それでもいつか報われると思えばいいのでしょうか。

#1 『ヒッチコック』-ヨルシカ
 雨がシトシト音を立てて降っている。もう6月があと1週間で終わるというのに、やっと梅雨を感じる。昔は6月といったらカエルとアジサイの絵を描いていた。6月は、水無月は、雨ばかりの月だと思っていた。

*どうして恋をすると盲目になるのだろう

これは永遠の課題だと個人的に思っている。
どれだけ友人に「別れた方がいいよ」と言われても、自分で馬鹿だと思っていても、別れられない恋をしている人は実はたくさんいるのではないか。
皆、そんな自分を隠すのが上手いだけ。何時から人はこんなに自分に嘘をつくのが上手くなるのだろうね。

そんな恋をする時は、人は本当に盲目だ。いや、自分では盲目だと思っていないのかもしれない。「もっと自分を幸せにしてくれる人はいる」と何度言われても、疑ってしまう。もうこんなにも自分を好きだと言ってくれる人はいないような錯覚に陥る。

恋に盲目で、誰から見ても「絶対他に良い人いるよ」と言いたくなるような人と付き合っている友がいた。それでも友は好きな人の良い部分を何度も言う。普通なら怒ってもいいことを笑って持ちネタのように話す。
きっと心は泣いている。
「この人以外に自分を好きになってくれる人はいないと思う」と何度も。
噓が上手くなったね。
きっと家で一人で泣いているんじゃないかな。


あの人と付き合って友は煙草を覚えた。
一人酒を覚えた。
クリープハイプの『憂、燦々』を聞くようになった。
twitterで悪口を言われるようになっても笑って話せるようになった。
心無い言葉を交わせるようになった。

覚えなくていいんだよ、そんなの。

一人で泣いて、返信の来ないLINEを待って。
何時間待って帰ってきた「おやすみ」のLINEに心温まって眠る。

君が眠っている間、おやすみと言ったあの人は
他の女と会っているというのに。

でも、そんなこと君は全部知っている。
それでも好きで別れられないとまた笑って言った。
きっと心は泣いている。

恋は盲目だ。そして残酷だ。

今すぐに別れた方がいいと思っているけど、決して言わない。
他人から言われて辞められるのならば、とっくに辞めてる。

いつかその呪縛から放たれる時が来るのだろうか。
来ないかもしれない。
それでもいい。
いつか友が心から笑えるように報われたらいいなと思う。

でも、大事な友の心を泣かせた人は、…なんだろう。
どこかで痛い目見るんじゃない?