ドレスコード

 かつてオーケストラプレーヤーは、夜のコンサートの時、男性は「燕尾服(腹帯は不可、白のチョッキのみ)、黒のエナメル靴、黒のストッキング」女性は「ノースリーブの黒のドレス、ピンヒールの靴」と結構厳密に服装指定されていた。また、腕時計など腕に装飾品は不可とされていた。駆け出しの頃腕時計を付けたまま舞台に上がろうとしたら酷く叱られたことがある。

 燕尾服はデパートでしか作れない時代が長くあり、35年前で30万円はしていた記憶がある。プレーヤーになるのも勉強などに金が掛かる上に、衣装代もバカにならなかった。
 海外のオーケストラのコンサートや日本のオーケストラの演奏をテレビで観るたびに、腕時計したまま舞台に立っているし、中にはご丁寧にブレスレットを腕につけて演奏されている方もいらっしゃる。エナメル靴なんてほとんどの人が履いていないし、黒のストッキングなんてもはや誰も履いていない。女性も皆袖のある服を着ているし、ピンヒールなんてほとんど見かけない。

 いま世間では女性にパンプスを履かせるのを強制するのはどうなのか、という事が話題になっている。時代とともにステージ衣装は変わっていった。世間の服装も時代に合わせて変化していってもおかしくはないなと思った。

 

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