はやかわ

徒然なく、気になったことや考えたことを言葉にしてみます。よろしくお願いします。元物質理…

はやかわ

徒然なく、気になったことや考えたことを言葉にしてみます。よろしくお願いします。元物質理学専攻。コンサルタント。引きこもり。 芸術、生き方、気持ち、人の関わり方、民俗学、言葉、広告、コピーライト etc.に興味があります。趣味は星野みなみです。ライターになろうとしてます。

最近の記事

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働いてないけど6万円のコートを買いました。

マーガレットハウエル(MHL)で57200円(税込)のコートを買った。 クラシックでAラインのシルエットが高級感を醸し出している。DiorやGUCCIなどのハイブランドでもこのシルエットが多く採用されていて、POPEYEを読んでいる系の人たちは好んで着られる。中にはライナーもついており、取り外し可能で3シーズン着回すことができるため値段にしては長く活躍できるのだ。ビジネスでもプライベートでも色々なスタイルに合うため困ったらこれを着ていればなんとかなるマスターピースだ。もちろ

    • 命を縮める夢

      夢に殺される。殺されかける夢を見たことは多いが、最近の夢は殺傷力が高い。シリアルキラーだの得体の知れない化け物だのが出てくる分にはまだいい。傷つけられようが起きてしまえば何事もない。 叶わなかった恋の相手が出てくるのだ。それも普通に。なんのシンボルでもない。女神としてでもない。ただ普通に話し、遊び、夢は醒める。 こういう夢に限って海馬に明確に記憶の足跡をこれでもかと深く遺す。いや、むしろ踵落としをしてくる。 身体を傷つける夢よりも、心に残る夢はタチが悪い。に起きた後にも

      • まどろみ

        水平線の下瞼に紅い瞳が閉じていくのを眺めていた。 地球が微睡む中で、私は起きていた。起きているのだろうか。一面で目一杯に柔らかい色を使われると、ゆらゆら心が微睡んでいる気がした。 犬が吠えて、周りの音が聞こえる。六弦琴の音色で聞こえなくなる。 うつつとかくりを行っては帰り、確かに微睡んでいる。

        • 夢で見たbossのcm

          会議室で若手が上司に怒鳴られるシーン。怒鳴られながら必死に謝る。項垂れながらオフィスの廊下を歩いていると、誰か(未来の自分)が横に来て、「謝るのなんて嫌なことばっかりだし、自分が謝っても意味がないとか思ってる?」と聞く。「当たり前だろう」と思いながら見つめると、相手は話を続ける。 「確かに、今の君が謝ってもあんまり意味がないように感じるかもしれない。きみは若木だ。まだ小さいし、葉もそんなになければ実なんてない。ただ、いつかはどっしりとした大きな木になるかもしれないし、美味し

        • 固定された記事

        働いてないけど6万円のコートを買いました。

          記憶のケツポケット

          大学生の時、友達のバンドマンがいつもスマホをケツポケットに入れていた。横ポケットに入れるのが普通だと思っていた自分にとっては、「ミュージシャンは一味違うな」と思っていた。 10年後、横ポケットがタイトなズボンを履いて、入れにくいからケツポケットに入れた。その時、大学生の時にいつもケツポケットにスマホを入れて曲げていた友達の気持ちがわかった。自分の仕草が記憶の中の理由を見つける時がある。

          記憶のケツポケット

          狭い、記憶の外のお店

          「究極に美味いカルボナーラ作るからさ、美味しかったらエッチしない?」 と、おっさん。 よく半分明晰夢を見る。半分というのも、「これは夢だな」と理解はできているけど、自由に空を飛んだり他の人を意のままに操ったりはできない。今回はまた変なところから始まったなと思いつつ、周りを見る。狭いカウンターしかない店だ。全体的に木の造りで、街にあるバルをぎゅっと小さくしたような感じ。 外に出てみると、少し山の方にある店のようだ。視線の先に海が見える。尾道の記憶でできた山と海が近い街なのだ

          狭い、記憶の外のお店

          いつもの校門

          学校には大体複数の校門があるが、通っていた学校もそうだった。シンプルに北門、南門なんて呼ばれ方をしていたが、小学校と中学校高校と、いつも自分は仲の良い友達とは反対の登下校門だった。 「なんで自分だけ別の登下校門なんだろう」と、楽しい友達との登下校ができないことへのささやかな不満があった。 たまに、「今日はこっちから帰るわ」と言って、友達の出る校門から着いて行って、今日の部活のこと、ラーメン食べて帰ろうなんて話をしながら自転車を漕いだ。「ああ、いつもこういうのができるといい

          いつもの校門

          カーナビ

          久しぶりに実家の車を運転している時にふとカーナビで実家の周りを見ると、通っていた小学校と中学校が縮尺200mの同じ画面に表示された。「こんなに近かったのか」と驚いた。あの頃あんなに遠く感じたのは、自分の世界が全て「学校」に集約されていたからだろうか。

