新 隼人 | Takram NY

都市と自然での体験を糧にし、社会の可能性を拡張するビジネスデザイナー。岩登り、山登りが…

新 隼人 | Takram NY

都市と自然での体験を糧にし、社会の可能性を拡張するビジネスデザイナー。岩登り、山登りが好き。Takram NY Business Designer / REI SoHo Flagship元週末店員

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REIで働きながら見る、米国アウトドア市場 - What's REI?

前回エントリーから随分と間が空いてしまいました。2020年初夏にニューヨークに生活拠点を移し、今はTakram New Yorkでビジネスデザイナーをしながら、週に2日程度、全米最大のアウトドアショップREIのSoHo Flagship Storeで店舗スタッフとして働いています。 このシリーズでは、アウトドアの本場である米国のアウトドア市場の今やこれからをテーマに、大都市ニューヨークに住みながら、REIの店舗スタッフとして働いていて感じたこと・考えたことについて、ゆるりと発

    • Hipcamp - キャンプ版Airbnbの成功の秘密とは?

      米国アウトドア市場で飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長しているスタートアップがある。キャンプ版Airbnbと呼ばれるHipcampは、国立公園のキャンプ場から遊休資産となっている個人の庭や牧場、広場などの土地をキャンパーに貸し出すマーケットプレイスだ。今日は、このHipcampの急成長をデザインやビジネスの観点で解きほぐしていく。また、日本で同様のサービスを展開する場合のチャンスや課題についても考察する。 Hipcampとは?Hipcampは、キャンプサイトを探すキャンパー(ゲスト

      • REIカスタマーの分類

        Takram NYで働く傍ら、REI SoHo Flagship Storeのキャンプ/クライミングデパートメントで、週末接客をしています。REIで働いていると、本当に色々なタイプのお客さんに出くわします。それぞれが特有のニーズや課題を持っているのですが、長らく働いていると、いくつかのタイプに分類できることに気がつきました。今回はその7つのタイプをご紹介します。 Type #1 Outdoorsy言わずもがななアウトドア好きの人たち。欲しいものは自分でわかっていて、お

        • REI, Patagoniaのリセール事業成功を支える影の立役者「Trove」とは?

          Patagonia、REI、Arc'teryx、The North Face、・・・。今、アウトドア業界の大手ブランド・リテーラーが次々とリセール事業に参入し、売上を伸ばしている。新しい商品を開発・販売することで収益を得てきた企業が、今なぜ、これまでの事業を自ら破壊するようなリセール事業にテコ入れし始めたのか。前回noteでは、この米国リテール業界でトレンドになっている「リセール3.0:Branded reCommerce」について概観をまとめた。 ブランド・リテーラーがリ

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          2021年クライミングの振り返り

          クライミング始めて6年ぐらい経つ。これまで、どのグレードをいつ登れるようになった、どのルートを登ったなどの成果をきちんと記録には残してこなかった。今年は、年始の時点でこれまで以上に登り込むことが予想できたので、登り込み+トレーニングがどれだけ成果に反映されるのかを単純に見てみたくて記録をつけ始めた。 振り返れば、2020年2月末にスキーで左膝の前十字靭帯断裂。3月に手術し、そこから半年はまともなクライミングはできなかった。ただひたすら失った筋肉を戻すことと、再発防止のための

          2021年クライミングの振り返り

          リセール3.0

          買ったけど使わなかった。 サイズが合わなかった。 パフォーマンスやデザインが想定と違った。 REIで働いていると、様々な理由(言い訳?)と共に、返品や交換をするお客さんがひっきりなしにやってきます。ざっくり見積もって、一日に対応するお客さんの1-2割は返品目的で来店しているような気がします。アメリカに引っ越してきてからのカルチャーショックって何?と聞かれたら、おそらくこの返品カルチャーは真っ先に答えます。それぐらい多い。 REIのReturn Policyはかなりユーザー

          これからのアウトドアとの付き合い方

          本活動の背景新型コロナウイルスがもたらした暮らしの変化 2020年春。新型コロナウイルス(以降、コロナ)のパンデミックによって、僕らの暮らしは一変した。日々の暮らしや働き方、人との付き合い方、移動、学び方などにおいて、これまでとは異なる行動様式を求められるようになった。それによって僕らの価値観も変化した。 アウトドアとの付き合い方も一変した。3月初旬には、キャンプ場が3密を回避できる場所として一時的に注目されたが、外出自粛を受けて全国的に休業へ。アウトドアアクティビティ全般

