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化学繊維が肌荒れを起こしやすい理由、そして天然繊維を使った匠の技の再評価と

Hummingbirdで作っている靴下は、コットン・リネン・ウール・シルクと言った天然繊維を贅沢に、ふんだんに使っています。化学繊維も利用していますが、必ず天然繊維の中に潜り込ませて編んでいるため、肌には当たりません。

天然繊維を使うことにこだわっているのは、天然繊維は化学繊維に比べてお肌に優しく、履き心地が段違いに違うからです。

ほとんどの衣料品(もちろん靴下も)には、多くの化学繊維が使われています。利用される理由について後ほど推察しますが、残念なことに化学繊維はお肌にやさしいとは言えません。

靴下を長時間履いていて、足首がかゆくなったり、お肌が荒れたりした経験をしたことがある方もいらっしゃると思います。そういったことが起こってしまう背景について、ご説明します。

化学繊維が肌に優しくない理由

1つ目は、化学繊維のほとんどが電気をため込みやすく、静電気を起こしやすい素材だからです。静電気が、肌にダメージを与えてしまうのです。

電池に必ずプラスとマイナスがあるように、電気はプラスとマイナスの両方があります。プラスとマイナスが合わさった時に、電気の流れが発生して、それが静電気に変わります。

アクリル、ポリエステル、ウレタン、ポリウレタンなど、衣料品に使われている化学繊維はマイナスをとても帯電しやすく、一方で人間の皮膚には、微量ですがプラス電気が帯電します。そのマイナスとプラスが重なることによって静電気が生じ、肌にダメージを与えてしまいます。

天然繊維と言われる麻・綿・シルク・ウールなどのほとんどが人の肌と同じ微弱なプラスの性質を持っているため、静電気が生じることが極めて少ないです。

2つめの理由が、化学繊維のほとんどの原料が石油でできているためです。

石油から糸にするまでの工程の中で、いくつもの薬品や物質を合成し始めて化学繊維が出来上がり、色んな種類の薬品が使用されています。敏感肌の方が痒くなってしまうのは、そういった背景があるからです。

最後の3つ目の理由は、主に靴下で利用されている化学繊維は糸の中に水分を保管しておく機能がほぼありません。保湿作用がないので、乾燥している状態が持続しやすくなり、乾燥によってお肌がかゆくなります。天然繊維は適度な水分を保つことができるので、保湿作用が働きやすく、お肌の乾燥を防ぐ効果があります。

化学繊維を活用する光と影

大手アパレルメーカーが化学繊維を活用する背景には、大きく2つの理由があると考えられます。

1つは単純に、最も安い繊維が化学繊維だからです。化学繊維の価格をベースにすると、天然繊維は素材によって価格差はありますが、およそ2倍〜7倍の価格差があります。

もう1つは、安定した生産を実現するためです。Hummingbirdで生産しているストレスフリーソックスは、染料の入り方、仕上げの工程で糸が縮む割合が気温や湿度で変化してしまいます。同じ規格で大量に生産する必要がある場合、これらのミリ単位での誤差の仕上りがあると、不良品となります。

それを職人の技術で対応するのが腕の見せ所でもあるのですが、化学繊維を使えば、熱処理で一定のサイズに固めることが出来ます。そのため、機械化並びに大量生産が可能になるという側面があります。

安くて、整形しやすくて、機械生産ができて、大量に作れるので、メーカーとしては願ったり叶ったりではあります。効率を求めていけば、労力は軽減され、コストも下がって利益も増すが、無駄を削り効率を求めたものは必ずその裏に消えてゆくものがあります。光もあれば、影もある。そういうことです。

エジプト綿を靴下で使う人はいなかった

ストレスフリーソックスで利用されている「エジプト綿」は世界三大綿の1つで、世界中で生産されている綿の4%ほどしかありません。貴重な綿なのでシルクと肩を並べて高価な糸です。

特徴としては、1本の繊維が長いため、強くしなやかです。きれいなツヤが出ます。染色もムラなくきれいに色が入るのもエジプト綿の特徴です。色落ちもほぼないので、長くお好きな色を楽しめます。繊維が安定しているので、毛玉にもなりません。

元々ストレスフリーソックスは、職人さんが「最高の素材で、最高の靴下を、自分のために作った」ものです。コスト度外視、縫製も、飛び目が一切でないように、編み機の速度を一番遅くして、ひとつひとつ丁寧に編んでいます。

量産したり販売するおつもりは無かったそうですが、運悪く弊社の代表がアポ無しで工場にお邪魔したことから、商品化させて頂いて販売することになりました。

幸か不幸か、立ち上げから最も良い素材と最も高い技術によって作られた、靴下に出会ってしまいました。たどり着いたクオリティに嘘をつきたくありません。作ってくださる職人さんも、私達アパレルメーカーも、同じ気持ちです。

Hummingbirdの靴下は、以下のページから一覧で見ることが出来ます。

もし、お買い求めになりたい方は、以下のネットショップにアクセスしていただければ嬉しいです。

〜使う人を想うものづくり〜 Hummingbird Project.



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