うつ病からの帰還。

ウツになりそうな人、なりかけている人、真っ只中の人、回復の兆しが見えてきた人へ。

・頭痛、ダルさなどの不調は体が発する休めという信号と理解する。

頭痛薬やビタミン剤、滋養強壮系のドリンクなどはなるべく飲まない。ウツには効果なかった。可能な限りいまのストレスを感じている環境から逃げる。

・社会のシステムを使う。
 
傷病手当金や自立支援などの仕組みはかならず使う。とにかく医療費がかかる。寝ている間の給料保証。お金の心配はしなくてすむならしないほうがいい。社会の仕組みは役所へ手続きに行くだけでも大変、だけど、これだけはなんとしても早い段階で申請すること。

・無理をしない。頑張らない。

とにかくサボることを心がける。
サボらず過ごして社会的な評価を得るより、そのあと無駄に過ごす時間とのトレードオフで考えたら、サボったほうがいい。

・一日布団で過ごすことになるので寝具はいいものを揃えたほうがいい。

ウツになるとネットでポチるということもできなくなる。僕はシモンズのマットレスを買いました。

・真夏でもシャワーを浴びることができなくなります。シーツも換えられなくなる。髭も剃れない。

十日に一度は体を引きずってシャワーを浴びました。そのすきに妻がシーツを換えてくれた。髭は床屋へ行ってしのいでいました。

・不安とは戦わない。
 
一生このままかな、これからどうしよう、とか、時間はあるので考えちゃうけど、それについては考えないように心がける。考えてもいいことは思い浮かばない。

・回復の兆しが見えてきたら。

無理は禁物。自分はこれでだいぶ苦しみました。
 
ウツだった期間の負けを取り返そうと、一日がむしゃらに頑張るのですが、体力も筋力も落ちているので無理が効かない。でも気持ちだけはあるのでグワッと行くのだけど、無理。なんとなく以前と同じように動けるまでに半年。

寝て過ごしていた期間に足腰も弱っているので、歩く、自転車などは効果があった。腕の筋力も落ちている。布団を干そうと思ってもできなかった。また、回復段階の時、僕の場合は落ち着かない、じっとしていられない、イライラなどを感じました。医者に言えば薬があり、僕の場合は効きました。

・ウツで寝てても腹は減る。

僕の場合これが大変だった。なぜなら、もともと太りやすい体質の上に寝て過ごし食べる。糖尿病間際まで行きました。痩せろと言われても運動もできず。

ウツから脱出してからは減量に励み、40kg痩せました。おかげでいまはすべての数値が正常値内。

うつ病と診断されて、二年半、終日まったく動けずにいたことがある。具体的にはやる気なし、気だるさ、面倒臭さ、頭痛、不眠、不安。本を読む気にも、映画を見る気力もない。ただ、一日、布団の上で天井を見上げているだけ。それで一日が終わる。

不調に気がついたのはとある夏の午後。どうもダルい。このダルさ、ゴールデンウィーク頃から感じていた。最初は疲れているのかなと、なるべく体を休めるのだけど、一向に回復しない。意を決して医者に行き診てもらうも、特に異常はないですねとの診断。夏バテかもしれないので点滴でも打ってもらえますかとの要望に応えてもらう。

次に来たのが頭痛。色んな種類の頭痛だった。頭の両脇をぐっーと圧えられた感じのものから、頭にバケツを被らされてなんとも重い感じのものまで。また、医者に行く。前回とは違うところ。そしたら今度はウツかもしれないので専門医に診てもらってくださいとの診断。とにかくいろんなことをいっぺんにやろうとしないでなるべく怠けて過ごしてくださいとのアドバイスをもらう。

そして専門医へ。これがなかなか予約が取れない。普通に一ヶ月以上待ち。診察室に入り幾つかのアンケートのようなものに答える。うつ病ですね、パニック障害も併発していますとの確定診断。そして投薬開始。

うつ病にはさまざまな種類の薬がある。そのどれが効くのかはわからない。だから医者のナレッジが頼りになる。まずはこれがいいんじゃないかなという薬を少ない量から投与し、三ヶ月から半年の期間を経て様子をうかがいながら量を調整していく。で、効かないと思われると違う薬を追加。また量を加減、といっても増やしていくだけ。一年後にはどの薬も最大量を投与されていた。

妻が心配して医者を変えるように計らってくれた。新しい医者へお薬手帳を持参して訪ねる。うつの時なので医者へ行くのも大変。真っすぐ歩けないし、ふらつくし、スローな動きしかできない。都会の人混みへ出ることなど無理。まず人を避けられない。

そこの医者はお薬手帳を見るとこう述べた「どの薬も最大量ですね、これじゃだるくなるよ。薬を変えて減らします。」

そこから一年、なんとなくやる気が起きてきて、ネットで調べた美味しいものを食べに行くことができるようになった。徐々に動けるようになり、シャワーを浴びることができるようになった。人に会えるようになった。

そしていま、やる気満々で居る。

けれど医者は治ったとは言わない。再発の可能性は十分にある。

とにかく頑張らない、怠けることに全力を尽くせ。

ちなみに「ウツは心の風邪」という表現は鬱病の薬を製造している製薬会社の広告表現。
真に受けず、体は休みたがっている、脳からの最後のメッセージと受けとめてサボること。

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