ハンガリー医学部のシステムについて。

はじめまして。Debrecen大学在学中のAです.。゚+.(・∀・)゚+.゚

私たちは今のところ5人のグループでこのノートを運営していまして、セゲド以外の3大学はメンバーに入っていますので、各大学を比較しながら様々な情報をお伝えしていけたらいいなと考えています。(セゲドの方もいずれリクルートできたらと思っています…!)

ハンガリーには4つの大学に 外国人用の英語プログラムがある医学部が存在します。
第1回目の今回は、4大学に共通するシステムについてお話したいと思います🥰
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【大学名, 都市名】
○ Semmelweis university (首都, ブダペスト)
○ University of Debrecen (デブレツェン)
○ University of Pecs (ペーチ)
○ University of Szeged (セゲド)

地方都市は3都市とも、ブダペストまでだいたい電車で2時間半〜3時間くらいの距離にあります。
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【授業プログラム】
デブレツェンだけは他の3大学と1週ずれますが、プログラムの週数としては昨年から4大学共通となりました。
1 semester(学期)は14週間の授業がある期間と、7週間のfinal exam period を合わせた21週間となっていて、これが前期と後期で1年となります。
7週間のexam period, 日本語でいうと期末試験のようなものですが、この期間には授業がありません。(ちなみに4,5年生に関しては、この14週間が10週間の座学と4週間の病院実習に分かれます。**)

**[追記]
4,5年生は10週の座学+4週の実習、というのはメンバーに確認したところデブレツェンだけのようです。
ペーチは14週間すべて座学であり、授業内で患者さんのところに行くことはあっても、授業なしで丸一日病院実習というのは夏季実習*(後述)のみなんだそうです。
センメルワイスは今年からシステムが変わったようで、14週間という概念そのものがなくなったようです。1学期2学期という括りもなくなり、科ごとに1-4週の実習+1週の座学+テストがあり、終わったらまた違う科が始まるという感じだそうで、日本のポリクリと似ていますね。
ちなみにデブレツェンも6年生のみこんな感じです。違うのは自分で受ける科の順番や時期を決めることができる点ですね。

6年生は全部自分たちでpracticeとテストの日程を組みます。これはどの大学も同じだと思うんですが、デブレツェンは4,5年でblock practiceがある分 この6年での実習が他の3大学に比べて2週間ほど短いようです。6月卒業*(後述)を目指すためには出来るだけ早く実習を終わらせる必要があるので、少しだけですが短いのはありがたいです。センメルワイスは実習の制度が今年から変わったため、もしかしたらデブレツェン同様 短くなるかもしれません。

【夏季研修について】
ハンガリーでは日頃の授業での病院実習とは別に、夏休みを使って行う夏季研修があります。
*看護研修 4週間
(2年生が終わるまでのどこかの夏休みに行う)
*内科研修 3週間
(3年生が終わった夏休みに行う)
*外科研修 4週間
(4年生が終わった夏休みに行う)
以上、3種類があり これはハンガリーに残ってやってもいいし、日本や他の国の病院で行うこともできます。
日本で行う場合は 事務局と提携している病院がいくつかありますので、そちらに行ってもいいですし、自分で病院に直接applyして許可がおりれば そちらの病院でも大丈夫です。
ハンガリーでも日本でもない国で行う場合は少し手続きが面倒なようですが、例えばその国に友達がいれば比較的簡単に受けられるようです。先輩にはナイジェリアやドイツ、アメリカで実習をしたという人もいます。

【卒業時期について】
先程 6月卒業と書きましたが、ハンガリーの大学では4大学とも卒業の時期を3つから選ぶことができます。6月, 9月, 12月卒業があり、自分の実習やテストの捗り具合によって卒業時期を自分で決められます。
日本の国試を受けるにあたり、卒業した年度の2月に国試を受けるためには、6月卒業でなければ受けられません。
厚労省が行う、日本語での模擬診察の試験に合格して初めて 日本の医師国家試験の受験資格を得られるのですが、この模擬診察試験のapplyが7月なのです。その前までに卒業していなければなりませんので、6月卒業のみが半年後の2月の国試を受けられる というわけです。9月卒業, 12月卒業の場合は、次の年度 つまり約一年半後の2月にある国試を受けることになります。
事務局は6月卒業をとても推してきますが、私個人としてはどの時期に卒業しても変わらないと思っています。むしろ9月, 12月の方が日本語で勉強し直す時間がきちんと取れますし、病院見学に行く時間もとれます。USMLEを受けるためにわざと12月卒業にした という先輩もいました。最短で医者になりたいのであれば6月卒業ですが、9月,12月卒業にもいろいろメリットはあります。

