人への反感により、自分に気付く

人への反感は、自分の内面をよく表す

その一例として私のこんな恥を晒してみようと思う

NHK教育TVの「100分de名著」で
哲学者、西田幾多郎を扱う回があった

西田幾多郎は相次いで家族を亡くし
苦しみのどん底で
まるで運命から"哲学させられている"ようだ
と言う話が出たんだけど

そういうのある
望んだわけではなく必然的にそうなった…というような

誰も苦しい目に遭いたくない
でも遭ってしまう
しかもそれが、これでもかという程酷いものだったりする
そこからなんとかして這い上がろうとする時
哲学するという必死の頭の行動が起こる

偉人と並べて烏滸がましいどころの話じゃないので、大変恐縮してしまうけど
私もそうだった

私は家族を次々失くすのではなく別のことだったけど
それは大きく二つ

一つは病気
こんな酷い病気がこの世にあるのかというくらい、酷い病気
でも、そこに罪は無い
悪い事をしたからなったわけではない
そう運命付けられてしまっただけ

不条理に悩まない筈がない

ここで突然、キルケゴールが登場する

デンマークの哲学者で思想家だ

私はどうもこのキルケゴールにいいイメージを持っていなかった

その理由がここにあったのだ

完全な僻みになるのだけど…

彼は生まれながらにして容姿に恵まれ
健康状態も悪くない
親はお金持ち、お洒落して友達と飲み歩く
放蕩生活をしても親が助けてくれる
女性にもモテて、意中の人も振り向かせる事ができる
でも、自分の事情であっさり断ることも出来る

しかも
女は泣かせておけばいい
泣けば忘れるから
みたいなことも言うし

逆撫でするよね

悩みも生活には支障が無い
彼のプライドの高さ故

本当に生活苦に喘ぐ人や
重い病気の人
生まれに悩む人
生まれながらの事で悩む人
または容姿に悩む人
などとは比べ物にならない

彼にも出生の秘密があって
父親が女中に産ませた子供だったと
でも、父親は彼を自分の息子として大事に育ててくれているし、いい教育も受けさせている
虐待されているわけでもない

彼は苦悩と言うのかもしれないけど
自分の趣味で悩んでいる
…ように思えてしまった

お金持ちのボンボン、甘いな
そんなに恵まれて何もかも持っているのに
本当に大変な人の気持ちを考えた事はあるのかと

贅沢な悩み
本当に血みどろの汚水にまみれるような悩みからは程遠い
軽いな…と

だから、好きになれなかった

でもこれは私の卑屈さゆえ
余りに強い苦しみを経験したものは
こうなってしまう傾向がある

「私なんて、こんなでこんなで物凄く大変な思いをしたんだぞーっ!」って

怖いよね
気を付けたい

だから良かった
今回これに気付けて

人を善し悪しや上下で判断するのを嫌っておきながら

上の立場にいる人の事は
多少貶してもいいと思っていたみたいだ

彼のことなど何も知らないのに

自分って思ってたより浅はかで
好き嫌い重視な人間だ
軽いのは私のほうかも

私にはこういう軽はずみなところがある

とある有名な作家さんに対してもこれがある

彼の作品は世界的にも高く評価されるけれど、私からすると良さがよくわからなかった

なんかとても格好付けていて気取ってる感じで
悩んでいる割に、その悩みがあんまり深刻に感じられなくて
贅沢な悩みに思えて

それでいて性欲的で
性的な事が余りにも簡単に起こってしまって

なんかお気楽だなー

などと思ってしまった

私はこういう風に
自分のわからない世界には
結構簡単に蓋をする傾向がある

だから気に入らない本を読んでみようとすらしない
でもそれだと、哲学する人とは言えないな

嫌でも読む必要がある時はあるから

いくら自分で考えたいからって
哲学の知識が余りに無いんじゃお話にならないもんね

ああ、でも…
「あの人の真似だよね」
って言われるのが嫌なんだよなあ
だったら最初から何も見ない方がいいなと
心理的に頭に入れる事を拒否してた

そう!それだ

そこもちょっと何とか考えないと