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MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8 New

今回のレンズMINOLTA AF MACRO 100mm F2.8 Newは1993年に発売された結構古いレンズで、このレンズを体験(所有)せずにαを語って欲しくないレベルの神々しさを放つレンズです。

1985年のMINOLTA αシステム発売後、1986年(昭和ですよ…)から存在するMINOLTA AF MACRO 100mm F2.8の後継として1993年に発売されたレンズですが、Newは初代からFHB(Focus Hold Button)と円形絞り、外見の変更を加えアップデートされ、更にその後操作性等の変更を受けたAF MACRO 100mm F2.8 (D)へ、SONYへ移管後にも100mm F2.8 Macro (SAL100M28)として30年以上の長きにわたり光学設計はそのまま継続して販売された息の長い長寿レンズです。

かつてMINOLTA αシステムにはMACRO 100mm F2.8以外に100mm F2と SOFTFOCUS 100mm F2.8と2本の100mmレンズが存在し、AF MACRO 100mm F2.8と合わせて3本存在したのですが、そのどれもがユーザー評価が高く、その中で生き残ったレンズでもあります。


F4.5
F5.6

AF MACRO 100mm F2.8は、マクロレンズと言えば解像力一辺倒だった時代に〝ボケ質と解像力の両立〟を果たした数少ないレンズと言え、タムロンが複写用途メインのマクロレンズ界隈にネイチャー/ポートレートというジャンルを開拓したと考えられますが、AF MACRO 100mm F2.8はその後のAF等倍マクロレンズの描写傾向を決定づけたと言っても良いかも知れません。

かつて自分はNikonをメインにしていましたが、NikonのMicro(マイクロ)とは全く異なる官能描写(ボケ質)が羨ましく、このレンズの官能描写は他マウントユーザーのマウント乗り換えを少なからず促進したようですし、個人的にA(α)マウントレンズでベストレンズを選ぶとしたら85mm F1.4と並びマクロ撮影はしないのに50mmか100mmどちらかのマクロレンズ選びたいと考えてしまう程です。
実際、かつてKONICA MINOLTAがカメラ事業から撤退した際、中古市場が急騰した折りには85mmを始め幾つかのレンズは手放しましたが、描写や使い勝手から代替手段が見つからないマクロの二本は手放しませんでした。

今思うと85mm F1.4Gや50mm F1.4 newは残しておくべきだった気がしてなりませんが、新品購入価格の2~2.5倍の値が付いていたのでカネに目が眩んで、つい…
あ~~~、やっぱ、先達の教えどおり〝カメラは手放して良いがレンズは手放すな〟は真ですねぇ。。。

F4 /  朝比奈 夢空


MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8 New、高級/高性能レンズという括りでは無いので見た目にはプラで安っぽくて神々しさなど微塵もなく、別段どうと言う事は無いのですが、フィルター径はA(α)マウントで多い55mmと小径で、鏡胴は先端に向かって一回り細くなっておりフードを逆付けしても太さはレンズ自体と殆ど変わらず比較的小型と言える鏡胴と相まって扱いやすい収納/可搬性か特徴です。

この特徴は(D)で無くしますが、Newで存在したフードのロックが緩めで外れやすい欠点が改善されます。

先端は少々外径が細くなっている
フードを逆付けしても外径が殆ど変わらないので収納時に場所を取らない

外径も全長も大きくはないレンズですが、E(FE)マウントで使用する場合、LA-EA3/LA-EA5を介して使用する事になり、FEマウントの巨大単焦点レンズ、Planar T* FE 50mm F1.4 ZAやFE 85mm F1.4 GMより長い全長となり可搬性は損なわれてしまいますが、これはやむを得ない…

フォーカス時にはレンズ先端がぐぐっと5cmほど長くなります。
現在はインナーフォーカスという全長が変わらないタイプが普通ですが、この伸びる形式はAFが遅く、耐候性/機密性を実現しづらいとか、他にも理由があるかも知れませんが、AFレンズに関しては2022年現在あんまりないような。
伸びた分を予め確保して全長が長いレンズより、収納可搬時にはコンパクトになるので悪くないと思うんですけどね。

