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未来の美術館

未来の美術館

東京都美術館のある日。展覧会休館日を利用して障害者のある方のための特別鑑賞会が開催された。参加者は1000人余。55パーセントは障害がある方、45パーセントが介助者という構成。
 いつもの展覧会より和やかなコミュニケーションがあちこちで立ち、これは、30年後の日本の風景だと思った。ゆったりとした鑑賞。介助者が目の不自由な人に、作品から感じた何かを伝えようとする声、ストレッチャーに寝たままの人が作品

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わかりあえる入り口

わかりあえる入り口

サトが10歳のときに書いたものをまとめた「うわわ手帳と私のアスペルガー症候群」を読んだ。本のなかで自らの病気の特徴をちゃんと語っているので、決して「発達障害」や「コミュニケーション障害」として分類されるものではなく、むしろ個性、違う文化を生きている人と思えた。

いま、10歳のサトと話をしたいと思ったら、初めて会う外国の人と話をするようにデジタルな思考方法でYES・NOをはっきりいう。静かな部屋で

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不便であっても不幸ではないマルチステークホルダーでつくる社会

不便であっても不幸ではないマルチステークホルダーでつくる社会

渋谷区主催の『超福祉の日常展』―従来の福祉の枠を超えて日常とつなげる、障害者やマイノリティへの意識のバリアを取り除く、などを目的として1週間で40名近い登壇者でトークセッションが行われている。(2015.11.10-11.16ヒカリエ8階)

その中で、認知症に取り組まれている富士通研究所の岡田誠さんの話をご紹介したい。認知症の人が隣にいる社会(2025年には65歳以上の5人に一人が認知症になると

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コミュニティデザインは社会福祉をめざす

2011.3.11東日本大震災以来、社会的に注目されている山崎亮さんの「コミュニティデザイン」の仕事。その山崎が率いるstudio-Lの10周年を記念したトークセッションに参加した(2015.10.12アーツ千代田3331、BIOCITY特集号発刊と合わせたコラボ企画)。ここで注目したいのは、山崎が、コミュニティデザインの仕事は社会福祉・社会教育につながってきている、と彼らの原点であるジョン・ラス

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人気の福祉事業所での1日ボランティア、言葉によらないコミュニケーション

人気の福祉事業所での1日ボランティア、言葉によらないコミュニケーション

通所してくる人が、一日中自由に生活できる人気の障害福祉サービス事業所arsnova(アルス・ノヴァ)が浜松にある。NPO法人クリエイティブサポートレッツが開設している。アルス・ノヴァの短いお盆休みの前日、気軽においでくださいという代表の久保田翠さんの言葉に甘えて、8月12日の9時~17時まで、1日だけのボランティアをさせていただいた。この時のことを書いておきたい。

理念「障害や国境、性差、年齢な

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10月27日、わたしのミッションの端をつかんだ

だれでも、小さな体験が連続的に起こって、モヤモヤしていたミッションが焦点を結んで言葉になることがあるだろう。今日言葉になったミッションは、「アートプロジェクトが社会福祉と融合し新たな社会基盤をつくる」である。

――つかんだ端をもう少し具体的に記しておきたい――

社会福祉と聞くと、限られた空間というイメージと同時に、税金で支える側と福祉を受ける側に分かれている感覚が、わたしの中にある。一方、人口

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