●「自転車に乗って」

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　作詞・作曲　高田渡
自転車にのって　ベルをならし　　　　　　　　　　　　　　　
　となりのはらっぱまで野球の続きを　　　　　　　　　　　　　
　そして帰りにゃ　川で足を洗って　　　　　　　　　　　　　　
　自転車に乗って　おうちに帰る　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　自転車にのって　 自転車にのって　　　　　　　　　　　　　
自転車にのって ちょいとそこまで歩きたいから　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
自転車にのって　ベルをならし　　　　　　　　　　　　　　　
　となりのまちまで　いやなお使いに　　　　　　　　　　　　　
　そして帰りにゃ　本屋で立ち読みを　　　　　　　　　　　　　
　日が暮れてから　おうちに帰る　　　　　　　　　　　　　　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　
　自転車にのって　 自転車にのって　　　　　　　　　　　　　
自転車にのって ちょいとそこまで歩きたいから　　　　　　

●ボクと夏休みと自転車

　中学生時代，夏休みと言えばボクは自転車に乗って出歩く毎日でした。
いつもひとりで，行く先もあまり決めずにぶらっと出かけることも
ありました。
　一番のお気に入りは多摩川沿いのサイクリングロードでした。
川の両側にはのびのびと空が広がり，東京の町中で生まれ育ったボ
クには，その広がりが何とも心地よかったのかもしれません。
　そして，空に切れ切れに浮かぶ雲が毎日違った表情を見せてくれるのを
横目で楽しみ，草の匂いをたっぷり吸ったさわやかな風を浴びながら，
大好きなこの歌「自転車に乗って」を口ずさみつつペダルをこぐのが大好きでした。　　　
　ひょっとしたら，ボクが今，川のすぐそばのマンションに住んでいるのも，中学生時代のこの経験が影響しているかもしれません。       　　　

●〈受験の夏〉とはいえ

　今年は〈受験の夏〉です。人によっては，ひょっとしたら一生に一度のことかもしれません。だから，しっかり〈受験生〉らしく過ごしてください。でも，一日中，家に閉じこもって勉強したり，家と塾との往復だけで終わるのは，何かさみしい。身体の健康によくありません。身体の健康が崩れれば，心の健康にも影響してきます。結局，勉強は手につかないなんてことにもつながります。
　ボクは中３，〈受験の夏〉も自転車に乗っていました。午前・午後・夜の３つの時間帯に３時間ずつ勉強に集中して，夕方から夕食までの数時間，自転車に乗ってぶらついていたのです。
　あなたも，何か自分らしい，夏休みならではの楽しみごとをしっかりと味わっておくことも，長い人生の中では大切だろうなと思います。

――　以上です。昨日は７月20日，ほとんどの学校は夏休みに入ったことでしょう。そんな夏休み前に発行する「定番」の学級通信です。これは中３の子どもたち対象にしたときのものです。高田渡はもう亡くなってしまいましたが，あの飄々とした歌声は，今でもボクの耳奥に棲みついています。そして，今も時々，自転車に乗りながら唄ってしまうのです。道を行く人には「アヤシイおっさん」と思われているでしょうね。