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天舞う柳葉と鳳の羽

「鳳羽よ、龍を退治しよう!」
酒の席とはいえ有りえぬ大声が響く
「龍?」
声をかけられた男が盃を置き、視線をまっすぐむけて訝しげに聞き返す。
「そうだ! ここより北の幽谷に一邑焼き払った邪龍がでたらしい!
本来ならば国軍出番だろうが辺地ゆえ動きが鈍い!
ならば我等がやろう!
俺と“千知千技”のお前ならば出来るであろう!」
興奮してまくしたてる男は青譚、字は柳風という。
豪農の二男として生まれ学も武も身につかず、家の手伝いもろくにせずフラフラと字の如く邑を遊び歩く男である。
このような男が大望大義をなそうということを吹いても穢れをしらぬ幼子すら信じぬだろう。
だが青譚の話しかけている男こそ英雄の風をもつ男、江湖に“千技千知”と名高き元華鳳羽である。この男ならば龍も倒せるかもしれぬと思わせる風格がある。
だが柳の葉より軽薄な誘いには乗らぬであろう重さも持っていた。しかし…
「分かった。 行こう」
英雄の風を持つ男は頷いた。

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