見出し画像

紅茶の味を思い出した

「私はコーヒー党だ」と堂々と書いた少しあとから、紅茶を飲むようになった。

朝食時には必ずコーヒーだったのが、ほぼ毎朝紅茶になった。

きっかけは、実家からけっこうな量の紅茶のティーバッグを貰ったこと。久しぶりに飲んでみたら、とっても美味しかった。

たまに気がむくと、頂き物の紅茶を飲むことはあったのだけれど、あまり美味しいとは感じなかったので、結果的に頻繁に飲むようにはならなかった。

久しぶりに「美味しい」と感じ紅茶は、トワイニングのレディ・グレイ。

複雑なブレンドの中の甘い香り。味よりも、この芳醇な香りに心を掴まれた。

これは、とっておきの時に飲む紅茶だと思った。

さすが、トワイニング。私がこの世で一番美味しいと思っているプリンス・オブ・ウェールズに匹敵するほど、好きだ。

嬉しいことに、実家から貰ったティーバッグの中には、プリンス・オブ・ウェールズもあった。

……土用保険にしたいけれど、それまで残っている気がしない。

いや、自分で買えばいい話なんだけど。

二十歳すぎのころ、あのマスターに出会うまで、コーヒーが飲めなかった。

みんながコーヒーを飲むようなときには、紅茶を飲んでいた。色々な種類の茶葉を集めるのが趣味だった。

その頃一番好きな紅茶のメーカーはトワイニングで、一番好きな銘柄はプリンス・オブ・ウェールズ。

茶葉では少しスモーキーなキーマンが好きなので、このブレンドはドンピシャ。

レディ・グレイで紅茶の味を思い出した私は、毎日色々な種類の紅茶を飲んだ。

いただきものの紅茶がいくつか、引き出しに仕舞い込んであった。

紅茶を飲まなくなっていた大きな理由は、紅茶を淹れる手順を面倒くさいと感じていたのだと思う。

本式に淹れるのなら、コーヒーだって手数はさほど変わらない。

でも、我が家のコーヒーはコーヒーメーカーに淹れてもらう。コーヒーと水をセットして、その間に数分他の作業をしていれば、出来たてのコーヒーが飲める。コーヒーメーカーの便利さの前に、お湯を沸かしてティーポットでお茶を淹れる手間を惜しむようになっていた。

我が家では、紅茶を飲むにはお湯を沸かすところから始める。私は電気ポットが嫌いで、ちょっとお茶を飲むためのお湯も、使うたびごとに沸かさなければならない。

そうして、毎日違う銘柄を飲んでいくうちに、以前のように紅茶の味がわかるようになってきた。……味覚が戻ってきたのだ。

コーヒーと紅茶を比べると、コーヒーの方が香りも強いし、味も濃い。コーヒーを飲み続けた結果、紅茶の味や香りを感じにくくなっていたのだろう。単純に、それが美味しいと感じられなかった理由だと思う。

毎朝のルーティーンをこなすうちに、紅茶を淹れることも、茶葉がひっかかるティーポットを洗うことも、面倒に感じなくなった。

朝は、なんとなくアッサムに手が伸びる。ルピシアのニルギリ・クオリティー(いただきもの)も美味しい。

ニルギリ・クオリティーが残り少なくなったので、注文しておこうかとネット検索したら、販売終了していた。残念だ。

次は、どの紅茶を飲もうかと、暇なときにはネット検索している。

パッケージの缶が素敵なのがたくさんあって、缶で選んでしまいそうになっている。

……私はいわゆる「ジャケ買い」で失敗するタイプなので、気をつけたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?