PISA常連国

学力と社会の豊かさ

義務教育=公教育の目的とは?

近代的な義務教育制度が地球上で最初に整ったのは19世紀半ばのアメリカだと言われてるんだけど、実はそもそもアメリカは「こどもの教育権は各家庭にある」と考える傾向が強くて公教育への反発が強かったの。

「なぜ税金を使って、一律に教育を施さなくてはいけなのか」

そんな感じ。もっと簡単にいうと

「何処の馬の骨かもわからないやつのとこの子どもに、なんで俺の税金使わにゃいかんの?」

てことだね。

そんなアメリカになぜ最速で公教育が実現したのか。

それは「教育を施された労働者の生産性が高かった」から。

言い換えれば「多くの子供に教育を施すことで、将来社会が豊かになりそうだ」から税金による教育OKになったってこと。

もっとはっきりいうと「将来自分が豊かになれそうだから、俺の税金、教育に使ってもいいぜ」ってOK出したってことよ。(このへんは、刈谷剛彦『教育の世紀: 大衆教育社会の源流』を。)

公教育の目的

で、この「豊かさ」を単に経済的な豊かさだけではなく、もう少し民主主義や福祉的な豊かさも含めて捉え直した上で、ここで公教育の目的を定義しておくと、公教育の目的とは「教育を施すことで将来よりよい社会になること」だと思う。つまり、どんな条件があれば税金を子どもたちの教育にぶち込んでいいのかというと、それは「よりよい社会になる」という条件があれば、ということね。

日本の教育は現状最適化

そのことを踏まえて、今の日本の教育を「学力」の観点から振り返って見みると、どうやら日本の教育は「よりよい社会になる」ことを目的にしていないみたい。あとから述べるように「社会をよりよく変えていく個体」を作ることではなく、「今の社会によりよく最適化する個体」を作っている。

下のこれみてね。

PISA常連国

この表は、国際的な学力指標となるPISA上位国の「幸福度、一人当たりGDP、政治的民主化度、報道の自由度」ランキング表。

日本以外の「フィンランド、オランダ、スウェーデン、ノルウェー、デンマーク」はどこも「幸福度、一人当たりGDP、政治的民主化度、報道の自由度」が高い。「学力が高いこと」と「よりよい社会であること」と相関がありそう。「学力」が「国力」へとフィードバックされている

「一人ひとりがもっと幸せになるために」「より多くの価値あるものをつくって経済的に豊かになるために」「自分たちがよりよく暮らしていくために」教育がある。

ところがですよ、あーた。日本はね、学力高いくせに、それが「幸福度、一人当たりGDP、政治的民主化度、報道の自由度」と大して関わってないの。点数ばっかりよくて、幸福度は54位。一人あたりGDPも26位。政治的民主化度は41位。報道の自由度は67位。

つまり、日本は「学力」と「社会をよりよくする力」が関係してないのよ。社会を豊かにしたり、国力を向上させたり、先進国に似合ったものにするために「教育」があるわけじゃなくて、単に「いい点とる」ためだけにある。学校でまなぶことが、なーんも、社会へ還元されていかないの。ひゃっほう。

むっちゃ金かけて、社会的な豊かさには全然還元されない資質=盲従力?考えない力?何もしない言い訳をできる力?とかを子どもたちに身につけさせてるわけです。

以下のハフィントンポストの記事なんかも、ほんとよくわかる。

「日本の子供はバカにされている。若者の投票率が低い理由をスウェーデンと比較してわかったこと。」

「『私個人の力では政府の決定に影響を与えられない』と思いますか」という質問に対して、日本では「そう思う」「どちらかといえばそう思う」という若者が多い

(記事より引用)

そう。「個人の力では社会は変えられない」という諦めを子どもたちは義務教育期間中に学ぶ。

公教育はなんのためにやってるの?意味なくね?

読み書き算数だけでいいよ。それならさ。

「きみらは社会的に無力な存在だ!」って、毎日毎日毎日子どもたちにインストールするぐらいならさ。

もはや、教科教育(5教科)はスタディサプリで自宅学習して早くから地域で手伝いとかバイトする方が、よりよく社会を知り、かつ社会変革諦めマインドを持つことなく、他人と同調することのない、社会を変えていける子どもが育つんじゃないかと思えるよ。


(PISAと幸福度なんかのやつは、以下のサイトを元にグラフを作成しました。

幸福度ランキング2018
https://rocketnews24.com/2018/03/15/1032632/

一人当たり名目GDP
https://globalnote.jp/post-1339.html

政治民主化度
https://globalnote.jp/post-3891.html

報道の自由度ランキング
https://ecodb.net/ranking/pfi.html


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