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盆栽世界での漫画連載を終えた理由

2018年に雑誌『盆栽世界』で連載を開始した私のエッセイ漫画、「そうして今日も水をやる」。
昨年11月をもって、丸5年続けた連載を終了しました。

月刊誌連載という、絶対に破ってはいけない締め切りが毎月やってくるヒリヒリした日々から解放された勢いで、そのままゼルダ廃人となってはや数ヶ月。
忘れないうちに、連載終了を決めた理由を書いておこうと思います。


連載の終了は、私から申し入れました。
盆栽世界編集部としては可能な限り続けて欲しいという気持ちがありながらも、作家本人が終えたいと思っているならそれは尊重すべきだとすぐ承諾してくださいました。(ありがてえ)

終了することにした理由はただ1つです。

私が盆栽を広めなくては!という、自分で燃やしていた使命感が尽きたから。

そしてそれは決して悪いことでも悲しいことでもなく、私にとっては良いことでした。


私は盆栽を始めた当初(約12年前)から、趣味として個人的に楽しみながらも、もっとその良さが広まって愛好家が増えて欲しいと思っていました。
盆栽にはその魅力と価値があると強く感じたからです。

ですが当時は、継続的にYoutubeやブログ、SNSで発信をしている愛好家や盆栽屋はほとんどいませんでした。
じゃあ自分でやるしかないなと思い、盆栽漫画家を勝手に名乗り、素人なりに盆栽について発信をしていたところ、盆栽屋の山崎ちえさんが注目してくださいまして。
ちょうど漫画を取り入れたいと思っていた盆栽世界に繋いでくれたことが連載のきっかけでした。


そのような志があったので、連載を始めるにあたり、すでに愛好家である雑誌読者に読んでもらうだけでなく、WEBでも公開したい旨を盆栽世界にお願いしました。
ありがたいことに快諾いただけたので、自身のSNS(盆栽世界は当時WEBに力を入れていなかったので)で2年半続けたのですが、期待したような反応が得られず残念ながら終了することに。
私と作品に力が足りてなかったことが悔やまれます。

正直この時点で、私のモチベーションはかなり低下しておりました。

漫画を描くこと自体は好きですし、自分で盆栽をやっているため描きたいネタも出てくるのですが、連載を決めた1番の理由が自分の漫画で盆栽の発展に貢献することだったものですから。

それでも盆栽雑誌に連載したことで、自称盆栽漫画家からみんなに盆栽漫画家だと思ってもらえるようになり、盆栽布教活動はしやすくなりました。
盆栽村を有するさいたま市の大宮に住んでいたこともあり、草の根レベルですがコツコツと布教を続けていました。

またたまに編集からいただく感想も、超嬉しかったです。


そうしているうちに、いつの間にか周りが変わっていました。
コロナ禍もあってのことだと思いますが、盆栽関連の発信者が増えてきたのです。
また愛好家同士の交流も、目に見えて活発になってきたようでした。

それを見て、私は思いました。
「これはもう、私がやらなくても大丈夫だな」

元からさして役に立ってないのだから大丈夫も何もないのですが、私がやらねばという使命感で続けていたので、肩の荷が降りたというか。
まあ勝手に背負ってたんですけど、そんなわけで心置きなく連載を終えられるなと思ったのです。

だって本当にいろんな人が発信してて、各所で盛り上がってて、最高でしょ。


移住をして生活が新しいステージに入ったこともあり、それまで関わってきたことのいくつかを終え移住先での活動を増やしたいというタイミングでもあったので、迷いはあまりありませんでした。

意志が決まったところで早めに伝え、キリのいいところ(5周年)で終了させていただいた次第です。


これが連載終了の経緯です。

連載中は「盆栽世界を買ったらまず漫画から読む」「毎年同じ手入れを繰り返すためマンネリになりがちな誌面だが、毛色の違う漫画が入ったことでおもしろくなった」など、大変ありがたいお言葉をいただきました。

また歴史ある盆栽誌に素人愛好家の漫画を採用してくださった編集長には、とても感謝しています。


なお燃え尽きたのはその謎の使命感だけで、盆栽が趣味であることは変わりません。
また盆栽界隈がより賑わってほしいという気持ちも変わらずあるので、愛好家が気軽に盆栽飾りを投稿できるX上の盆栽展『ツイ盆展』、そして女性愛好家限定のオンラインコミュニティ『ボンスキージョ』の運営の一員として活動しています。

ツイ盆展はちょうど盆栽世界での連載と同時期に始めたので、6年目に突入しました。
「盆栽飾りが流れてくるアカウントなんてめっちゃいいでしょ!愛好家じゃなくたって癒されるからフォローしちゃうよね。1,000フォロワーくらいはすぐ行くと思うな」とか当初は思ってたんですが、実際に1,000フォロワー達成したのは今年に入ってからなので盆栽普及の厳しさが伺えます…。

女性愛好家を増やしたいと、女性3人で始めたボンスキージョは2022年12月から。

https://bonsukijyo.jimdosite.com

どちらも最初に「自分たちが無理せずやれる範囲でやろう」という取り決めを運営内でしたことがよかったのか、楽しく続いています。

今度ボンスキージョでリアルイベントも行うので楽しみ。
こちらは盆栽好きな女性なら会員さんじゃなくても誰でも参加できるので、ご興味のある方はぜひ!

長くなりましたが私にとって盆栽はこれからも楽しい趣味ですし(家建てたらますます増える気がする…)、少なからず皆さんとのご縁や関わりもあるので、盆栽世界での連載を終えても楽しい盆栽ライフを続けております。

いつか盆栽漫画をまた別の形で描きたいという思いもあるので、その日が来たら温かい目でご一読いただけると幸いです。
5年間の連載を応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。


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