闇から救い出したい相手

最初は番組の感想を書こうと思っていた

でも、私の書きたいものはそれではなかったようだ
途中で変わってしまった

今回は奇妙な独り言です。

今回NHK教育TVの「100分de名著」で紹介されたのは
小松左京の「ゴルディアスの結び目」だった

私はこの番組の哲学的アプローチが大好きなのだ
毎回楽しみに観ている

先週、次回はこの作品と聞いて検索した

どんな話かおおよそを知った

そして今日番組を観た

観終わって、直ぐには考えが纏まらなかった

少し考えてみた

最初の
直結25cmの金属製らしきものの球体
これがかつては部屋だった
中に二人の人間がいた

この球は今もなお硬く縮み続けている

という話で衝撃を受けた

なんか凄いぞ!と

昔、目には見えない箱がどんどん縮んでいく話を読んだことがあって、中にいる人が最後は押し潰されて消えるという終わりに恐怖した事を思い出した

でもこの話は、そこがメインというわけではない

映像での再現と共に読み解きが進んだ

精神疾患の患者の頭の中の世界に入るというところで
映画「ザ・セル」を思い出した
当時、セレブという言葉が生まれ、その代名詞的存在だったジェニファー・ロペスが主演だ

心の中に入れる技術者、精神科医が患者や凶悪犯罪者の心の世界に入っていく
心の中にある陽の光でオレンジ色に染まる砂漠の中を歩いていくシーンが有名だ

私はその頃既に
人の心の奥にあるものと対話をする仕事をしていたから
「これって私の仕事じゃん」と思いながら観た。
人の心の闇に触れることの恐ろしさを感じ初めていた時だったから、そういう目で興味深くだ。

あの映画は2000年

小松左京のゴルディアスの結び目は1976年

小松左京の方がずっと早い

こんな昔からこういう話はあったのか
と思った

100分de名著の本の紹介の映像は進む

心を病んでしまったヒロインの
物凄い怒り、憎しみの原因に到達した

少女が
初めて心から愛した男から裏切られた

説明するのもはばかられるのだが
恋人同士になったあと
麻薬を打たれ、売春をさせられ
悪い仲間達にレイプさせ
最後は他の女のところへ行ってしまう

気分の悪くなる話だが
この種の裏切り話は昔から見聞きする

大昔、私が子供の頃、多分中学生ぐらいだったか、もしかしたらまだ小学生だったか
土曜の夜遅くにやるドラマがあった
その頃は土曜日は学校があって、日曜日だけが休みだった
その時に同じ設定の話を見たことがあった

昔はおぞましいというだけで終わっていたが
今となると首をかしげる

一体どんな心境で
こんな事をするのだろうか

その男もその背後にいる者達に脅されて?
怖くて仕方なく?

なんなんだ

およそ正常な人間のすることではない

最初から悪い人間だったのか

でもそんな人間を
清く賢いヒロインが
初めて心の底から深く愛する相手に選ぶだろうか

おかしい気がする

じゃあ途中で変わったのか

まずその違和感に躓いてしまって先へ進めない

本の読み方が
物語への入り方が
昔とは変わってしまった?

理由が知りたい
そうなってしまった事情も
でないと、納得出来なくて
その先へ進めない

衝撃的な事件そのものより
そうなってしまった背景が気になってしまう

それを説明するつもりが最初から無いであろうものには入っていけない

単なる設定というのが私には違うみたいだ

そこが気になってしまうから

自分の読む本ではないと判断してしまう

私は、今回の題材で
自分の本の読み方の特徴に気付いた

私には
興味の持てる話と
そうでない話がある

興味の持てない話には
頑張っても入っていけない
無理に入っていったとしても直ぐに忘れてしまう

先週、前以て検索していたのに
そのことすら忘れていたのだから

その事に自分でも驚いた

納得のいかない人間関係に
頭が拒否反応を示してしまうみたいだ

伊集院さんが最後にまとめた

「現代の闇の中にいる人々を救えるのは
命がけの愛なのかな」

は、それはある
と思ったものの
…溜息

そこまでして救いたいと思える相手かどうかによるよね、と

誰も彼もというわけにはいかないものね

自分の行動に納得が必要だ

命がけで救いたいと思える程の深い愛…
憧れるけどね
今思い浮かぶのはまだ小さな子供くらい
なんか、ロマンチックさは無いね

それに子供は
「救いたい」と言うよりは
「救わなければならない」だからね

ふと、自分の枯れている感に気付いてしまった
恋愛モノに心が動かなくなってるー!