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小野不由美【ゴーストハント】

この秋は、ひたすら小野不由美を満喫している。

小野不由美さんは、大好きな作家。ジャンルはホラー作家……で良いのだろうか? ティーンの頃から、愛読し続けて三十年以上が経った。


一番最初に読んだのは、【悪霊シリーズ】。後に【ゴーストハントシリーズ】としてリライトされている。オカルトでありながら推理物。(かなり昔に、小野さんは、「推理畑の人から小説を習った」と語っていたエピソードを何かで読んだ記憶がある)。
その頃すでに、ちょっとばかり過敏であった私は、夢中になった。自分に起こることの解決には、全くもってならなかったけれど、お話の中で依頼が解決する度にすっきりしたり、もやもやしたり。そのストーリーは、回を重ねるにつれ怖さを増し……その「怖さ」を求める気持ちはエスカレートするばかりだった。

怖さの娯楽は、貪欲なのだ。

エスカレートする怖さへの期待は、毎回裏切られなかった。

そして、私の「まあまあ怖い体験」など、足元にも及ばなくなった。

⭐︎

私は、この夏からDVDの旧作借り放題システムを楽しんでいる。

一緒にDVDを観ている子供が「怖いのが観たい」と言うので、確か以前にアニメ化されたはずだと【ゴーストハント】シリーズを観ることにした。

ここまでを読むと、私はホラー映画好きだと思われるかもしれないけれど、実は大の苦手。ホラーやオカルトが楽しいのは活字の中だけで、特に映像が苦手。お化け屋敷とかもダメ。あの『びっくりさせられる感じ』が、本当に苦手💦 文字を読み進めながら、背中が薄寒いアレを味わうのが醍醐味と思っている。

……子供に小野不由美を布教したい気持ち半分、ストーリーの分からないホラーは見たくない気持ち半分からの(私にとっての)ベストセレクト。

【ゴーストハント】のDVD1枚目を観た子供の感想は、「あんまり怖くない」。推理物の面が強くて、オカルト感が薄いのだ。心霊調査事務所の所長が、ツラツラと心霊現象を科学的に説明してしまうので。

そう。ホラーの怖さは、「得体が知れない」ものに抱く恐怖感に左右される。

……一作目は怖くない。だが、若い頃の私が「マジで怖い」と思った『コックリさん擬き』と『迷路のような洋館』の話までは、頑張って欲しい。

私は「知らないストーリー」に怯えずにすむし、子供も回を重ねるうちに面白くなってきて、お気に入りキャラも出来、平和に楽しく鑑賞できた。『コックリさん擬き』のときには「今までで一番怖い」と述べた。ちなみに、洋館の話はさらに怖いのだった。

繰り返すが、私はストーリーを知っているので、怖さは半分である。このアニメ、小説を原作にした少女マンガのアニメ化のせいか、映像もほとんどグロくない。やっぱり、文字の方が数段怖い。文章は、人間の想像力を掻き立てるのだわ。

そして、アニメ最終話。

「え? もう終わり?」と、私を振り返る子供。

「……TSUTAYAはこれで全部だったし、ネット見てもアニメはここで終わりらしい」

正直私も「え?」だった。だって、まだ続きがあるはず。順番はともかく、『窓が潰されている家』と『廃校』のやつがあるはず。

腑に落ちないので、小説を読ませることにする。が、実家にあった私の本は、15年ほど前、実家を建て直すときに父によって綺麗さっぱり古本屋に売られてしまったのだ。

今さら悔やんでも仕方ないので、リライト版のゴーストハントシリーズの7巻(アニメ版最終話の後)を購入し、子供にあたえた。これが、『廃校の話』。

とりあえずはいいとして、『窓が潰された家』がない。リライト版のシリーズには、どれだけ見直しても入ってない。……アレも怖いんだよ……。違うシリーズを勘違いしてるなんてことはないはず。

腑に落ちなさすぎてネット検索してわかったのは、その話はリライト版には含まれていないので、中古を探すしかないということだった。

あの話だけカットされちゃうとか、アリ?

信じられない。

なので、あの話を探して、近隣の古本屋を時々覗いている。

絶版になると知っていたら、あの本だけは自分の手元に持ってきておいたのに……。



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