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【機上の空論】インバウンド市場が日本の空飛ぶクルマ市場を活性化させる?

日本航空の動きに注目

7月のニュースで注目したのは “万博後すぐに「空飛ぶクルマ」事業化目指す” という日本航空社長の発言です。

ここのところ万博に関してはパビリオン建設の遅れのニュースばかり。開催まで2年をきった今、60カ国予定のうち10分の1という厳しい状況です。原因の資材費高騰と人手不足は簡単に解消できない状況なので心配ですが、万博後の空飛ぶクルマ産業発展に向けた巨大企業トップの発言の背景は探る必要ありです。

世界的インフレとドル高・円安基調が続く限り、空飛ぶクルマの事業拡大においても当然のことながら資材高騰と人手不足がネックになりますので、日本国内に留まらない世界的視野による事業の構築を目指すことになるでしょう。

富裕層を運ぶ空のビジネス

そこで、紹介したいのが7月21日に発表された日本航空に関する以下のニュースです。

■Japan Biz AviationとJALビジネスアビエーションが「Honda Jet」チャーターサービスで連携
ニュースを見る>>

観光庁資料


コロナ禍からの復活に向けて観光庁が示したインバウンド観光市場において富裕層市場対策でビジネス(プライベート)ジェットの活用が明確に示されています。

そんな中、日本航空によるビジネスジェットのチャーター、それも「HondaJet(ホンダジェット)」を使用した日本国内でのサービス開始のニュースを、先の「万博後の空飛ぶクルマビジネス」と照らし合わせてみましょう。
日本航空社長のインタビュー記事の中に以下の文面があります。

訪日外国人観光客を念頭に「東京に来て新幹線で京都に行く方はたくさんいるが飛行機で北海道や沖縄に行く人は多くはない。地方に飛行機で行っていただくような需要を作ればビジネスの落ち込みを十分補える」と述べ、インバウンド需要の地方への誘致に力を入れる考えを示しました。

これらからは、以下のような見立てができます。

●エアラインで日本を訪れる観光客は多いが、到着後に国内を空路で移動する市場はまだ小さい

●全国各地の空港を結ぶ多様なインバウンド向け空路市場活性化策が必要

●そこを「空飛ぶクルマ」が担うまでには、まだまだ時間がかかる

●国内各地への移動をオーダーベースで実現可能なビジネスジェットなら即対応可能

●富裕層向けの高付加価値観光市場を目指す観光立国戦略に資する分野である

改めてJAL BUSINESS AVIATIONの公式サイトをご覧ください。
https://www.jalba.co.jp

このページ内にある「ビジネスジェット」の名称や、各種機材の写真が「空飛ぶクルマ」に入れ替わる未来を考えても、チャーターの仕組みやグランドハンドリング、機体マネジメントのビジネスモデルはそのまま継承することができるものです。

ビジネスジェット

空域観光で進むラグジュアリー化

2023年に入って、国内においてもインバウンドにおいても一気に復活してきた観光市場ですが、コロナ前の「量」のマーケティングから「質」のマーケティングへの変容が求められています。
観光産業においてもコスト高騰と人手不足は深刻な課題であり、高付加価値ビジネスモデルへの取り組みが必須なのです。

上記の観光庁資料の中に「1%の高付加価値旅行層が市場全体の11.5%を占める」というデータがありますが、この「1%」の富裕層に提供すべきメニューとしてヘリコプターはビジネスジェットの組み込みは効果的です。

兵庫県ではこの分野に対する具体的な施策を進めていますが、おそらく万博開催を機に、日本国内における「空域観光」の活性化が進んでいくでしょう。

その先に「空飛ぶクルマ」がどのタイミングで実用化可能か?

日本航空だけでなく、多様なプレーヤーによるビジネスモデル開発に期待しましょう。

空飛ぶ倶楽部

HAAMでローンチさせた「空飛ぶ倶楽部」は空飛ぶクルマ業界を目指すZ世代向けのコミュニティで、7月から「プレゼミ」と題したオンラインイベントを開催しています。

新たな産業ゆえに「過去」の情報や実績が少なく、この分野を目指す若者世代にとって就活やキャリア形成は難しいのですが、これから伸びる産業ゆえに「未来」の夢は無数に存在します。
そこを空飛ぶクルマ産業の最前線にいるラボメンバーと共に追いかける組織づくりを目指していますので、興味のある方は是非!参加してください。


>>空飛ぶ倶楽部

/HYOGO空飛ぶクルマ研究室 CHIEF 江藤 誠晃



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