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登山の歩きが上手になるには?

前回から間が空いてしまいました。グリーンシーズンの宿泊予約がスタートし受付業務でちょっとバタバタが続いてしまったことと、3月になって積雪がどんどん増えて、歩行動画をとることができなかったことが主な理由でした。楽しみにされていたみなさん、申し訳ありませんでした。

前回に歩きの本質という3つのポイントをお伝えしましたが、もう一度おさらい。

  • 落下→振り出した足の接地反力を得るため。

  • 沈み込み→ばねが反発するように膝を抜くことで接地反力を推進力に変換する。

  • 不安定→上体を次の足の設置方向へ倒して設置反力を最大にする。

『落下』『沈み込み』『不安定』の3つが山でも普段の歩行でも重要な歩きの本質であるということをお話ししました。本質あるいは極意といってもいいかもしれません。

では、これを正しく理解し動きにつなげるにはどうしたらいいか。
実は、運動というのは知識を得ても頭で考えてから動くとワンテンポ動作がが遅れてしまい、正しい運動動作が導けません。中学生くらいの部活で顧問の先生から指導を受けて実践してみても「動きが反対」だとか、「動きが逆」なんて注意を受けた経験がある方もいると思います。

歩くとは:右足を出す→足部を落下する→床反力で上体を上に持ち上げる→腕を振って上体を上に前へ進める→左足の振り出し方向に上体を倒す→同時に左足がたたまれる(持ち上げるではない)→左足の振り出し→接地→以降繰り返し

という歩行の動作の流れになるのだが、これを覚えて動きに落とし込んでも体がバラバラに動き、全く歩行にならないと思います。

ではどうすればよいか?

別の運動や動作トレーニングで動きを身に着けると目的とする動作、ここでは山歩きですがこれが自然に身につくというアプローチがあります。歩行動作を「右足はこう」「上体の向きはこう」などと細かい動作を一生懸命練習するのではなく、別のスポーツやレクリエーションで正しい歩行動作を自然に身に着けてしまおうという練習方法です。いくつか紹介しますね。

1、ガイドの後ろを歩く
登山ガイド(正しい歩行動作を理解して教えられるガイドは実は少ないが、これまでの登山経験などで自身の歩行動作は的確というガイドは多い)の後ろを歩くと、ガイドが接地した場所に足をおろす、同じように腕を振る、上体を同じ向きにするなど、先行するガイドの真似をするだけで正しい山の歩き方が身につきます。ガイドのリズムを見ていると自然にそのリズムで歩くようになり、今まで苦労していたのに楽に登れた!と感じる方はガイドと歩く経験のある方は思い当たるでしょう。

2、スノーシュー
スノーシューを楽しむ方が減っているように感じています。「けっこう歩くの大変だから」と敬遠している登山者も多いのではないでしょうか?
スノーシューは正しい歩き方ができないと楽しくない道具なんです。歩隔(足の左右の間隔)を保ち、歩幅を小さく(後ろの足で蹴らない)、上体を左右に振ってスノーシューに乗り込むという歩行動作はスノーシューは簡単に身に着けることができます。新雪をスノーシューで自由自在に歩ける方は、山の歩行や普段の歩行がちゃんとできていて、安全に楽に登山のできる方です。また、トレッキングポールをもってスノーシューをしているほとんどの方が、トレッキングポールに頼ってバランスを保とう、前に進もうとしているので、スノーシューの道具の特性が生かされず、苦行のような歩行になっています。登山の雑誌などでスノーシューに不向きなルートやエリアを紹介するので、スノーシューを楽しめていないのもスノーシュー離れの理由の一つだと私は思っています。

3、ゲレンデスキー
スキー場のゲレンデで滑降を楽しむスキーは山登りの正しい歩行動作にとても有効です。まず、斜面感覚が身につく。スキーで斜面に立って止まるには、上体をバランスよく足部の上に載せないと滑り転んでしまいます。またターン動作は斜面を移動する中での重心の左右への移し替え、滑るスピードに合わせてバランスをとる上体のポジションなど、山の歩行で必要なバランス感覚はすべて身につくといってもいいでしょう。スキー経験のある山の初心者、スキー経験のない山の中級者と一緒に山に登ると、スキー経験のある登山初心者の方が山歩きが上手だと感じたことが過去に何度もあります。特に下山時は登山の経験者より格段に上手に歩きます。これはスキーをしているときの目の動きで自分の立っているときの水平感覚を正しく認識する能力が身についているからでしょう。

スキーで斜面に立つときの状態ンぽポジションは下山時の上体そのもの

4、ノルディックウォーキング
トレッキングポールを使って登山をしている方は多いですが、正しく使えている方は皆無といっていいくらいの用具になっています。余計に疲れるためにばあランスを悪くするために使っているのでは?と思ってしまうぐらいの登山者もとても多く残念です。ただショップで買わされているだけ?
トレッキングポールでノルディックウォーキングをすることで、体を前に進める歩行動作が身につきます。歩くというのは上体が前に進むことです。トレッキングポールを使って上体を意識的に進める動作は歩行を身に着けるには一番のトレーニングになります。

冬のシーズンがもう少しで終了なので、チャンスがあれば来季に向けてスノーシューやスキーにチャレンジしてみてください。

上記の登山に有効なアクティビティを文章で読んで、ノルディックウォーキングやスノーシューが正しくできるかというと、はっきり言ってできません。やはり動作をマスターするということは指導者から伝えられた感覚を自分のものにしていく必要があるからです。そのために登山技術やテクニックではなく、山歩きの歩行に特化した講座を開講します。頭で考えない正しい歩き方が自然に身につく、正しい山歩きの歩行への動作トレーニングです。

5、山の歩き方「オンラインコース」「実技コース」を受講する。

登山の技術や装備などを発信しているサイトはたくさんありますが、山の歩行動作としての歩き方を指導する場所はほとんどありません。技術や体力の前に、歩き方をぜひ身に着けてほしいと思います。



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