通常、マクロレンズはフローティングフォーカス(ダブルフローティング)方式と言う収差を補正する機構を有していて、それはこのレンズにも採用されています。
詳しい仕組みは検索して欲しいのですが、単純に説明するとピント合わせ以外の目的(収差補正)でレンズが動く構造を指し、遠景と近接でレンズがそれぞれ有効に動作し、距離を問わず高い描写力を発揮出来るようです。 
実際に見ると、伸びた鏡胴の中に更に筒があってその中にレンズが埋まっており、倍率によって少々不規則と言うか不思議な動きをします。
大して明るくないマクロレンズが案外高額でAFが遅いのは、その複雑な構造にあるのかも知れませんね。


レンズ左側のフォーカスフォールドボタンとフォーカスレンジリミッター

FRL(フォーカスレンジリミッター)は等倍~0.25倍と0.25倍~無限遠とに任意で切り替えが出来ます。
操作は単純で、無限遠の際にLIMITにすれば近接は0.25倍までに制限され、0.25倍以上の倍率でLIMITにすれば等倍~0.25倍の接写専用になります。
FULLの場合は測距制限はなく、等倍から無限遠まで測距走査します。

FRLの隣はFHB(フォーカスホールドボタン)。
この機能はこの世代からだと思いますが、現在に比べ小さいです。
Eマウントボディとは異なり、A(α)マウント時代はカスタム設定で割り当てられる機能も少なかった。


レンズ内部には鏡胴内反射を防ぐ為に植毛処理が施されています。 これは弟分と言えるMACRO 50mm F2.8も同様で、上質な描写を得る為には普及クラスのレンズといえども手間を惜しまない丁寧な姿勢が感じられて好印象です。
尚、鏡胴内の部品には〝MINOLTA 1993〟と刻印があります。

植毛処理されたレンズ内部


描写はピントの合った部分は絞り開放から十分にシャープ。 周辺は多少緩さを感じますが、まぁまぁ実用範囲で不明瞭な感じは殆どありません。
1段絞りF4とすると中央は文句なしになって周辺も向上し画面全域で大きな不満はなく、F4.5~F5.6で周辺減光もあまり目立たない描写となります。
普及クラスの30年選手である事を考えると手放しで褒め称えたい描写性能ですね。

F2.8 開放
F2.8 等倍切り出し中央 結構シャープ
F2.8 等倍切り出し右上 ちょっと緩いけど中央とは距離も違うからな…
F4 等倍切り出し中央 開放からちょっと向上し、より良い感じに
F4 等倍切り出し右上 明瞭度が増して周辺減光もだいぶ解消された
F5.6 等倍切り出し中央 文句ない
F5.6 等倍切り出し右上 文句ない

全領域性能MAXはF7.1~F8と言ったところだと思います。
中央は絞れば向上しますが、元々良いので見違えるような大きな変化はなく、周辺が向上するイメージです。 F11になると全体的に少々甘くなりますが、常用範囲。 F16になると描写は明らかに甘くなりますがギリ、それ以降はだいぶ緩いです。 F32は特殊用途向けかも。

「マクロレンズは近接撮影向きなので一般的に遠景は弱い」というのはマクロレンズを紹介する際によく使う枕詞ですが、AF時代以降フローティング(ダブルフローティング)方式を採用していないマクロレンズは存在していないと思うので〝遠景が弱い〟マクロレンズってン十年前から既に存在してないんじゃないかと…

現実的なところ同世代の他社製マクロレンズも遜色ない解像力でしょうし、現代のレンズに比べると劣るでしょう。 
実際、同じ100mm F2.8であるFE 100mm F2.8 STF GM OSSに比べると見劣りするのは間違いなく、カメラ側の画素数が増加すればその差は尚開くと思われますが、4200万画素程度なら「描写が甘い」と感じる事は無く、2022年現在においても高いコントラストと解像力を持っていて、不足を感じる事は殆どないんじゃないかなー

