オノヨーコ

オノ・ヨーコの深い想いが伝わる都現美YOKO ONO FROM MY WINDOW

オノ・ヨーコ展(2016.2.14まで)は、東京都現代美術館の高い天井から吊るされた20個程度の竹でできた小さな虫籠からはじまる。小さな底面のメッセージがは読み取ることができない。私は、この「クリケット・メモリーズ」という作品に、1966年、ジョン・レノンとYOKOの出会いを思いだした。

ロンドンのインディカ・ギャラリーでのYOKOの個展。開催の前日、ジョン・レノンは、梯子を登って天井に書かれたYOKOの作品を虫眼鏡で見る。そこには小さな文字で「YES」とかかれていた。

「私の窓から」というシリーズのひとつ。遠くの緑がみえる窓際、日の当たる食卓の写真。そこにヨーコとジョン・レノンが向かい合って談笑している様子が白昼夢のように薄く重なっている。5枚の作品で、右側にいくとだんだんと画面が暗くなり、5枚目は日没した風景のように輪郭しかみえない。記憶の深いところに追悼、愛、が沈んでいくような感覚だ。

同じ手法で窓際に水のはいったコップとジョン・レノンが暗殺されたときの眼鏡を置き、記憶の深いところに沈ませている。ヨーコのジョン・レノンへの思いが映画を見た後に感じるように伝わってくる。

シンプルだからこそ強いメッセージ「WAR IS OVER! If you want it」。ヨーコとジョン・レノンの日比谷野外音楽堂でのクリスマスライブのあと、このポスターを参加者とともに掲げて東京駅までデモをしたHappyCrisutmas from John&Yoko。「ひとりで夢見る夢は夢かもしれないけど、ふたりのひとの夢は現実なのです。」というYOKOのことばを胸に刻む。

そして、命への抱擁、あるいは許し。We Are All Water(私たちはみんな水)という作品。「・・もし、・・・・、裸になれば、棺桶を調べたら、その窓の数を数えたら、心臓の鼓動を聞けば、・・・・あなたとわたし、・・・・、それぞれの間に大した違いがないかもしれない。わたしたちは別々の川からきた水であり、広大な海のなかの水なのだから。いつかみんな一緒に蒸発するのでしょう。」漆塗りの浅くてやや大きめのエビチャ色のお椀に3分の1ほど水がはいっていて、有名無名な人たちの名前が一つずつつけられている。「いつかみんな一緒に蒸発する」を可視化する。

キュレーター関直子が示す次の言葉「その出発点は、常に自らの声に耳を澄まし、かすかな気配をききわけ、シンプルな言葉のちからを通して、他者とコミュニケートする気持ちにあったのであり、現在までその態度は一貫している。」は、1933年生まれ、今年83歳のヨーコをよく表している。

グレープフルーツという冊子にまとめられたヨーコの151のメッセージの内の一つがチラシに印刷されていた。

EARTH PIECE Listen to the sound of the earth turning. 1963 spring









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