リマインドアラーム(短歌集)
手紙書いて破らずに捨てるここから届け海は遠し
ピアスの数は残機の数です
顔白く悲しみの最中にある人に絵文字のバラひとつ贈る
ぬいぐるみ増えても母は物言わず埃が増えたことだけが確か
塵積もりて歳月となる指でなぞる部分に涙の痕
部屋のすみ何かいるような気がして薬飲むこれは不安に効く薬と言い聞かせる
板チョコを割るがごとく時間割り口に放り込んで過ぎたことにしたい
踊れ踊れレモンひとひら紅茶の中で
湿度もはや海エアコンの冷風冴え冴えとして
頭下げる瞬間マグネシウム弾ける新手の処刑
真理に触れれば触れるほど命の寡黙さが悲しいこれは訓練ではない
いかにも通信機器ですというツラをして板チョコを食べている
この贅肉はどこから来たのか宇宙塵とはこれのことかと納得する
わたしの周りだれも死なずにおれますように無理と分かっていても本気で世界平和望む
祈りとは呪いに近いごめんなさい私鶏肉が好き
生きているものは皆つよい儚いのもひとつの顔ではあるけれど
水族館 オルカの前に立ち君の目は光を放つ
人はいずれ死ぬんだよスマホから何度もリマインドアラーム来る
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