はぎわら水雨子

こんにちは。 エッセイを中心に、戯曲、小説、感想など、色んなことを書きます。 普段は…

はぎわら水雨子

こんにちは。 エッセイを中心に、戯曲、小説、感想など、色んなことを書きます。 普段は舞台のこと、劇作・出演・宣伝美術をやったりしています。 デザインや文章のお仕事、おまちしてます。 https://hy-notice-it.themedia.jp/

最近の記事

スパゲッティ、そして安部公房と、つんく♂

今日は金曜日、休みを取ってセルフ三連休とした。 依頼いただいている宣伝美術の作業など色々しようと思って、作業の時は毎回よく来るレストランカフェに来ている。 今日こそ、と思って初めてスパゲッティの麺をプラス200円で大盛りにした。 私は大盛り無料なら迷わず毎回大盛りを選ぶが、大盛りが有料の場合は、『普通盛りでも満腹感は意外と変わらない』ということを自分に言い聞かせ、なんとか欲望をせせこましく抑え込んでいる。 でも以前もここに来た時に、美味しすぎて大盛りを食べたいと思って、今日は

    • アリに足を噛まれる

      GW、全然出勤しても良かったのだが、とりあえず2日から全日休みで希望を出してみたら問題なく通った。今までずっと職種はサービス業だったから、GWに仕事がないのはかなり久しぶりのことである。 昨日も今日もデザインや執筆の作業をしたくてなんの予定も入れなかったが、体調もあまり良くなく作業もあまり捗らず、今日はいつもよりゆっくり起きた。 連続で出かけず家にこもりきりでいるとき、隙を見つけて外に出て日光を浴びることがよくある。 鬱にはセロトニンが効くとずっと前に聞いてから、家にいすぎ

      • 冷やし中華いななき

        小さな定食屋の店先に女がおり、その手には「冷やし中華はじめました」のノボリ。 店先にノボリを設置しようとしていると、若い夫婦が立っていることに気づく。 女 あ、いらっしゃいませ、すみません、今開店準備中なので少々お待ちくださいね 妻 あの、冷やし中華やってるんですか 女 え?あ、はい今日から 妻 やってるって、冷やし中華やってるって 夫 いやー、冷やし中華をやってる店があるなんて 女 えっ 妻 私たちどうしてもどうしても冷やし中華が食べたくて 女 あ、そうなんですか 夫 ま

        • 苦労話

            女、公園のベンチで昼食のパンを食べている。 あ。…あ。いやあのすみません急に。あの。あ、はい、あそこのカラス。え、見てました?やっぱそうですよね、見ちゃいますよね。あれね、何食べてるんでしょうね。一瞬えってなりましたよね?(笑う)なんかお互いえってなった空気感じましたもんね今ね。あれ本当なんでしょうね。なんか、え、臓器?ですよねあれ。なんか見た瞬間気持ち悪すぎて、一瞬脳が画像の受け取りを拒否しましたもん。(笑う)ね。え、なんか他の生き物なのかな。カラスもお昼ご飯なんです

        スパゲッティ、そして安部公房と、つんく♂

          スキンシップ

          女が一人立っている。 電車のアナウンス、ざわめく乗客たちの音がし、女の周りに人が集まる。 満員電車。女、身を縮ませる。 発車のベル。閉まるドアの音。 電車が揺れ、それに合わせて女の周りの円が小さくなると、 客     いた。 客     いっ。 客     ぎゃっ、 客     っ! 客     何? 客     ちょっと、 女     あっ、あっ、すみません。ごめんなさい。 客     (舌打ち) 女     …すみません。降ります。降りまぁす。       女、手を上

          スキンシップ

          「行旅死亡人」

          約8ヶ月前に書いた戯曲『行旅死亡人』(こうりょしぼうにん)を公開します。 元々戯曲賞に応募したもので、しばらくは誰にも見せる気にならなかったけど、なんとなく公開しようと思ったので、良かったら読んでください。 今読み返してみると面白いところと面白くないところが色々あって、賞の〆切ぎりぎりに下北沢のガストで朝5時まで籠って一気に書き上げたことを思い出す。そのあと大学時代からまあお世話になりまくっている新宿南口のキンコーズで学生時代よろしく徹夜して印刷して、7部も刷らなきゃいけなか

