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『ウルトラ6兄弟 THE LIVE in 博品館劇場 ゾフィー編』を見た。

『ウルトラ6兄弟 THE LIVE in 博品館劇場 ゾフィー編』を見ました。その感想でも。
今回は劇場にいけず、配信も時間が合わなかったので、アーカイブ配信で視聴。
素晴らしかった、これぞ博品館。

説明すると、『ウルトラ6兄弟 THE LIVE』は銀座の老舗劇場・博品館劇場を舞台に開催されているウルトラマンのライブステージ。
ウルトラマンのショーイベントも色々あるのだが、基本的には最新のヒーローがメインどころになるのに対して、博品館では昭和のヒーロー「ウルトラ6兄弟」をメインにした一風変わったステージが特徴になっている。
簡単に言ってしまうと、「懐かしさ」や「マニア歓喜」的な要素が一つの売りになっている、ちょっと珍しいレトロなショーなのだ。

博品館劇場でのザ・ライブを初めて見たのは、一昨年の『タロウ編』で、「これ『ウルトラマン物語』の続編じゃん…」という感動を味わった。
ただ懐古だけでなく、新ヒーローのタイガの活かし方が素晴らしく、博品館にハマるきっかけとなったステージだ。
自分は、幼少期にリアルタイムのウルトラマンが無かったのでレンタルビデオや学年誌で過去のウルトラマンに触れていた、おそらく「ウルトラ6兄弟」という言葉が強い意味を持っていた世代の最後の方だと思う。
そのあとに『ウルトラマンティガ』から始まる平成シリーズ、ゼロの登場、ニュージェネのスタート、とウルトラマンの世界は大きな広がりを見せてきた。
それらの新しいウルトラマンも好きなのだが、博品館は、あの頃触れていたウルトラマンワールドの続きが見れるような、言ってみれば「時を超えたボーナスステージ」なのだ。

で、今回は、ウルトラ兄弟の長兄・ゾフィーが主役なのだが、このショーは本来は昨年公開されている予定だった。
コロナの影響で延期になったのだが、延期先である現在も緊急事態宣言下であり「ゾフィー編不遇すぎ!」と思っていたが、ついに無事開催ということで、ひとまず良かった良かった。

※ここから『ウルトラ6兄弟 THE LIVE in 博品館劇場 ゾフィー編』のネタバレがあります。
※筆者は、ウルトラマンAが特に好きです。

まずはタイトル前のアイキャッチ、いきなり『ウルトラマンA』のもの。
そこからステージ開始早々、エースの宿敵ヤプールのお出ましだ。
時が進むにつれて、「とにかく陰湿で卑怯なヤツ」というイメージが増幅されてきたヤプールだが、今回も何やら企んでいるようだ。
そして、超獣バキシムが登場。降りしきる赤い雨の中のエースとの決闘というシチュエーション。BGM、効果音とすべてがエースから起用されていて、熱い。
(ちなみにこの役割、昨年公開された予告ではドラゴリーだった。やはり超メジャー級超獣バキシムの方が適任と判断されたのだろうか。)

エースはそもそも他のウルトラマンよりガタイが良いのだが、今回のエースはイメージ以上にガタイが良い。
バキシムを倒され、恨み節を述べて消えるヤプール。

一方、光の国では、ウルトラ兄弟たちが連絡を取れなくなっている事態に、タロウとゾフィーが調査に乗り出す。
現在のテレビシリーズでは、今や父であり重鎮ウルトラマンの一人であるタロウだが、博品館ステージではお兄さんたちと一緒の安心感からか、かつてのやんちゃな末っ子タロウが見え隠れするのも面白い。

続いて、銀座にはギロン人と超獣アリブンタが登場し、エースと対決。
49年前に出現したのも銀座だったので、久しぶりにコンビ揃っての銀座訪問である。懐かしかろう。
ここでは、ビクトリーとビクトリーキラーの対戦も。ビクトリーキラーは、エースの宿敵・エースキラーの強化版。
(そういえば、ギロン人もビクトリーも地底人では…)

と、ここまででもわかるように、前半はこれもうエース編なのだ

宇宙では、ヤプールを追ったゾフィーが人(獣)選がめちゃくちゃな怪獣軍団に囲まれピンチに。
あれ?お前、スチール星人じゃないか!
スチール星人は、かつて地球にパンダを盗みにきた宇宙人。今回の軍団参入は、おそらくバイトだ。
しかし、ゾフィーは強い。このステージでのゾフィーのアクションのキレは凄まじく、見所の一つだ。

