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二転三転?パワハラ疑惑で露呈した維新の会の党内ガバナンス

統一地方選が終わり、大躍進を遂げた維新の会に早くも大問題が発覚しています。大阪府議団の代表を務める笹川府議にパワハラ問題が浮上したのです。今までの維新の会ならこのような問題に迅速に処分を下してきたと思いますが、今回は二転三転する異常事態となっています。

党のガバナンスは一体どうなっているのでしょうか。

発覚した大阪府議団代表のパワハラ疑惑

統一地方選で大躍進を遂げた維新の会。初めて当選を果たした議員による不祥事などが発覚するのではないかと気にしていましたが、驚くべき疑惑が週刊誌に報じられました。

その疑惑は新人議員に関するものではなく、大阪維新の会の府議団代表のパワハラ疑惑です。

だが今回、笹川氏が「府議団代表にふさわしいのか?」と疑問視する声が地元関係者の間で上がっているという。話は2015年にさかのぼる。当時、笹川氏の地元・東淀川区選出の維新市議だったのが同年に初当選した宮脇希氏(36)だ。
中略
「しかし、宮脇さんは『笹川さんにパワハラやストーカー行為をされている』と漏らし、関係者に相談していました。笹川さんは当時独身で1人暮らしだった宮脇さんの自宅を深夜に訪れてインターホンを押したり、LINEや電話でひっきりなしに連絡していたそうです」(宮脇氏の知人)

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この疑惑を受けて、即座に維新の会は動きました。共同代表を務める吉村大阪府知事が報道について「内容はほぼ事実」とした上で、17日付けで党の横山幹事長による厳重注意処分にしたことを発表したのです。

この週刊誌報道から処分の発表までは良かったのですが、その後、二転三転する事態に発展しました。

被害者から相談を受けていた?

今回の疑惑の発覚は週刊誌の報道でした。しかし、被害を受けた市議が平成27年に当時の松井幹事長に相談をしていたというのです。

地域政党「大阪維新の会」の吉村洋文代表(大阪府知事)は24日、笹川理(おさむ)府議(41)が宮脇希(のぞみ)大阪市議(36)にパワハラなどをしたとする報道をめぐり、平成27年に宮脇氏から松井一郎幹事長(前代表)に相談があり、「つきまとい行為をやめるよう、松井氏が笹川氏を指導した」と明らかにした。府庁で記者団の取材に答えた。
吉村氏によると、当時、宮脇氏から「頻繁な連絡やつきまとい行為をやめてほしい」との相談があった。処分は求めておらず、指導後はそうした行為はなくなったという。指導については「被害者の意向に沿う形で判断した」とした。

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被害者の意向に沿う形で対応したとしていますが、被害者が処分を求めなければ、パワハラは看過できる問題なのでしょうか。

パワハラは社会的に問題になっていますが、社会的な問題だからこそ政党が率先して厳しい姿勢を示すべきだったのではないでしょうか。

そして、更に驚きの展開がこの問題には待ち構えていました。厳重注意処分で終わった問題のはずが、今になって除名処分を念頭に置いた検討が進められているというのです。

厳重注意処分をしたはずが除名処分を検討

軽い厳重注意処分、そして過去に被害者から相談を受けていた事実が明るみになったことだけでも驚きですが、吉村大阪府知事は政治家としてのケジメをつけることを求めているというのです。

地域政党「大阪維新の会」の吉村洋文代表(大阪府知事)は29日、所属議員へのパワハラを認めた笹川理(おさむ)大阪府議(42)について「政治家のけじめとして議員辞職するべきだ」と述べた。笹川氏は離党届を提出したが、受理せずに預かり、手続きに沿って処分を決めるとした。最も重い除名に相当するとの認識も示した。東京都内で記者団の取材に答えた。

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厳重注意処分が課された笹川府議でしたが、大阪府議団の代表を解職されるのでは辞任する形で退き、離党届を提出しました。

吉村府知事は離党届を受理するのではなく、処分を決めると語っています。一旦決めた厳重注意処分はなんだったのでしょうか。

厳重注意処分という当初の処分を決める際に、慎重かつ丁寧な事実認定はしなかったのでしょうか。

維新の会にしては珍しいドタバタ劇ですが、大躍進を遂げたあとにこのような党の姿勢を見せることは有権者の期待を裏切っていることに他ならないと思います。

松井前大阪市長という維新を創成期から支えた人物の政界引退は、維新の今後の党内ガバナンスに大きな影響を与えるのは必至ではないでしょうか。議席を増やし躍進することは否定しませんが、それと同時に党内ガバナンスもしっかりしてもらいたいと思います。

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