          これからのアウトドアとの付き合い方

          withコロナ時代のアウトドアビジネス

          はじめにこんにちは。様々なアウトドアギアを簡単に検索・予約できるWebサービス「offto(オフトゥ)」を運営する会社で代表をしています。新型コロナウイルス(以降、コロナ)の拡大防止策として人々の移動が制限される今、僕らのビジネスも観光業・レジャー業のご多分に漏れず影響をもろに受けています。 この状況が1日でも早く収束してくれることが何よりも一番ですが、山中伸弥教授が自身のブログでも伝えているように、コロナとの付き合いは短距離走ではなく1年(または数年間)は続くマラソンになっ

          withコロナ時代のアウトドアビジネス

          アウトドアの未来を考えるワークショップ vol.2

          こんにちは、株式会社RESONATURE代表の新です。様々なアウトドアギアを簡単に検索・予約できるWebサービス「offto(オフトゥ)」を運営しています。 2月中旬、僕らが入居する"外遊び好きが集まる"シェアオフィス「MAKITAKI」でoffto企画・運営のワークショップVol.2を実施しました。1月末に開催したワークショップVol.1の続編として、そのときの成果物である「未来のアウトドアシーン」を創り出す製品・サービス、コミュニティ施策、イベントのアイデアを創出しました

          アウトドアの未来を考えるワークショップ vol.2

          offto(オフトゥ) - ピボットとその理由

          2019年11月初旬、創業からそれまで取り組んできた事業をピボットしました。ピボット前は、東京都心部の集合住宅に住む子どものいる家族を初期のメインターゲットとして、心ふるえるアドベンチャートリップ(キャンプやハイキング、釣りなど)の提案とそれに必要な場所・アウトドア用品を一括で手配できるWebサービス「offto(オフトゥ)」を提供していました。 本noteは僕らにとっての備忘録、そして僕らの歩んだ経験がいつか同じような事業をやりたいと考える人にとってのヒントになればと思って

          offto(オフトゥ) - ピボットとその理由

          アウトドアの未来を考えるワークショップ vol.1

          こんにちは、株式会社RESONATURE代表の新です。アウトドアギアを簡単に検索・予約できるWebサービス「offto(オフトゥ)」を運営しています。 アウトドア業界で起業をしてからもうすぐで1年になります。これまでアウトドアスポーツにがっつりのめり込んでいる人からレジャーとして楽しむ人、アウトドア用品ショップやレンタルショップ、キャンプ場を運営する人まで様々な人にお会いしてきました。 テクノロジーの進化やシェアリングエコノミーのような新しい消費行動の影響を受けて、アウトド

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          Outdoor Tech Service 100 (3/4)

          はじめにこのシリーズは、世の中のアウトドアテックサービスについて整理したものです。全4回の1回目「アウトドアアクティビティやツアー関連のサービス」、2回目「アウトドア用品関連のサービス」はそれぞれリンク先を参照ください。 3回目の本投稿では、「キャンプ関連のサービス」についてです。キャンプ場予約プラットフォームやグランピング/手ぶらキャンプサービスを紹介していきます。 7) キャンプ場予約プラットフォーム7-1. Hipcamp - キャンプ場版のAirbnb 概要:ア

          Outdoor Tech Service 100 (3/4)

          Outdoor Tech Service 100 (2/4)

          はじめにこのシリーズは、世の中のアウトドアテックサービスについて整理したものです。全4回の1回目「アウトドアアクティビティやツアー関連のサービス」はこちらをご覧ください。 2回目の本投稿では、「アウトドア用品関連のサービス」についてです。アウトドア用品のレンタル・シェアのプラットフォームやサービス、買取・販売、保管にまつわるサービスを紹介していきます。 3) アウトドア用品のレンタル・シェアリングプラットフォーム 3-1. Awayco - アウトドア用品のレンタルプラッ

          Outdoor Tech Service 100 (2/4)

          Outdoor Tech Service 100 (1/4)

          ※2020年12月24日 一部情報を加筆・修正。 はじめに こんにちは。アウトドア用品を借りたいユーザーと貸したいショップを繋ぐプラットフォーム「offto(オフトゥ)」を提供する株式会社RESONATUREの代表をしています。 2019年も残りわずかになりました。アウトドア業界に関わりもうすぐで1年になりますが、年末のこの機会にこれまで弊社事業内容を検討する過程で調査してきたアウトドアテック(こういう言葉があるかは知らない)のサービスを整理し、公開することにしました。主

          Outdoor Tech Service 100 (1/4)

          全てはビジョンづくりからはじまった

          社名「RESONATURE」に込めた思いRESONATUREは、英語のResonate(心の中に響き渡る、共鳴する、共振する)とNatureを組み合わせた造語。自然の中にいると、自然の雄大さに圧倒され感動し、いつもの当たり前のありがたさに気付かされる。また、一緒にいる家族や仲間との絆が深まっていくことも感じる。そうした体験(我々はこれを「心ふるえる冒険」と呼んでいる)をもっと多くの人に届けたい。そして、同じように心ふるえる瞬間に立ち会ってほしい。そう思い名付けた。 社名は経

          全てはビジョンづくりからはじまった

          株式会社RESONATUREができるまで

          2019年1月25日、株式会社デンソー(以下、デンソー)の中村耕治氏と共同で、ワンストップ冒険旅行サービス「offto(オフトゥ)」を提供する株式会社RESONATURE(以下、RESONATURE)を設立した。今日は、大企業発の新規事業アイデアをスタートアップとして始めるに至った背景を話したい。 はじまりは大企業の新規事業共創活動からofftoの元アイデアは、もともと僕の古巣であるイノベーション・ラボラトリ株式会社(以下、i.lab)と当時i.labのクライアント企業であ

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