【ep4】ギャラリーDより管制室へ【創作】※感想不要
■第四話
ギャラリーDの収蔵品NG13-d004 Salvaged Rubāīyāt
《サンゴルスキーアンドサトクリフのルバイヤート》
極秘裏に沈没船から引き揚げられたソレ。
帯びている魔力、呪いが危険水準値に達するため、
年一回の点検に市長相当行政監督者として、市長公安室参事官の
ジェイムズ・ヨツバがギャラリーDを訪れるが……
前後の話はコチラ
4話相関図
4話
◾︎1910年ごろに作成された宝石装丁本。
ルビー、トルコ石、トパーズなど約1000個の宝石と金箔で飾られている
◾︎内容はペルシア語の四行詩集《ルバイヤート》を19世紀末に詩人フィッツジェラルドが翻訳したもの
◾︎1912の豪華客船の沈没と共に海中に消えた……ものが100年後、極秘裏に引き揚げられていた
◾︎持主に不幸をもたらすと恐れられ、複製品も大英図書館蔵。時々博物館などで展示されている
※収蔵品NG13-d004↑
この宝飾本自体は存在し、タイタニック号と共に沈んだ事もシャーロット・M・スミス夫人の手記『Book Interlude』に載っている話だが、引き揚げられたという事実は実際には無い。勿論魔力も呪力も無いはず。
※収蔵品NG13-d005
↓勿論他の収蔵品同様、作中の存在である
◾︎咲郎の曾々祖父、色部英郎《ヒデヲ》氏が持ち帰ったとされる
十二世紀?のルバイヤートの羊皮紙手稿。
沈没間際に救命艇に乗る幼いリカルド・ミラ氏に託された(p4)。
◾︎長じて魔術師として大成したミラ氏が魔術による経年処置を発見。贋作と断じられた※
沈没船の行先、添え書きから色部氏が米国のM大学に再鑑定を依頼するつもりだったのではと推測されている。
◾︎なお、恐らくはキャンセル待ちでの乗船で、乗客名簿に無かった為、長らく行方不明扱いの色部氏の消息が此の手稿と添え書きで判明した。
※12世紀、オマル・ハイヤームに近い時代の手稿とされる古文書は20世紀に入ってから幾つか報告されているが、実際は贋作とされているものが多い。勿論、収蔵品NG13-d005↑は作中だけの架空存在である。
※デビッドの『無自覚の退魔』は3.5話参照
※デビッドの認識と祓う祓えないについては3.5話 参照
アラクネスが咲郎にもらったネイルチップは1話参照
Oct 16th 2019 完結
ヨツバ家・色部家・ミラ家系図
ドレスデザイン
※出典は後述のfurther readings 参照
Further Readings
◾️ルバイヤート関連
サンゴルスキーのルバイヤート関連の情報はネット上には多々あれど、なかなか鵜呑みにしたくないところで、出所がハッキリしている情報はこちらの本。大変にエキサイティングな内容です。
※現在新本での入手は難しいので中古か図書館をお勧め
特に本文中でのルバイヤートに関する言及はないのですが、口絵に著者が落札した宝飾装丁のルバイヤートがカラー写真で掲載されている(入手経緯などはむしろ前述の『ルバイヤートの謎』の方に詳しく載っています)
ただ、本書でのキャプション「サンゴルスキー&サトクリフで作成された1875年版の第4刷」は以下の理由で恐らく誤りと思われます。
・サンゴルスキーアンドサトクリフ工房の設立が1901年
・1875年ではサンゴルスキーもサトクリフもまだ未成年
・恐らく背表紙の1875は本文の『ルバイヤート(フィッツジェラルドによる英訳)』の 4th Edition の出版年
果たしてこの写真の本は何刷(何冊)めなのだろうか。
◾️ドレス関連
図解〜は今回のドレスデザイン出典とさせていただきました。
(ページ数などは設定図内に明記)詳しい、本当に詳しい。
Edwardian Fashion はいくつかあるエドワーディアンの本のうちでも以下の点で有難すぎる一冊
・ヴィクトリアンとのセット扱いではなく単独で扱われている
・写真、カラー図版が多い
・メンズファッション単独の項もある
・安い(特にAmazonで買うと他より安い 2019/9月現在)
・第一次世界大戦時の女性ファッションまで載っている(エドワーディアンの終焉)
以下も良かったです。特にタイタニック関連はエドワーディアン序論
本編とは最早ほとんど関係ないですが、面白かったです。
日本人乗船者の細野さんの手記全文公開はすごいですね。
行先のニューヨーク時間で止まった時計もこちらで知りました。
特にローズの母親役の方のインタビューで『コルセットをつけた瞬間に役に没入できた』と言った話は素晴らしいなと。
タイタニック号の乗客、乗員を題材にファッションを紹介する一冊。
文章メイン(詳しくて良い)ですが図版も意外と豊富で以下の特色が素晴らしい。
・メンズ、子供ファッションにも章立てしている
・エドワーディアンだけだと取り上げられにくい庶民のファッションが二等、三等船客として紹介されている
・乗務員やメイドの制服も紹介されている
Edwardian Fashion を見つける前にこちらを買ったら、おススメにEdwardian Fashion が出てきたんですよね(苦笑)でも次回はヴィクトリアン描くので問題ないです。オールモノクロですが、詳しい内容です。
◼️グレーターバリアーのモデル(テムズバリア)
モデルになった治水施設はこちら。カッコいい!
ちなみに55マイルロックのモデルはテディントン・ロックですが、こちらは実際には特に治水ではなく水運のための堰です。
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