【USER'S REPORT】風景写真家 : 清家道子
【プロフィール】
福岡生まれ。カラーコーディネーターを経て風景写真家となる。
特に地元九州で撮影活動をしている。
2011年より企業カレンダーを手がける他、写真雑誌への寄稿、カメラメーカーでの講演、撮影会などを行っている。
2016年に写真展「またまの宇宙」をリコーイメージングスクエアで開催。
同写真集(日本写真企画)を出版。
2017年フランスのプロバンス地方の写真集「The Gift Of Ranunculus」
(風景写真出版)のすべての撮影を担当している。
JPS 日本写真家協会会員
【著作】
またまの宇宙―清家道子写真集
美しい風景写真のマイルール(共著)
【メディア】
公式WEBサイト : https://seike-michiko.com
Youtube : 清家道子チャンネル
Instagram: @seikemichiko
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SONY α関連インタビュー
OLYMPUS ギャラリー
風景写真とフィルターの素敵な関係と題して、今回はビギナーの方でもわかりやすいように、H&Y 100mm角型ハーフNDフィルターシステムを扱いながらフィルターの基本的な効果やフィルターを撮影現場に導入するメリットについて、実際に撮影した作品を通して紹介したい。
まず、前提としてH&Yの角型フィルターシステムの大きな特徴(図を参照)を紹介したい。
(1)マグネットを内蔵したフレームでフィルターが覆われている為、ホルダーに貼りつけることで簡単にフィルターの脱着ができる。市場に流通する角型フィルターはホルダーへの差し込み式が大半であり、フィルターの装着や位置調整には両手で押し込む必要があり、手間だったことを考えると非常に画期的だ。
(2)ホルダーにドロップインで各種フィルターを装着できる。上からスライドさせて差し込むだけなので、例えば冬場にグローブを装着している時でも撮影現場での取り回しが非常に楽だ。(ドロップインフィルターはCPL、CPL/ND、ブラックミスト、クロス、ナイトフィルター等がラインナップしている)
(3)ゴリラガラスでできた高耐久のフィルター本体に、撥水防汚コーティング、高い平面度、ニュートラルで色転びが気にならないコーティングが備わっている。その為、フィルターをかけたとしても画質の劣化が全く気にならない。
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次に、角型フィルターシステムに含まれる各フィルターについて書きたい。まずは、ドロップイン式CPLフィルターだ。
フィルターなし
CPLは青空をくっきりさせたり、紅葉や緑葉の色味を鮮やかににしたり、水面の反射を抑えたりすることが可能だ。殊、反射については現像ソフトでどうにもできない為、自分の撮影イメージに合わせて現場で調整することは思い通りの作品づくりを行うには重要だ。
ドロップインCPLフィルター使用
H&Yのドロップイン式CPLフィルターは、フィルター上部に効果調整の為のコントロールリングが独立している為、指で撫でるようにそれを回転させるだけでCPLの効果調整も容易に行える。
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ハーフNDフィルターは、被写体に明暗さがある場合に使用する。一般的な風景でも明暗差がある時に使う場合があるが、特に朝日や夕日の撮影で出番が多い。今回は、ソフトGND8フィルターを使用。グラデーションがソフトなので境目がわかりにくく、山の稜線でも使い易い。
では、実際に装着してみよう。ホルダーの前にかざせばすぐに吸い付く。完全に固定する場合は、ホルダーサイドについているネジを回せばいい。外すときは(固定している場合はネジを緩めて)下にフィルターを引くだけ。簡単だ。
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NDフィルターは光を減らして、シャッタースピードを遅くする。水の流れや雲の流れなどの表情を演出できる。H&Yフィルターは彩度が落ちないのが良い点。スローシャッターにすることで、クルクルと流れる落ち葉を表現することができた。
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こちらはリバースGNDフィルター。ソフトに比較すると境目がはっきりしていて、上部に行くに従ってグラデーションが薄くなっている。日の出や日の入りの時など太陽の光が強い時に使用する。
フィルターなしで撮影した場合、太陽の周辺が白飛びしている。白飛びは現像時の編集でもどうにもならない為、フィルターの活用は必須。
リバースGNDフィルター使用。太陽の輪郭がはっきりして本来の色味もグッと引き出すことができた
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これまで紹介したフィルターは重ね付けも問題ない。こちらはPLフィルターで水の反射を抑えながら、NDフィルターでスローシャッターにすることで撮影できた作品。マグネット式なので、重ねたいフィルター同士を近づけるだけ。
丸型フィルターの場合は、重ね付けするとどうしても”ケラれ”の問題が浮上するが、H&Y角型フィルターの場合は問題ない。3枚程度まで重ねることが可能で多彩な表現を作品作りに活かせる。
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こちらはバランサーGNDフィルター。グラデーションがなだらかになっている為、境目を目立たせたくないシーンにもってこいのフィルターだ。森や林、渓流など明暗差があまりはっきりしていないシーンに良い。また、最近では自然風景の中でのポートレートなど背景の白飛びを抑えながら人物を撮影するシーンでもよく活用されている。
新緑の緑がすごく綺麗に表現できるのでこれからの季節にもピッタリだ。
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センターGNDフィルターは、角型フィルター上の中心部分にだけNDが掛かっており、被写体を選ぶフィルターだが使い方によっては非常に面白い表現ができる。
こちらは、フィルターなしで撮った棚田の写真。本来は夕焼けが綺麗な景観だが、棚田に露出を合わせると空が完全に白飛びしてしまった。
そこで、バランサーGNDフィルターを重ねて全体上半分の露出を程よく抑え、さらに、センターGNDを太陽がある中心部分に重ねることで以下のようになった。
今回は、スチルの作品を紹介してきたが、特に動画は後で明暗差を修正できない為、撮影段階で適切に露出をコントロールしておくことが重要。フィルターは自分のイメージを具現化するための大切な道具だ。現像や編集に頼らず、フィルターワークを追求することでより撮影体験をアップデートできると考える。
↓さらに詳しいH&Yフィルターの使い方や商品の紹介はこちらから。角型フィルターをはじめ、CPL/ND一体型REVORING、ブラックミスト一体型REVORING等を