朝。案の定、物音で何度も起きてしまい熟睡とは行かず。

ゆっくりと十時ころからホステルを出る。

すっかり英会話の自信を消失してしまった私は挨拶もままならなくなる。

いや、それは昔から苦手だった。

物心ついた頃から声が小さいということをよく言われ、挨拶もこっちがしても気が付かれず。あちらからしても無視されていると勘違いされ、だったら無理にするものでもないし必要の無いこと。あなたが必要と感じていて、そちらから声をかけてきて私の返事をきちんと聴く姿勢にしてくれるならば対応しますよ。的な屁理屈を並べてから二十代が過ぎた。大人になっても元働いていたスーパーの店長に怒られた事すらある。

英語圏、いやそこまで大きくなくても最大八人が一つの部屋で生活の一部を共にする空間を安全に快適にするには、日常会話も大事だが、それすらまともに出来ない私には挨拶をちゃんとするところから始めなければならなかったのだ。


そんな反省は一先ず置いておいて、今日は唯一シカゴ巡りが出来る日だ。

会場が分からなくて朝食を食べ損ねたのでまずはマクドナルドに行ってみる事にした。よくわからないままチーズバーガーを頼んだのだが自動的にテイクアウトになった。仕方が無いので近くの公園に向かい座って食べながらグーグルマップで辺りを散策してみるとすぐ近くのデパートのような所に東京三菱UFJ銀行があるらしい。そこなら英語が出来ない日本人でも対応してくれるだろうと浅はかな考えでそこに向かい、暫く探してみたのだが無い。

セキュリティらしき大きな身体の黒人の女性職員にも尋ねてみたが、違うビルにあるような事を言われたような気がした、気がしたというだけではっきりとした確証と場所は理解して無いので諦めて適当に歩いていたらあった恐らく一般的な銀行に入ってグーグル翻訳を使いながら両替の対応をしてもらう。非顧客手数料に一万円くらい取られたのは仕方が無いことだったのだろうか……。ただ、対応は良かったのでまあ良しとする。もう、なんでもいい。

用事も済んだのでパルテノンパークにある銀色の大きなビーンを見に行く。それから湖畔のサイクリングロードを通ってgramaphone recordで幾つか試聴しているうちにレコードを三枚購入。お昼ご飯はレストランに入るのも恐ろしかったのでフードマート兼ドラッグストアのお店で水とチキンのサンドイッチを買って店内にあった小さいカウンター席で済ませた。
因みに、レストランに行くよりもストアで買ったほうが幾分か安いと踏んでいたのだが、良く良く考えるとそうでも無いらしいことに気づく。気に入って二回も食べた大きなサブも税入れて六ドルはするわけで、近くの安いピザ屋のドリンクとワンピースピザのセットでも同じくらいの値段だった。


その後は一度ホテルに戻り、昨日と同じハムとチーズとほんの少しペパロニが入ったサブを同じドラッグストアで買って済ませてから一眠りしてthe MIDという近くのナイトクラブに向かった。