          「行旅死亡人」

          雑感

          最近いつにもまして色んなことを考えて、気づいたりしているので、書き留めておく。 私はなんで俳優の活動をもっとやりたいと思ったのだろう。どうしてだろう。と、最近それの答えをずっと考えていたのだけど、きっと、 板の上では全て平等で、誰の好き嫌いも、幸も不幸も入る余地がなくて、私のような人間でも生きることを許されている気になるからかな、と思った。 よく俳優をやるきっかけとして「自分とは違う人生を生きられるから」「自分ではない人間になれるから」といった理由を聞くが、私は疑問に思う

          SNS幽霊

          みんなは嫌いな人がいるとき、どうする? 私はというと徹底的に頭の中で憎み続ける。あられもない呪詛を吐き(勿論頭の中で/もう大人なので分別はつくのだ)、絶対こいつを打ち負かしてやる、こいつを倒すために私は生まれて来た、と怨念や憤怒を溜め込み、自分の創作の糧にする。 冷静な人は、嫌われてしまったらしょうがないし、そんな人のことを考えるだけ無駄だから、考えないようにする。と言う。 私はそういう考え方が素直にできる人に憧れを抱いている。 前述したように、私ももういい大人なので、いつ

          アフタースクール

          「上履きは揃えて下さい」 先生のほとんど怒鳴り声のような注意が響く。わたしの学校は、全校集会のとき、体育館の入り口で上履きを脱いでいかなければいけない。思えば、昔から体育館というのは上履き禁制だけど、それはなぜだろう。汚れるから?ワックスが剥がれるから? なんにせよ、気持ちの問題ではないかと思う。一度上履きで踏み入ってしまえば、大して気にせずに、その上を落ち着いて歩くことが、きっとできる。 全校集会だから、当然体育館には全校生徒が集まる。そんな中でみんな一斉に入り口で上履

          アフタースクール

          キャンディちゃん

          犬を飼っているなら犬の話を一度は書いておかねばなるまい。 私が飼っている犬はクリーム色のポメラニアンだ。もう9歳になる。 親バカといえばそれまでだが客観的に見ても美人で顔が整っている犬だと思う。犬界でもかなりレベルの高い容姿のではないだろうか。 (上の写真は、散歩中に路肩に寄り過ぎてしまったポメ本犬である。) 可愛い犬には可愛い名前のついているものだが、うちの犬はというと名前を「ポメ」という。 豆柴のマメ、マルチーズのマル、というとあんまり違和感がないのだが、ポメラニアンの

          キャンディちゃん

          終末のひばり

          あるゲームプログラマーが自殺をしようと決めてから、それまでの日々を書き綴ったブログがあって、それによると彼が死ぬ前に最後に食べたものはガストのチーズINハンバーグだった、という話を聞いたことがある。 人生の最後の晩餐がガストのチーズINハンバーグか、とその事実(かどうかは分からないけど)ひとつひとつ噛み締める。 たまにセールをやっていることもあるから、その時に食べていたなら399円だ。 ガストのハンバーグは安いのにクオリティが高くておいしい。けど、399円の食事で、死ぬ前の

          終末のひばり

          666

          最近、こわい。「666」が襲ってくる。 私はあるときを境に、「666」の数字によく出会うようになった。 「666」といえば、通称「悪魔の数字」。 映画「オーメン」は6月6日午前6時に産まれた悪魔の仔の話である。 外国では不吉な数字とされているのだ。 詳しい話は端折るが、私はテレビで「666」の数字を観て以来、実生活でことごとくこの数字に出会ってい る。 人に話すと、「それはその数字に敏感になってるから目につくだけで、普段から気づかないうちに出会っ てるもんだよ」と言われる。

          トメヨシ

          漢字は便利かつ残酷だ。 私が小学4年生の頃、恐らく父はだれかと浮気をしていたんじゃないかと思う。なぜか毎日複数回鳴る携帯電話、それを手にトイレへ籠る父。いつのまにか休日に姿を消したと思ったら、「福山雅治のコンサートへ行っていた」と言う。いや、あんた福山雅治聴いてるのなんか見たことないぞ。 まだ齢十くらいの私には、TVドラマの中の出来事でしかなかったことが目の前で、自分の家族に起きているかもということが、ショックでしょうがなかった。 父も父で、きっと彼の人生をやっていく上で