F2.8 夕暮れの光量の少ない状況でも開放から安心して使える


マクロレンズの専売特許、接写に関しては専門外なので作例は殆どありませんw 機能的には等倍マクロなのでレンズ先端から被写体まで15cm位接近出来ます。
その領域だとピントの薄さは紙の薄さとかそんなレベルだし、露出倍数の影響で実効F値は低下し、手持ちではワタシなどでは手に負えません…

この〝接近する〟という撮影スタイルはマクロレンズの真骨頂といえ、マクロレンズでなければ成し得ないものですね。
もーなんだか理由はよく判んないけど、楽しいとしか言えない。
明るいレンズは確かにエライが、接近出来るレンズはもっとエライ、という事を知って欲しい。

F5.6 被写体まで1m程度
F13 等倍 これだけ絞り込んでも被写界深度は浅い…


マクロレンズは歪みや色収差が少なめですが、MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8 Newは、APOレンズとかEDレンズとかUDレンズとか言われるものを使用していないので絞り開放ではピントを合わせた前後に現れる色づき、軸上色収差が発生します。
複写マクロとして完璧な描写を求める用途には物足りないかもしれませんが、1.5~2段絞れば消えるし、F1.4クラスに比べれば大人しいのであんまり気にならないです。

F2.8 開放近辺ではピント前後が変色する軸上色収差が現れます


冒頭書いたように、このレンズの特徴は解像力とボケ質を高い次元で両立している事で、解像力に関しては先述の通り納得出来るもの。
ボケ描写はどうか?ボケ描写に影響する口径食と羽根形状を誤魔化しづらいイルミネーションでの点光源描写を見てみましょう。

F2.8 (開放) 口径食が目立ちますね
F4 口径食は収まってきて羽根形状は円形のまま
F4.5 羽根形状はちょっと崩れてきたけどギリ丸く、口径食は気にならないレベルへ
F5.6 カクカクが目立ってきた
F8

New型は9枚羽根の円形絞りですが、1段は完全に円形を維持していてF4.5までは円形と言って良いでしょう。 F5.6になるとカクカクが目立ってきますが見苦しいと言う程ではないですね。

現在に於いても〝カタログスペックで謳う為の円形絞り〟レベルのレンズが多いと感じますが、MINOLTAは違います。
他社に先駆け早い時期から積極的に円形絞りを採用してきたMINOLTAですが、その完成度は1993年発売のレンズで既に完成の域に達していると言えましょう。 円形絞り自体は1987年発売の35mm F1.4や85mm F1.4で採用されているらしいので、もしかしたらその当時からかも…
MINOLTAすげー!

滑らかな点光源の縁と綺麗な内部

非球面レンズというものを使用していない為、点光源内部に年輪状のグルグルはなくクリアで綺麗。
通常、絞ってゆく程点光源の縁は太く見えて目立ってゆきますが、縁が細く目立たないので絞り込んでいっても縁が強調された五月蠅い描写になりません。
このレベルの点光源描写が可能なレンズは現在でも多くない。


イルミネーションで問題ないので条件の緩い自然光環境で問題が発生する可能性は極めて低いのですが、日中屋外の葉っぱがお日様を反射しているキラキラ状況では…

F2.8 開放 ボケが暴れていてそんなに酷くは無いけど、口径食が目立ちますね
F4 まだ口径食の影響がありますが、開放より安定したボケ描写で良い感じです。
F5.6 文句ありません
F8 この絞りでも点光源は強く主張せず文句ありません
F8 等倍切り出し

F8まで絞り込むとピクセル等倍では円形絞りの効果が消失してカクカクが判別できるものの、点光源周囲の縁が大人しく周囲に馴染むような柔らかい描写なので鑑賞解像度では点光源は丸く見えます。

マクロ領域ではボケ量が増える為に絞り込むと羽根形状が目立つ可能性がありますが、通常撮影距離で開放でなら兎も角、絞り込んだ状態でこの描写は、絞り羽根形状を問わず縁取りが強く主張する点光源描写の固いレンズでは到底無理な描写で〝ボケが綺麗〟と評するレンズであれば、このレベル描写力は最低限必要と言いたい。
MINOLTAでは30年以上前からこれ、、、やっぱMINOLTAスゲェー!


