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20171027 アンアーバー到着と思いきや

昨晩も寒くて深夜に目が覚めてしまったからか、それとも恐怖で眠りが浅かったからか、ちゃんと睡眠を取れた気がしない。

それでも日が昇る前には、この公園を去らないと通報されかねないという恐怖に動かされて日もまだ登らない時間に起きて寒さに凍えながら出発の準備をした。
準備を終えて、とりあえずは朝食をとるために近くのサブウェイへ。入店しても暫く出て来ないので何度か呼びかける事となったここの店員の女性は朝シフトだからなのかすごく単調な対応だった。
私は一度気にいると飽きるまで同じものを食べる傾向がある。もちろん昨日と同じベーコンエッグとチーズのサンドイッチにした。
でも一緒に頼んだコーヒーが何故か蜂蜜の風味がして美味しかった事は覚えている。

身体も温まり、Wi-Fiもゲットして経路を確認する。そういえばグーグルマップはオフライン時に車の経路だけでなく自転車や徒歩の経路も出せるようにすべきだ。そうすればこうして経路の確認のためにわざわざWi-Fiスポットを探す必要も無くなる。

大きな道路を走るのも楽だが、飽きてきていた。
思い切って少し変わった道を走ってみようと思った結果、どうやらその辺りに住んでいる農家くらいしか走らない舗装もあまりされていない様なアップダウンの激しい道路とぬかるんだ森の中を通るルートになってしまった。

走っている時に退屈しないのは良いが、流石に舗装されていないのは辛い。
更にはこの森の中では銃でハントが出来るらしく、その銃声が何度も聴こえてきていて気が気でない。

ただ幸いなことに今日で野宿するのは終わりだ。
今夜はアンアーバーに到着して、ブレックファースト アンド ベッド、略してB&Bと呼ばれる朝食付きで一般の家を改造した部屋に安く泊まれる場所を利用する予定だ。つまるところ日本で言う民宿である。

ちょうど小雨もパラパラと振り始めていたのでアンアーバーでの観光は雨天になるだろうか。

ようやくアンアーバーの宿泊先に到着した頃には雨足は弱いながらもすっかり振られていて、これでようやく身体を温めることが出来ると思った。

本当に一般の家に泊まるのだなと感心しながら扉を叩くものの反応がない。
仕方がないと思い、幾つか候補にあった別のB&Bの場所を当たってみようと思ったとき、中からオーナーらしきお婆さんが出てきた。
彼女曰く、今日は部屋はないらしい。

そして、この辺りのありとあらゆる宿泊先は何処もいっぱいだという事実を知った。

どうやらフットボールの試合がこの街で有るらしく、観光客が今週末は多く訪れていたらしい。

完全にアンアーバーを少し観光して、温かいシャワーと温かいご飯を計画していたので、また雨の中で野宿する事を考えると目眩がした。
途方に暮れてしまっていると、困り果てた私に同情してからか、彼女は外が寒いから家の中でWi-Fi使って別の宿泊先を探していきなさいと言ってくれた。

上手くコミュニケーションも取れない私にコーヒーまで出してくれたり、別の民宿に電話して紹介してくれたりと、色々と助けていただいた。ただ、紹介してくれた別の民宿は一泊百四十五ドルと電話で言われたので流石に断った。
ずる賢いことを考えれば、ここで彼女の優しさに漬け込んで庭先に野宿させて下さいと言えばいけたと後になって思う。

結局、私はアンアーバーでの一泊を諦めてここから三十キロメートル走った先のノバイという町の近くにあるモーテルをブッキングドットコムで予約した。因みに一泊五十ドルである。

ここに泊まる予定のゲストも到着し、何となく居れない雰囲気なのは鈍感な私でも解ったので、コーヒーと優しさに丁寧な言い方も出来ずに早々とお礼を言って退出させて頂くことにした。

雨が激しく降る中に移るアンアーバーの街並みは綺麗な煉瓦造りの建物が多く、劇場やパブのネオンが映えている。そこを急ぎ早に歩く人々は何処となく楽しげで、何故か悔しかった。

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