ななし

おはなしをかきます。

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夫婦と言ってもかんぺきじゃない

別にどうってことではない。 私は私で今日は何食べようと聞かれるとあれは嫌これは嫌での消去法でしか食事を選べず、夫の食べたいようなつけ麺ファーストフードハンバーグといったジャンキーフードはその選択肢に登場することはない。また夜中の3時過ぎまでゲームがやめられず夫を夜更かしに巻き込んでいる。 夫は夫で、私のインフルエンザ中に、喉の薬を買ってくると言って出かけて行って、薬局が閉まるまでファミレスでくつろいで買ってこれない。またうっかりスケジュール、配達予定、家の住所、待ち合わせ

    • からっぽことばつむぎ

      0. ペンを取るも言葉は虚ろ。言葉を紡ぐも心は虚ろ。 1. 今日の帰り道、歩き、祈って、私の身体はおとぎ話のように、水になったりもしないし、世界を救ったり、壊したりもしないことを思って、これでよかったんだと知った 2. フレーム、緻密な形の枠組み、私自身も、私の夢も、ちいさな、149cmのからだ、全部その中。 3. ある朝水をもらった。乾涸びた、絵の具の貼りついた水筒に水をもらった。それはあっという間に染まった。 それが何色かわからないので、少しこぼしてみた。綺麗な色だ

      • 【短編物語集】物語が終わったら。5

        静かな空間に、私の足音が跳ね返る。 蛍光灯の反射でつやつやしたフローリングはすこし眩しくて、たくさんの本達は、ジャンル別に、あいうえお順に、きちんと背を伸ばして、もしくは眠るように背を丸めて、私達の気が向くのを待っているようだ。 「返却です」 はーい。ありがとう。2年B組の出席番号32番、本一冊、返却っと。 「はい。延長しちゃって、すみません。」 次の予約ないから大丈夫。ちょっと聞いてもいいかな?いわゆる読者アンケートってことで。 「?はい」 話しかけた男の子の顔を見た、

        • 【短編小説集】物語が終わったら。4

          ちょっとぉ!!アンタ!!! 「やあやあ。おかえり」 聞いてないわ!そりゃこないだ味の濃ぉいヤツやったから、もうスグ?さらっと?終わるやつがいいわ!とは言ったけど!スチル2枚で終わりなんてそれはひどいんじゃない!?アタシのことなんだと思ってるのよ! 「足音でわかる人」 あらやだそうちゃんと認識されてるのねいやねモテるって、ってそうじゃないわ!!そーーうーーじゃなーーいのよッ!!聞いてるのッ!? 「それしかやることないから、まあ」 アタシはそりゃスチル2枚だって真っ当に

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        • 物語が終わったら
          4本

        記事

          【短編】通りすがりにユウダチにあった

          ただいまー おかえり!おやつあるよ、ランドセル置いたらおいで。 うん まーちゃん、夕立あった? うん、あった 傘持ってた? うん、持ってたよ よかったよかった!ダーってきたから、傘持ってるかなーって心配だったの 確かに、わーーーーーって、きた!びっくりしたけど、かさ、さした そっかそっか、じゃあ、傘お庭に干しといてね え、あげちゃった え?傘ないの? うん あげたの?誰に? ユウダチにだよ まーちゃん、こっちきて。もしかして、まーちゃんが言いたいのは、友達? ほら見

          【短編】通りすがりにユウダチにあった

          【短編小説集】物語が終わったら。3

          やあやあ。帰ってくるの、待ってたよ。 いい勝負だったね。え?覚えてない?そうかそうか。えっと、君は負けたんだけど…、ボロボロになってね。最期は意外と一気にいったかな。遠くから見てても痛そうにね。ズドン!とね。きちんと、負け側の役目を果たしてたと思うよ。だからほら、今の君はぴかぴかの靴を履いて、おろしたてのシャツを着ているんだ。 大丈夫大丈夫。いっぱい泣いていいよ。今回のやつ、君は絶対影響しちゃうと思ったからね。悔しかったね。え、お酒?そういうところ持ち帰ってきたんだ。今回

          【短編小説集】物語が終わったら。3

          【短編小説集】物語が終わったら。2

          あらやだ!お疲れサマ!今度は面白いもの見させてもらったわ!ありがとね! 読者サマがムナクソ悪いとかで前回はなーーんも覚えてなかったの!アンタが言うには、めちゃくちゃアタシ好みのバッドエンドだったんでしょ?悔しいわー。 今回のこと?素敵だったわー!最初は仕事大成功⭐︎モリモリ⭐︎サクセスストーリーーー⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎!ハイもうここで好み。完璧。堅実にやってきたのにビッグな仕事で魔が差して?ちょっとちょろまかしちゃって?でもプロジェクト自体は上手くいっちゃって?昇進に昇進を重

          【短編小説集】物語が終わったら。2

          【短編小説集】物語が終わったら。1

          やあやあ。新人さんだね。 ここはどこかって? ここは真っ暗で、何にもないところだよ。でも、ここがいいところだってのはみんな知ってるんだ。 暖かくて、心地いいからね。最後まで頑張った証だし、何にもないわけだから、なんだってある。 そうか、ハッピーエンドが何かを知らないでここまできたのかい? じゃあ、君にハッピーエンドを迎えてほしい読者がいたってことだね。 いつか君はそれを見つけて、ちゃんとお礼を言うといいよ。 君と一緒に、物語を駆け抜けたわけだから、きっと君のこと覚えてるさ。

          【短編小説集】物語が終わったら。1

          「ロボットを作れる」はいらない

          これは2018年に書いた苦しみです。 はっきり言えば私はクズです。 どうして順風満帆な人生に水を差してしまうのかわからないです。 私は工学で修士を修め、4月に誰もが必ず知っている超大企業に入社しました。しかし8月に適応障害で休職になり、今(12月)に至るまで会社に行けていません。 精神的には元気です。その会社のことがとても嫌いなだけで。でも、超のつく大企業で、お金と、そんな好条件の会社をやめてしまう恐れのために、やめられないだけで。 大学時代はロボットを作るサークル

          「ロボットを作れる」はいらない

          短編小説 メトロノームの心音

          メトロノームの心音 所詮恋とは、恋人とは、人生の番外編だ。部外者だ。 私: 自決したが、彼の作ったメトロノームの心音に助けられる。何もできない自分が許せない。 彼: 彼女を愛している。生きていてほしい。存在しているだけでいい。メトロノームの心音を作ったために莫大な借金を抱え、昼夜仕事をしている。 机の上にも床の上にも精巧なメトロノームが並んでいる。作りかけのものは小さな仕分けケースと共に手前に、完成品は後ろに。等間隔、納品先と納品日のラベルは、小さな紙に、貼り付けられて

          短編小説 メトロノームの心音