以前も書きましたが、シャープだのなんだのってのは、どんなに持て囃そうと時が経てば追い越されてしまいます。
ミラーレス時代になってからはレンズ開発速度が格段に速くなり刷新されるペースも速くなっているので、解像力だけを重視すると後続に簡単に追い抜かれその存在意義を失いますが、ボケ質という定量評価が困難な官能描写は価値が落ちる事はないし、追い抜かれる事もなく美しいままです。
勿論、必要十分なシャープな描写があってこそ、ボケ質の価値があるのですが。

F10 ピンがズレたが鬼絞りしてもボケ量が多いので優しいボケ描写に見える
F5.6
F4.5 このカットや上のカットはこのレンズじゃなければ、という事はない


MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8の描写は、ボケ質の評価が高いMINOLTA AF 85mm F1.4 (85mm F1.4 G / 85mm F1.4 G (D))やその後継と言えるSONY Planar T* 85mm F1.4 ZA (SAL85F14Z)とは双璧と言える描写で、後ろボケの柔らかさでは多少劣ると感じる場合もありますが、点光源周囲に変色が現れない分、作画意図によっては印象が良い場合もあると感じます。

百川晴香   /  AF MACRO 100mm F2.8 New / F4 背景の強い点光源も優しく描写している
SONY Planar T* 85mm F1.4 ZAのF4。 こちらの方が更に柔らかい印象だが、良い勝負
柳川みあ  \   AF MACRO 100mm F2.8 New \ F4 特に問題を感じない描写
SONY Planar T* 85mm F1.4 ZAのF4。 MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8と良い勝負


AF MACRO 100mm F2.8 New \ F4 特に問題を感じない描写
SONY Planar T* 85mm F1.4 ZAのF4


  AF MACRO 100mm F2.8 New \ F4 
SONY Planar T* 85mm F1.4 ZAのF4。 もう、どっちがどっちだか判らんw

ボケ量で誤魔化す必要がなく、どちらも〝問題が無い〟ので甲乙付けがたい。
MINOLTA AF MACRO 100mm F2.8はポートレート撮影でもその優れた描写性能を遺憾なく発揮出来るレンズだと断言出来ます。
というか、適した状況や状態を選べば被写体を選ばないだけですけどw

かつて唱えられていた〝人物撮影85mm派 vs 100mm派〟で100mm派に属する、近接を50mmで賄う撮影スタイルでは中望遠として有効な選択肢と言えるでしょう。
ボケ量として少々物足りない場合もありますが、、、そうなったら100mm以上の焦点距離の出番ですね。 ボケ量はF値だけではなく焦点距離で稼ぐもので、F値に頼ると口径食を無視する事になり〝好ましいボケ描写〟から外れがちになってしまいます。

あ、大きくボカしてしまうと善し悪しなんて判りませんよw
バカボケさせてたり、薄暗い場所から明るい方に向けて撮ると、だいたいどんなレンズもマトモなボケ描写になりますので…

F4 木漏れ日系点光源は大概どんなレンズも縁の目立たない点光源描写になる

FE 100mm F2.8 STF GM OSSの項で書きましたが、自分は85mm派に属するのでポートレートでの100mmは近接が50mmになってしまうという理由で通常使いませんが、日中屋外で35/50/85/100/135/200のうちどれか1本を選べ、であれば85mmより100mmを選ぶかも知れない。
ま、過去に実際そうしてる訳ですけどw

F3.5 枝だらけで背景が五月蠅い危険な状況も無難に描写

解像力と口径食の低減、絞り羽根形状の維持だとF4~F4.5がオイシイ(万能な)絞りと考えています。
当然、被写体や作画意図、状況によって適切と考える絞りは変わりますが、人物ならF4~F4.5にしておけば描写が破綻する事は少ないと思います。


MINOLTA αシステムはそのシステムが成熟するにつれ性能を誇示する動体撮影ではなく、解像力やボケ質が重視されるネイチャーマクロ/ポートレート撮影に適するという特性を訴求していましたが、実際こういうボケ質を普段から見ていたら、これが普通になってしまってボケ質への基準が上がってしまうのは仕方がないんですよ…

