代官山蔦屋書店が気に入らない理由

今日初めて、代官山の蔦屋書店に行ってみた。

休日だからかもしれないが、なかなかの盛況だった。噂通りのおしゃれな空間で、皆さんそれを楽しんでいるのだなと思った。立ち読みが座ってできる(なんか言葉遣いおかしい)のとか、店内の雰囲気とか、なかなかよく工夫されてる。

とはいえ、また来たいとはあまり思わなかった。ああいうのが好きな人にはいいんだろうが、わざわざ行く感じでもないな、と思った。

気に入らなかった点はいくつかある。店内は広くてたくさんの本が置いてあるのはいいが、品揃えが自分好みでなかったという点は挙げざるを得ない。建築とかデザインとかの本が多いのは、まあ土地柄でもあるんだろうが、正直今の自分にはあまり興味が持てない。そうでない本も、どちらかというと軽めのものが多かったという印象。「文化」というより「カルチャー」という感じ(そういえば昔「軽チャー」っていういい方があったっけ)。来客も、「本が好き!」な感じの人はあまり見かけなかったように思う。

中でも、ほとんど売れるとは思えないばか高い洋物の建築本とかを目立つところに平積みにしてるあたりとか、手に取ろうにも取れない高い位置まである本棚とか、本をファッションアイテムのように扱ってるようにみえてどうにも気に入らない。採算がとれてるのかどうか知らないが、この店舗自体、ある種の「象徴」としての意味合いが強いんだろうと思う。とはいえ、読むものとしてじゃなく、飾っておくためのものとして本を扱うのは正直反発を覚える。

もっといえば、そういう、洋書を飾り物にするセンスというのが、どうにもアナクロ昭和チックだな、と思った。いまどき欧米崇拝でもないだろうと思うが、『FIGARO』とか読む「おしゃれ女子」の皆さんは未だにそういう感覚なんだろうか。そういえば先日、『FIGARO』やら『PEN』やらの事業が阪急コミュニケーションズからCCCに譲渡されたんだっけか。パリじゃ今、ランドセルが人気だそうだから、蔦屋書店でもランドセル売ったらいんじゃないかね。ほら、「天使のはね」とかおしゃれっぽいじゃん?

…いや別に悪態をつくつもりはない。悪いというつもりはまったくなくて、ただ自分の趣味に合わなかったというだけの話。ニューヨークのBarnes&Nobleとかけっこうおしゃれだと思うが、品揃えとか、本屋としての「本分」みたいなのを忘れていない感じなのは好感がもてる。その意味では日本だと、東京駅前に移転した丸善とかはけっこうがんばってる。

おしゃれ書店は悪くない。でも、書店がただの「おしゃれスポット」になってしまうのは悲しい。

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