          カーナビ

          ケーキ

          帰省中に母親がケーキを買って来た。「ケーキがあるけど」ともったいぶった言い方だった。ケーキが好きじゃない自分は思わず「お腹減ったら食べるわ」と、食べない時の返事をした。 ふと我に帰ると、小さい頃誕生日もクリスマスもケーキがあった。自分が喜ぶだろうと思って買って来てくれた気持ちを考えるとなんと申し訳ないことをしたのだろうかと思った。 「ケーキ好きじゃないんだよね」という言葉は伝えられそうにない。

          空の虫籠のはなし

          カマキリが苦手だ。近所のお兄ちゃんに「おもしろいもの見せてやる。」と言われて見せられたハリガネムシの嫌悪感も覚えているが、なにより目が苦手だ。 小学3年生の頃、気まぐれに捕まえた一匹を虫籠に入れたはいいものの、餌として他の虫を捕まえてやる勇気もなければ、自分が食べているものを与える知識もなかった。 車庫の中に吊るしていたが、チラリと中を見る度にその黒い点をぐるりとこちらに向けていた。餌をあげないのに離さない自分を咎めているようで怖くなった。より一層触らなくなったし、できる

          空の虫籠のはなし

          入れない世界へのチケット

          小学校4年生の頃、バスケットシューズが欲しくてたまらなかった。 別にバスケットをやっていたわけでも、やりたいわけでもなかった。 小学校生活も折り返し地点になったタイミングで、部活動に入る同級生が増えてきた。それまで放課後に一緒に遊んだり、別のグループで遊んでいたら同じ公園で出会っていた奴らが兄弟とか友達の影響でやれ野球だ、サッカーだバスケだと部活をやり始めた。 その中で、やたら「バッシュ、バッシュ」という言葉を聞くようになった。最初は何のことか分からなかったが、どうやらバ

          入れない世界へのチケット

          畏れに頼る人々

          4年間勤めた会社を2021年末に退職してから3ヶ月が過ぎようとしている。 元々、「何かを研究し、書くことがやりたい」「そのために自分なりに時間を作りやすい環境にしたい」という思いで退職を決意したのだが、その通り、思う存分YouTubeに寿命を投下した。 流石にそろそろやばいと思い、「何を調べてみようかな」と考えていた。 その中で、今のところ「世の中のことを”恐れ・畏れ”という切り口で考察してみたい」という気持ちが強くなっている。 生まれて初めて読んだ漫画は”地獄先生ぬ

          畏れに頼る人々

          誰もいない場所をあたためる君

          2022年がはじまってもう1ヶ月が経とうとしている。 昨年ひとつ人生の区切りを付けて、会社という枠組みを飛び出した。 もちろん生きていくためにはお金が要る。君を生かすためにも。 家にはほとんど帰られないし、夜中まで仕事をしている。 そんな環境で文句も言わずに、1Kの部屋の片隅で、誰もいない部屋で、孤独に其処を温めてくれている。 文句も言わずに。 この間にもうちのお金を減らし続けていることだろうけど、そんなことは些細なことだ。 そんな君に次会ったら目一杯綺麗にして

          誰もいない場所をあたためる君

          地方の車窓から

          西鉄大牟田線で平尾駅を通過する時に見える化粧品屋の看板がすごく好き。 鶴田一郎の描く女性のように細さの中に柔らかさを思わせる線と色。 きめの細かい黒髪。 たおやかな指先。 赤い背景の中に印象強く、しつこくなく佇む彼女が切り取られた四角の中で景色に流れていくのを見ると、なんだかこの一瞬が永遠に思える。

          地方の車窓から

          アイドルの処女性のはなし

          先日乃木坂46の星野みなみの恋愛報道が取り沙汰された。 私のアイデンティティは、物理が好きであり、コンサルタントであり、うつ病であり、小説家志望であり、そして星野みなみを愛していることだ。 報道当初は「幸せになってくれたらいいけど、これで変な卒業したら寝込むなあ」と思っていた。恋人がいること自体へのショックというよりも、もうメディアを介して星野みなみを観ることができなくなることへの恐れだった。 もちろんインスタグラムでも「#星野みなみ」「#かわいいの天才」をフォローしてお

          アイドルの処女性のはなし

          何も知らないひとときのはなし

          毎朝行くコンビニの喫煙所でいつも通りコーヒーを買ってタバコを吸っていた。 ふと見上げると、向かいのマンションのベランダで男性が直立していて思わず目を逸らした。 表情筋をひと筋も使ってなさそうな佇まいに怯んで、何をしているんだろうと色んな思索が頭を巡った。 もう一度、ちょっとだけ角度をずらして視界の中に入れてみると、 どうやらあちらも一服中だったようだ。 これから彼も仕事なのだろうか。 おたくもですか。眠気覚ましの一服は格別ですよね。何やら色々ある世の中ですが、一緒

          何も知らないひとときのはなし