【final exam について】
1科目につき、3回まで試験を受けることができ(A, B, C chance)留年科目*(後述) においてC chanceでも落ちてしまった場合はその時点で留年が確定します。
試験を受ける日程は、各科目のdepartmentが定めた日程の中から、自由に選択することができます。(日程を登録することをregistration といいます。)ただし1日の定員が決まっている試験がほとんどですので、生徒間で争奪戦となります。
(written examの場合は50-100人単位でregistration が可能ですので、席取り合戦にはなりづらいですが、finalの試験はほとんどがoral examであり、1日あたり10-15人が定員の試験がほとんどなのです。)
この点は日本の医学部とは大きく違うシステムでしょう。日本の場合は、日程は全員同じ日で、それに落ちると再試となりますが、その再試の日程も先生から伝えられると思います。
自分で自由に試験の日程が組めるため、逆に延ばそうと思えばいくらでも延ばせてしまいます。従って「試験を受けに行く勇気」というのも必要になってくるのです。ずるずると先延ばしになってしまい、結局全部の試験を受けられずに留年が決定してしまった、という人もいっぱいいます。

【留年科目について】
ハンガリーの医学部では、教科ごとに、前学年のこれこれの科目がとれていないと、この科目が履修できませんよ、という決まりがあります。
参考までに3年までの履修科目表を載せておきました。(ただしこれらはデブレツェンのものです。各大学のHPでその大学のものがダウンロードできます。)表の1番右側にある、prerequisites of taking the subject というのがこれに当たります。
例えば、2年の前期「anatomy, histology, embryology II」という科目は、1年後期の科目である「cell biology」と「anatomy, histology, embryology I」という2つが合格できていなければ履修できない、ということになるのです。
このように次の学年のprerequisites に含まれる教科を私たちは留年科目と呼んでいます。
例えば1年後期の「genetics」という科目は、2年のどの科目のprerequisiteにもなっていませんので、留年科目ではありません。
これはfinal期間において、どのような順番で試験を受けて行こうか、と戦略を立てる時に大切です。大半の生徒は、留年科目でない科目は後回しにします。
(でももちろんその学年で受かっておいた方が楽になることは間違いありません。留年科目でないとはいえ、後に回すと上の学年で受けなくてはならない試験が増えますので、後々キツくなります。)
どの科目が留年科目になるかは 大学ごとで異なります。

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【1.5年生?2.5年生?ハンガリーではありえます。】
日本の医学部では今、1つでも必修を落とすと留年が確定し、留年した場合には受かったはずの科目も全部やり直し、という大学が増えているみたいです。
ハンガリーでは違います。一度受かればやり直す必要がありません。その分たぶん受かりづらいシステムになっているのでしょう。
うちの大学では2年の解剖学や神経解剖学といった解剖系の科目が1番きつく、1番受かりづらいです。一昨年は神経解剖学で約半数が落とされて留年しています。(実はそれで外国人の自殺者が複数人出てしまったのですが…)
例えば1年生のときに、「anatomy, histo... I」という科目を落としてしまったが、それ以外は全部受かったとしましょう。
2年生では「biochemistry」という科目がとれるので、前期にIを履修、後期にIIと 1年のanatomy を再履修し、次の2回目の2年生で「anatomy」と「physiology」を終わらせる、ということになるのです。
2年の科目はどの科目もめちゃくちゃ重いので、2回に分ける というのも戦略の1つではあります。もちろん留年せずにストレートで進めるのが1番だとは思いますが、分けた結果知識がより深くなったという人たちもたくさんいます。

【oral examについて】
1年生ではwritten exam(筆記試験)の科目もありますが、2年生以上ではほとんどの科目でoral exam(口頭試問)となります。これが本当にキツい。
Department からトピックリストというものが渡されて、試験の際にはそのトピックをくじ引きのように引きます。
そしてそのトピックについて、自分で先生にプレゼンするような形で説明するのです。
そのトピックについてであれば何を話しても自由なのですが、だいたいの科目で各トピックについてまとめたノートが出回ってるので、それをやったりします。
私は自分でトピックノートを作る派なので、教科書読んで 学期中からまとめてたりします。(時間ない場合もありますが笑笑 )

試験の時は、入室したらまずトピックを引いて、まっさらなコピー用紙を渡され、15-20分くらい準備する時間がもらえます。その時間には前に入室し 準備し終わった生徒が先生にプレゼンをする時間になってます。
それを横で聞きながら(実際には聞いてる余裕なんてないんですが笑)隣で書けるだけ自分が持つ知識を紙に書いていきます。
なので ネイティヴには敵いませんし、同じ英語がペラペラでもプレゼンがうまい生徒が成績がいい傾向にあるかなと思います。

あんまりこういう言い方はしたくないのですが、それでも
・どの先生に当たるかの運
・どのトピックを引くかの運
・その日の先生の機嫌
は大きく関わってきます。運も実力のうちということでしょうか。
トピックが半分くらいしか終わってない生徒でも引いたトピックと先生がとてもよくて受かってる人もたくさんいますし、その逆も然り。非常にアンフェアな世界です。運に左右されない確率を上げるために勉強をする、という感じですね…(´・_・`)

全体に共通するシステムはこんな感じです。何か質問などありましたら、コメントいただけたらまとめていきたいと思います。

最後に。うちの大学の在校生でこちらの生活の様子などをnoteにまとめてくれている人がいまして、許可もらったので載せておきます。

参考までにどうぞ(*^^*)


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