地球では、アリブンタの地底の巣のような空間にエースを閉じ込めるヤプール。
ウルトラサインを送るエース。エースと言えばウルトラサイン。
そこに、見るからに言動の怪しいゾフィーが登場。あっという間にニセモノだと看破され正体を表したのはアンチラ星人
『ウルトラマンA』では、帰ってきたウルトラマン=郷秀樹に化けていたが、今回はゾフィーに化けていたわけだ。芸コマである。
ビクトリーも駆けつけ(やっぱり地底にはアクセス良いんだろうか)、超獣軍団VSエース&ビクトリーの異色タッグの戦いへ。
しかし、多勢に無勢。次第に追い込まれるエース&ビクトリー。
その時!ゾフィーの声が鳴り響き、ウルトラサインが光る!
立て 撃て 斬れ」のサインは、『ウルトラマンA』にも登場する必殺の切断技・ウルトラギロチンの使用許可の合図。
使用に国からの許可がいる必殺技ってめちゃくちゃ熱いが、許可がもらえないと必殺技を使えないエースの人格が問題視されていないか心配になる。かつて体力を気にせずギロチンを撃ちまくって問題になったのでは…?
ウルトラギロチンの一発で形成逆転したところに、ゾフィーも駆けつける。
しかもサプライズ助っ人軍団も連れてきた。
なんと、ミラーマン、ジャンボーグA、ファイヤーマン!!
円谷プロの他作品からの参戦だが、彼らはもともとウルトラマンAの主題歌で歌われる「銀河連邦」という組織の一員という設定の予定だった。
こんなところで主題歌の伏線回収が!う〜む、博品館。
そして博品館名物、6兄弟主題歌メドレーに乗せた立ち回りが、今回はまさかの銀河連邦メドレーとなった。感動である。
スチール星人&ムルチVSファイヤーマンにムクムクも参戦とかいう、オタクの夢にも出てこなそうなマッチアップが実現。
エース&ゾフィーVSギロン人&アリブンタの原作再現タッグマッチも完封し、「お前たちの頭の中が我々で満たされているのが嬉しい」とか超メンヘラみたいなことを言い残して爆発するヤプール。
こうして、ほぼエース編こと前編は終了。この時点でかなりの満足度だ。

後編は、ウルトラマン対ゼットンの宿命の対決から。それぞれが苦戦したトラウマ怪獣を兄弟にぶつけるやり口は、内山まもる先生の『ザ・ウルトラマン』を彷彿とさせる。この宇宙空間でのゼットン戦は、アニメーター見本市でアニメ化された『ザ・ウルトラマン』の該当シーンのイメージだろうか。
ここで再び、エース対ヤプール。「私たちは、いつでもお前の背後にいる」と、これまたメンヘラ発言に余念が無い。ヤプール、本当によく喋ったなぁ。

兄弟を捜索するゾフィーの前には、スチール星人&怪獣軍団が登場。バイトからバイトリーダーへ、まさかのスチール星人大躍進である。
そしてついに姿を現した黒幕はエンペラ星人。『ウルトラマンタロウ』の劇中で、かつて光の国を襲った黒幕と示唆されながら登場せず、30年以上経った『ウルトラマンメビウス』でついに登場したウルトラマンワールドの大ボスだ。(超闘士激伝に出てきたバージョンも好きだが)
エンペラ星人に敗れるゾフィー、磔刑になるウルトラ兄弟、ウルトラの父にウルトラ警備隊隊長に任命された日の記憶、ウルトラマンヒカリとの回想。

そんな走馬灯を切り裂いて、窮地に駆けつけたのがアンドロメロス。
露出増えまくりのメロス、無敵の超人メロス♪
ゾフィー、メロス、ヒカリ(ハンターナイトツルギ)という並びは壮観だ。

場所を移してメロス対エンペラ星人。なぜかBGMは、『ウルトラマングレート』から。かっこいいよね、この曲。
しかし、エンペラ星人の前にはアンドロメロスも力及ばず、消し飛ばされて退場してしまう。
残ったハンターナイトツルギも倒されそうになったその時、消し飛んだはずのアンドロメロスが復活。その顔は…、ゾフィー!
実は、アンドロメロスから受け取ったコスモテクターを装着し、ゾフィーが戦っていたのだ。
そのコスモテクターの力で、エンペラ星人の攻撃にも一命を取り止めた。
この辺は長いので興味ある人は「アンドロメロス ゾフィー」で検索してほしいのだが、初代アンドロメロスの正体はゾフィーだった。そのあと、コスモテクターを元の持ち主セザルの息子ブノワに授けて現在のアンドロメロスが生まれた。そういう経緯があるので、久しぶりにゾフィーがコスモテクターを装着するというファンサービスが実現したのだ。
そして、メロスとヒカリに救出された5兄弟も駆けつけ、ついにクライマックスへ。
ここで「帰ってきたウルトラマン」のNG版主題歌が流れる。この曲は、庵野秀明監督がウルトラマンを素顔で演じていることで有名な自主映画『DAICON版 帰ってきたウルトラマン』に使用されている。もしかしたら『シン・ウルトラマン』つながりでの起用なのかもしれない。そこまでやるか…博品館。
エンペラ星人も、邪神魔獣グリムドを復活させ合体、圧倒的な力でウルトラマンたちを蹴散らしていく。
残された最後の希望は、ゾフィー。
兄弟がゾフィーの体を支え、全力のM87光線を放つ。轟沈するグリムド…。

というわけで、とにかく「時を超えたボーナスステージ」の極地といった感じのゾフィー編だった。
エースファン的にも最高のステージで、まさかのクロージングではエース単体でコメントもあった。
すべてのコンテンツが懐古的な「ファンニヤリ」な方向に向かうのは決して良いことではないと思っているが、ウルトラマン自体が新しいコンテンツを常に仕掛けているからこそ、こうした挑戦も輝いてくるのだろう。

ただ一抹の不安として、「今回、ほぼエース編みたいなもんだから、エース編は無しで良いよね」というメッセージが見え隠れしてならないのだが…、
エース編も、お願いしますね。

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