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憑依する表現者

もう少しで終了するという、「丑三つの村」という映画を見ていました。
故古尾谷雅人さんが、主人公の継男を演じて話題になりました。

皆様もご存知の通り、これは実話で
【津山30人殺し】と言われているものです。 

わたしはこれを本で読んで知ってはいましたが、
映像で初めて見ました。 
多少、実話とは違うところもありました。

お勉強ができた継男は尊敬されながら生きてきましたが、時は戦時中、そして継男の家は両親が早く亡くなり、畑を売りつつほそぼそと祖母と2人暮らし(実話では姉もいたが、嫁いだあと2人暮らし)です。

先生になりたかった継男ですが、学校に往くお金もないことを知り、兵隊になって戦地に赴くことが夢でした。

ですが、彼を襲ったのは結核という、当時は死の病と呼ばれたものになって、兵役はいつも落ちてばかりでした。

神童とまで言われた継男ですが、結核だとわかると、今まで親しくしていた女たちもあからさまに継男を避けてバカにしました。
狭い村ですから、ある一家族を除いて(その家族は殺さなかった)、村人全員が継男を馬鹿にして嫌がらせをしていました。

追い詰められた彼がしたことは、
祖母を最初に殺めてから(後に残っても辛い目に遭うからだと察せられます)
村人全員を殺しに行きます。



この映画は、性交シーンばかりがクローズアップされていますが、
わたしが驚いたのは、古尾谷雅人はそこには全く
いなくて、継男の魂が乗っとったかと思うほどにどハマリしている古尾谷雅人さんでした。



この役は大役であったかもしれませんが、

彼のような繊細で【憑依型】の俳優さんは、止めておいたほうが良かったのではないかと思います。


 
わたしは下手くそながらも、たまに朗読を上げさせていただいております。

そしてたまには泣きながら、そしてたまには本当に怒りながら読んでおります。

下手くそとは言え、それなりに下読みしている段階では出ない感情が、本番になると爆発するのです。
自分が何故泣いているのかわからないときもありました。

わたしですら【憑依】を受けるのです。
一番辛かったのは、「星の王子さま」を読んだときでした。

朗読が終わったあと、しばらくの間はなにもできなかったのを覚えています。

なるべくそうした影響を受けない作品を読んでいたつもりでしたが、「星の王子さま」にも、なにか魔法がかかっているのかもしれません。