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Ein süßer Traum (ある甘い夢)


クリス、そしてルハンがグループから抜けてしまった。
ベクはテヨンと熱愛中で、テヨンはヒチョルに抱き締められて慰められて涙ぐんで、ミンくんは結婚するらしい。セフンちゃんは友達がプライベート写真をあげまくって友達のSNSが炎上。タオちゃんは路上で友達とハグ(?)していた。そして最近は変なヘアスタイルのおじさんと毎日一緒にいる。


クリスだって、ルハンだって、本当は離れたくなかったのかもしれないけれど、叶うならば、やっていきたい気持ちの方がずっと強かったと信じているけれど、それでも、"EXOで活動を続けていくこと"が彼らの一番やりたいことではなかった。
ベクとテヨンの報道のとき思ったのは、こんなにも打ちのめされたときにいたかったのは、彼女の隣だったのだということだった。
ミンくんの結婚で最も感じたのは、彼が今したいことは、結婚だったのだという事実だ。


脱退も、熱愛も、結婚も、私たちがどうこう言えると思うのは間違いなのかもしれない。

つらかったのなら脱退するのも仕方ない。そもそも、続けたくても続けられなかったのかもしれない。恋愛感情にまでファンが口を出すのはおかしい。アイドルだっていい年なんだから結婚くらい受け入れるべきだ。

私もそう思う。正論だと思う。

でも、私は脱退しないでほしかった。熱愛は隠してほしかった。結婚は今のタイミングではないと思った。

矮小で自分ばかりの感情だ。
私はどうしてそう思ってしまうんだろう。私は何になりたいんだろう。


この前ケーブルテレビでMAMAのMVを見て、思っていた以上に悲しい気持ちがこみ上げて泣けてきて、それはどこに由来しているのか考えたけれど、このMVを撮った瞬間は、みんなEXOで頂点に行きたいと思っていたんじゃないかなと感じたからだった。EXOはデビュー当時からだいぶ垢抜けてる子達だと思っていたけれど、今見るとやっぱり、身体は成長途中で細すぎて折れそうな子ばかりだし、表情も慣れてないし、全部が幼かった。
この、まだ四六時中練習室にこもってデビューを夢見ていた、運命に流される側の幼いかたちで、とうとうこの日を迎えて。そのとき頭にあったのは、これは私の勝手な想像だけど、やっぱりこのグループで上り詰める、ということだったのではないだろうかとどうしても考えてしまう。もちろんEXOは仲良しの子ばかりで集められたわけじゃなく、練習生期間も国籍もバラバラの、現代っ子気質の子ばかりが集まっていたから、EXOに執着というか、EXOを頂点に…って気概の子は少なかったかもしれないけど、ようやく掴んだデビューの形がグループであったからには、そのグループでトップにのし上がることを、このミュージックビデオに閉じ込められた6分少しの間は、望んでいたんじゃないかなと思うのだ。


あなたはいま何になりたいんだろう。私はいま何になりたいんだろう。


身体のこと、お金のこと、将来のこと。家族のこと。友達のこと。互いが平等に背負えないものに口を出すのは間違っている。

相手の人生に関与できる、自分の人生を背負ってもらえるだなんて思ってる子は、私みたいな一般人のファンには本当はあんまりいないんじゃないだろうか。みんなどこかで、相手と自分の時間軸が決して交わらないことを知っていて、でも一生懸命目を逸らしている。

だって現実はお腹いっぱいなのだ。
きらきらした夢の中に溺れていたい。
なんて素敵なんだろうと思える男の子の、綺麗な声や、踊りや、笑顔や、言葉が光の中で迎えてくれる。同じ年頃の男の子が運命共同体になって、様々なことを背負いながら笑い合ってもたれ合ってくれる。

それにどれだけうっとりしても誰も責めない。

優しくて格好いい男の子が、細くて可愛い自撮りが大好きな女の子と付き合ってるなんて、現実だけで十分なのだ。

夢の中にまでそんな現実を持って来てくれなくてもいいのだ。

EXOのクリスには会えない。あの星にルハンは二度と立たない。それがどれほど悲しいか、それがいかに星の墜落と等しいのか、きっと伝えられはしないんだろう。

汚い話をすると、私は台湾でやったロストプラネットに参戦して、その座席は代行にお願いしたのだけれど、そもそもの座席代を払って、あとはそれにプラスして払う代行手数料をより高く出した人から順に良い席が分配される仕組みだった。私は代行を使うのが初めてだったのもあって、本当に普通の値段しか払わなかった。それでも素敵な席だった。とても楽しかった。でも、ルハンがいなくなると知っていたら、私はきっと、もっと、びっくりするくらいのお金を出したと思う。あなたにお別れを言うためにすべての手段を講じただろう。


君たちは、どこで、何がしたいんだろう。

それがいつも分かればいいのに。嘘でもいいから、明確に共有できればいいのに。

すべて後から分かる。当たり前のことだけれど。


そう思いながら、今日もMAMA(音楽祭の方)にぽちぽち投票する。
毎日投票すれば、普通は一本のバラが二本貰えることを、私の好きなあの子は知ってるのだろうか。「Ein süßer Traum」ある甘い夢、を覚えているだろうか。私の中の最も素晴らしい記憶は、12人が見せてくれた去年の暮れのMAMAの、鬼気迫るあの晴れ舞台なのだけれど。



私はたぶんね、夢の中で、ずっとあなたに憧れていたいよ。




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