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上手になりたいなんてヒトコトも言ってないし1ミリも思ってない-とある不登校児の本音

現在小学6年生の娘。
「ピアノを習いたい!」という本人たっての希望で、我が家から徒歩3分のお宅にピアノを習いに行っている。
小学校2年生ぐらいから通い始めたので、かれこれ3年たったかな?
ちなみに先生は70代後半の元音楽教師。

この3年の間には本当に色々あった。

うっかりレッスンに行き忘れる。
全く練習をしない。
不登校もあり家から出たがらない。
でもピアノはやめたくない。

なぜそうなるに至ったのか?
お互いの色々な想いを、その時その時の娘と話し合ってきた。

とある日。
レッスンに行きたがらない娘に聞いてみた。
私「どうして行きたくないの?」
娘「練習してないから先生に怒られるし」
私「練習すればいいじゃん?」
娘「練習したくないんだもん」
私「でも練習しないと上手になれないよ?」

そのとき、娘が強く、私に言った。
「ピアノが上手になりたいなんてヒトコトも言ってないし、1ミリも思ってない。」

そ!
そ!
そうなん???

想定外~。笑

私「え、じゃあ、なんで通ってるの?」
娘「ピアノは楽しいし先生が好きだから」

納得~。笑

そこから対話を続け。
「ピアノは楽しいから続けたいけど、上達したいわけじゃない。だから先生に『家で練習してきなさい』って言われるのは嫌」
という結論が出た…。

その気持ちは、わかる。
私は、理解できる。

が。
はてさて。

これが私の親世代を生きたピアノの先生に受け入れてもらえるのかどうか…。

しかし。
私は、親。
ですから。
子どもと世の中の橋渡しをするのが役目。

バカ正直に。
でも誠意と感謝を込めて娘の気持ちを先生に伝えてみた。

先生は。
いっぱく沈黙して。
え?って驚いて。
「なるほど!わかりました!」と。
そうして「とっても○○ちゃんらしい筋の通った意見ですね!」と笑ってくれた。

受け入れてもらえた!!!
まさかのまさかで!!!

なんかさー。

世の中は、世知辛くないよ。
優しさで溢れているよ。

ほんとうに。

先生に話しに行く前に、私は娘に聞いてみた。
私「もしも先生が、それを受け入れられないって言ったらどうする?」
娘「それはその時、また、考える。」

そうか。
うん、そうしよう。

その時その時で考えながら道を選ぶって。
大変だけど大切なことだよね。


それから数年後。

さっきピアノのレッスンから帰ってきた娘からの報告。
「ひとつ上のレベルの本になったから、今度からレッスン代が値上がりするってー」

なるほど。
家で練習しなくても。
楽しくて続けていれば。
上達、するもんなんだなあ。

たまには聴きたいとお願いをして、一曲弾いてもらう。

ああ、本当に。
上達してるわ。

無理して練習させなくても。
他の子よりも遅くても。
着実に進んでいるのだなぁ。

しかし思うに。

娘は「自分の環境を自分好みにカスタマイズする」術を心得ているなって思う。
無理やり意見を通すこともなく。
自分のことだけ考えるわけでもなく。

自分の気持ちを大切にしながら、無理のないように環境を作っていく。

そんな、しなやかな強さが、あるんだろうなぁ。

これはきっと。
娘だけではなく。

すべての不登校児に備わっている強さだ。

と、私は思っている。

そうして。
この先を生きる人たちには必要な、しなやかさかもしれない。
とも、思う。