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「3.11音楽」というジャンルがある:RADWIMPSから佐藤那美まで

世の中に、愛を歌った曲は数えきれない。愛は多くの人にとって共通の経験であるが、それはそれぞれ異なっている。だからこそ、人はその愛を、歌詞にのせて、音楽として、表現したがるものなのだ。

3.11もまた、その時代に生きた者たちが共通に経験した、しかしそれはそれぞれ異なっていた出来事であった。家族を失った者も、故郷に帰れなくなった者も、歩いて家に帰った者も。テレビを通じて、津波の映像が、放射能の情報が、そして被害の甚大さが、世界中に伝わった。あの一瞬の出来事は何だったのか、死者を弔うために、人々はあの出来事を語った。そして歌詞にのせて、音楽として、表現した。

「3.11音楽」というジャンルがあるとすれば、そうした表現の集合であろう。もっとも、震災後の先の見えない不安のなかで音楽が信じるものとなったことは、「音楽の力」や「震災復興ソング」といった標語によって観測されてきた。そして多くのアーティストが「音楽の力」に賛意をしめした。

しかし、「3.11音楽」は、広くあの出来事を表現したものを包含する。そこには、人々を元気づけるものも、そうとは限らないものも、きっとあるだろう。それでも「3.11音楽」は、過去に目を向けることで、そこで傷ついた人々が、本当の癒しを求めようとする営みの集積体であるといえるだろう。


2022年8月30日の今日、双葉町の一部で帰宅困難区域の避難指示が解除された。約11年半ぶりであるという。

3.11は確かに過去の一瞬であり、しかしそれを人々が語り続ける限り、現在であり続けている。

そんな日に、「3.11音楽」のいくつかに耳を傾けてみることが、私たちに「あれはなんだったのか」ということを語らせてくれるきっかけになるのだろう。今だからこそ、何かを語ることができよう。RADWIMPSから佐藤那美まで。このプレイリストが役割を果たせれば、幸いである。

時間のあるときに追記を重ねていく。


1. Stephane Wrembel "Tsunami"

これほどまでに津波というものを表した音楽があろうか。

2. 宇多田ヒカル「桜流し」

映画から切り離して聴いてほしい。

3. EDEN'S CURSE "Children Of The Tide (Special Piano Version for Japan)"


4. illion「GASSHOW」

RADWIMPSというのはこれです。

5. Philip Sparke "The Sun Will Rise Again"


6. ZUN「未知の花 魅知の旅」

魅力溢れる東北の旅。その美しさを。

7. 「花は咲く」

8. 七尾旅人「圏内の歌」

そこには愛する街があるのだ。離れられない。

9. Malwina Sosnowski and Benyamin Nuss "Elegy for Fukushima"

10年目の哀歌。

10. Nami Sato "Arahama"

宮城県仙台市若林区荒浜地区、かつて津波が全てを飲み込んでいったこの場所で、新しく美しいものが、日々、生まれている。


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