楽譜を見ると見ないと

 セッションレコーディング中は基本的に楽譜を見ながら、というか事細かに書き込み(タイムコードやら何が起こったとか)しながら進めていく。実際の編集時にはその書き込みを基に「ここからここまでは第●テイク、でここからは▲テイクに変更(実際にはもっと細かい)」みたいな書き込みをしておくとすんなり編集作業は完了する。実際収録現場でこの書き込みがあるとその日のうちに仕事がある程度終わる。

 実際には会社に戻ってから細かい作業をするのだが(ここで1音だけ入れ替えるとか)その後に私が欠かさない作業は「楽譜を見ないで聴く」ということだ。楽譜を見ていると実は頭の中で「こうであろう」というバイアスがかかってしまい、普通に聴くと違和感があるところでも楽譜を見ているだけで「楽譜がこうなのだから違和感はない」と判断してしまうことがあるからだ。

 ちなみに事前に参考音源は聴いたことがない。スコアを基に頭の中で鳴らして「こんな感じの楽曲」というのをイメージして収録に臨む。そして収録が終わったらすっかり頭の中から消し去る。こうすることで楽譜を見ないで作業をするときに、違和感がより鮮明になるからだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?