということで緊張し、会社を休んで検査に臨みました。
採血を行い、2時間ほど待たされた結果、「異状なし」ということで帰されました。

当時の自分は、(再検査になった場合は、何か悪い部分が見つかったんだ)と思っていたので、半日かけて採血だけで、しかも「異状なし」だけで帰されたことに大いに不服に感じていました。

みなさんは、要再検査・要精密検査 になった場合に、実際に病気が見つかる可能性はどのくらいだという感覚でしょうか。
当時の私は50%以上だと思っていました。

実際は、どのくらいの確率?

一例ですが、より緊急度の高い「要精密検査」の判定を受けた場合、どのくらいの確率で病気が見つかるか、「大腸がん」を例にとって見てみます。
厚生労働省(平成 24 年「労働安全衛生特別調査(労働者健康状況調査)」の概況)によると、がん検診受診者全体に対して、要精密検査の対象は、全体の
6.19%
その中で、実際にがんの診断を受けた人は
2.77%
です。実際には確率は、とてつもなく低いのです。

ベイズの定理

罹患率 0.01%の病気があります。この病気の検査方法は、実際に病気に罹患している人が、陽性と判定される確率が98%、逆に罹患していない人は、陰性と判定される確率が80%です。あなたがこの病気の検査を受けて、陽性と判定を受けました。罹患している確率はいくらでしょうか?

この場合、実際の確率は計算することができます。(ベイズの定理)
答えは  約 0.05% です
低いですね。
でも、自分がその0.05%に入っていないという保証もありません。

生活習慣病の場合

血圧については逆のことが言えます。血圧は簡単に上下します。健診時にいつもより血圧が高く、要受診になる方もいるかと思います。
再検査・精密検査で通常の数値に戻っていればいいのですが、
脳卒中や心筋梗塞をおこす「高血圧症」と判定されるには、血圧が下がらない状態が続いている場合です。
健診で何度か測り直ししたにもかかわらず、数値が下がらずに再検査・精密検査になった場合は、再検査・要精密検査で数値がギリギリでパスしたとしても生活を見直した方がいいでしょう。
血圧は自覚症状がないために「高血圧」であることに何も感じません。また静かに進行していくため、血圧の数値が高いことに納得できない人を健診現場で数多く見てきました。

再検査・精密検査をどうとらえたらいいか

再検査・精密検査の通知を受けたら怖れるなと言ったり、甘く見るなと言ったり、結局すれば(どう考えれば)いいのでしょうか。

「健診結果を見せて、分からないことは、かかりつけの医師に相談する」のが正解です。

私の考えとしては、
まったく、寝耳に水の病気の可能性(検査数値)
であれば、「ものすごい低い確率のもの」と認識し、本当に病気が見つかれば不幸中の幸いと考え、また、何も見つからなければ「たまたま何かの影響で変な数値が出た」ということで、また来年の健診で注意するということでいいと思います。

心当たりがある内容であれば(血圧・肝機能など)
たとえ再検査・精密検査をパスしたとしても、それに伴う病気を調べ、ほんの少しずつ改善していって、毎年の健診でその効果が表れているかを楽しみにするくらいの長期的に考えるのがいいと思います。生活習慣病と言われる類のものですね。

まとめ

せっかく受けた健康診断の結果ですから、再検査・精密検査を受けましょう。どんな病気にせよ、生活習慣にせよ、早期発見にこしたことはありません。
また、検査数値は毎年の変化を見ていくものです。1回で終わりということでなく自分の体のデータとして毎年チェックして、本当に病気が隠れていた場合は早期に発見できるとが、この「健康診断」を制度化した人たちの願いであるはずです。



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