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「板絵天井に鶴が羽ばたく」~~大田区・第二栗の湯

東急多摩川線…ほぼご縁がなかった路線です。
しかし,都湯をすっかり気に入ってしまい改めて『東京銭湯お遍路マップ』(ボクのバイブル)を見つめる。
すると沿線にはあるある,銭湯が点在しています。さすが銭湯大国大田区

よし,と目指すは都湯の下丸子駅となり鵜の木駅近くの「第二栗の湯」
ちっちゃな商店街から少し外れて建っていました。

玄関を入るなり,右手に大きな水槽。

つやつやした下駄箱。

この色が「栗色」かな?

ブログを書くにあたって調べてみたけれど,どうも「マルーン」と似ている。栗色,暗い赤色だそうですが,違うかな?

脱衣所の床もつやつや,こちらはキャラメルソースのような色。天井も同じ色合いの格天井かな,なんて見上げて呆然。
鶴だ,鶴が羽ばたいている…。

男湯女湯にまたがる脱衣所の天井の中央部に,鶴の群れが悠々と翼を広げています。しかも,板絵だ。初めて見ました。板絵天井。

白い鶴の色が薄れていて下地の板目が透けて見える。それがまた,さながら羽衣を着た天女が大空を上りながら雲に溶け込んでいくような風情を醸し出している。

いやぁ…服を脱ぐのを忘れてしばし魅入ってしまいました

第二栗の湯のアートはこれだけじゃない。
脱衣所と浴室の仕切りには大きなステンドグラスが入っている。
「チューリップに囲まれた乙女」を淡く描いた1枚。
「抽象絵画」然とした原色の1枚。
さらに浴室は(天井を除き)総タイル張り。
「十和田湖乙女の像」のタイトルが入った1枚をメインに色合いや模様が異なるタイルが散りばめられていて目を楽しませてくれる。

おっと,風呂,風呂。

「東京銭湯」HPより

カランの数は26と中規模。
湯舟は正面向かって右から,
ジェットバス(座風呂)3基
謎の「ガリウム石温浴」(よくある戦前の〇〇博士の推奨文を読むのが楽しい),電気風呂,ここまでは体感湯温42℃。
一番左手のバイブラ(気泡風呂)は勢いよく湯温やや高め。
この日は「江戸黒」の湯でした。
桶は黄色いケロリン仕様ですが「第二栗の湯」のネーム入り

よくあったまるお湯です。確認できなかったけれど薪で沸かしているのか?それとも看板の「ガリウム石温浴」効果なのか?
と,ぼんやりしているド近眼の目にサウナ室が飛び込んできた。
目を凝らすと「無断入浴禁止」と大書されている。
そりゃ有料だよねと思いしや,出入りする人がカギらしきものを持っていないことに気づく。よもや…
なんと,無料サウナ!
都湯といい第二栗の湯といい,なんてありがたいんだ,
すごいぞ大田区,すごいぞ東急多摩川線(関係ないか…)。
3名定員の小ぶりなサウナだけど,清潔だし,温度は100℃近くまでしっかり上がっている。
水風呂はないので出てすぐの立ちシャワーとの交互浴3セット。
いやぁさっぱりスッキリ。

満足してロビーに戻り大旦那としばし語らう。
この地に開業して50年,天井の板絵は当時からあるのだそうだ。
「前はもっと天井全体に広がっていたんですよ」
「でも50年もたつと色が落ちちゃって」
愛嬌があるお顔で申し訳なさそうに話す。
いえいえ,いいんです。眼福でございました。
また行く日まで板絵を大事にしてくださいませ。

第二栗の湯さん,ありがとうございます。いいお湯でした。

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