第3芸能科、として

※こんなやり取りがどこかであったらいいな、という一オタクの妄想です!またここまで文章化したのが初めてなので、色々見苦しい点あるかと思いますがご了承ください!※


ライブは1つの到達点だ。ファンにとっても、もちろんアイドルにとっても。そこはみんなの夢がぶつかり合うところで、そこから弾ける火花は言葉で表せない程美しい。

346プロダクション、第3芸能科。そこはいつもの騒々しい様子とは打って変わって、ピリついた雰囲気を醸し出していた。

「なあ、プロデューサー。」
「どうしたの結城さん?」
「どうしたの?じゃねぇよ!どうしてオレはみんなと一緒に出られないんだよ!」

晴の手に握られていたのは、他のプロダクションと合同で行われる大規模ライブの香盤表。その場で貰った途端に駆け出してきたのだろう、その手元にはじんわりと汗が滲んでいた。

「結城さんは本田さんやナターリアさんと出るの嫌だった...?」
「ちげぇよ!そうじゃねぇけどさ..... オレたちにとってこれは特別なライブだろ!?」
「気持ちはわかる、でも今か...」「もういい!」

***

「で、部屋を飛び出して来たってワケ?」
「そーだよ...... 良かったな、梨沙は第3芸能科として出れて。」
香盤表によると、不貞腐れた面と話しているもう1人の少女、梨沙は第3芸能科として同じライブに出演することとなっていた。

「なんか嫌な顔してると思ったら...... 何というかアンタそういう時考え無しで行動するの変わらないわね。」
「んだよ、悪いか」「誰も悪いとは言ってないでしょ」
「まったく...... 少しは落ち着いて考えなさいよ、今までだって私たちは第3芸能科以外の子たちとも一緒にステージに立ってきたはずでしょ?どうしてそんなに今回に固執するの?」
「だって、サマーライブぶりじゃないか?最初から『第3芸能科』としてステージに立つのは。『第3芸能科』って銘打ってあるからには、そこにオレも居ないと嫌なんだよ.....」

梨沙の口から少しため息が漏れる。
「そんな事だろうと思ったわ...。」
「いい、アンタは本当に胸を張って自分を第3芸能科のメンバーだと言えるの?」
「そんなの当たり前だろ!梨沙たちとどれだけ一緒にやってきたと思ってるんだよ」
「じゃあどこに立ってもアンタは『第3芸能科の結城晴』よ。誰もあなたを仲間はずれなんて思ってなんかないわ。」
「そんなの分かってるよ!わかってるけどさ...」

どうも納得していない様子の晴に、梨沙は続ける。
「じゃあ聞くけど、アンタは未央をニュージェネだと思わずに一緒のステージに立つわけ?」
「そんな訳ないだろ、未央はいつだって...」「じゃあそれが答えよ。」
「例えばイルミネの灯織だって、今回は一緒のステージには立てないけどイルミネだし。それはこれまで皆がそれぞれのグループで頑張ってきたからでしょ。アンタ、まさか自分が遊び半分でアイドルやってたなんて言いたいワケ?」
「そんなわけないだろ!オレはいつだって第3芸能科のアイドルとしてここまでやってきた。」
「それならアンタだってそう見られてるハズよ。アンタも他のアイドルと同じように『第3芸能科』として輝いてきた。だからアンタだって一緒よ、どこにいたって第3芸能科。」
「梨沙......」
「ま、精々ステージでとちらないことね。つまりはアンタのミスは第3芸能科のミスなんだから。」
「.....うん、ちょっと元気出た。ありがとな、梨沙!」

そういってその場を離れる晴は、心無しか元の様子を取り戻したように見えた。

ライブは1つの到達点だ。
到達点に達するには、そこに至るまでの道筋が必要であり、その上に美しさは成立する。そしてそれをまた道筋として、さらに上のステージへと駆け上がるのだ。

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