F4.5 強めの反射系点光源ではクリアですがちょっと固めに感じる

とはいえ、ボケ質は完璧では無く、点光源縁が固く感じる時もあるし、前ボケ/後ろボケ共に二線ボケは出やすいと感じますが、二線ボケの発生頻度の高いレンズだからボケ質が悪い、と言う訳ではありません。
かの〝絶対神〟STF 135mm F2.8[T4.5]やその後継FE 100mm F2.8 STF GM OSSも二線ボケとは無縁ではありませんし、だいたい解像力の高いレンズには出やすいものです。

F11 光芒は普通だが、良い感じのレンズフレア

ボケ質と解像力を高い次元で両立させたMINOLTA AF MACRO 100mm F2.8には〝神レンズ〟と称したい気持ちもありますが〝神〟はそう易々と手に入るようなものであってはならないので控えめに〝神がかったスーパーレンズ〟にしておきたい。

このレンズを使っていると、MINOLTAは技術やアイディアを惜しまず出し尽くして手を抜かない、大阪人らしい徹底したコテコテぶりが結実してこういう凄すぎるレンズを生んだんじゃないかぁ…とか思ったりします。
実際のとこ知らんけど。


F10 砂のように見える雪だが…
等倍で切り出すと、溶けて氷になっている事が判る…マクロの醍醐味ですね


このレンズ、描写に関しては現在でも十分通用して個人的に欠点らしい欠点はないのですが、AFの遅さとバージョンによっては操作性の問題、そして(当時としては普通なんだけど)自然環境で使用するには心許ない非・防塵防滴と言ったところが問題でしょうか。

AF速度はフォーカスで全長が変わるマクロレンズでは普通だと思われますが、あまり速さに拘らない自分も「これは…遅い…遅いぞ…遅い……」と感じるレベルで遅く、ポートレートなどマクロ領域にまで接近しないならFRLによる測距制限(0.25倍)は必須と言えるでしょう。
FRLは大ボケしないよう測距制限しているだけなので構造的に速くなるワケではありませんが、等倍までレンズが伸びる事はないので大ボケからの復帰がだいぶマシになります。

F4.5 測距制限した0.25倍でもこのくらい接近出来る
フォーカス部 等倍

FRL(フォーカスレンジリミッター)は初代から搭載されているのですが、初代とNewの機能的な違いは円形絞りとFHB(フォーカスホールドボタン)の有無でしょうか。

FHBはNewのような古いレンズでもLA-EA5を介した状態で本来の機能だけでなく瞳AF等の割り振りも可能。 仕組みを考えたら「そりゃそうだろ?」的な気もしますが、メーカー違いの30年選手が最新レンズと同じ機能ってのには地味に感動しますぜ。

F4.5


AF測定点はネイティブAマウントのA99 IIで使用する場合、MINOLTA時代のレンズは(D)ならハイブリッド位相差検出AFが問題なく使用出来ますが、それ以前のレンズは専用位相差AFセンサーに制限されAFフレーム選択の自由度や認識力が低くなります。
SONY Eマウントαシリーズの場合だとAFで使用出来ても事前の下調べは必要です。

AF MACRO 100mm F2.8に限定しませんが、A7系はA99 IIよりAF周りは劣るので、そういった意味も含めて、ボディ側のボタン設定はどこかに〝AF/MFコントロール〟と〝ピント拡大〟を入れておいた方が良いです。
AFが迷った時にはピーキングもあるし、ピント拡大もあるので役立つ。

LA-EA5はモーター非内蔵レンズでAFが使えるだけでなく、初代やNewといった20年以上前のレンズに優しい…
SONYさん、マジでありがとう…

F2.8
フォーカス部 等倍

初代/Newと(D)やSONY製の大きな違いはフォーカスリングにあって、古い物はリングがレンズ先端で細くAFフォーカス時に回転するので操作性/保持性はあまり良いとは言えない反面、クラッチが無いからかリングに遊びがなくMFでのダイレクトな操作感が良い、という。 ま、ねっとりとして吸い付くような操作感ではありませんけど。

(D)やSONY版はFHBも多少大きくなっていますが、側面に一つなのは同じ。
機能的には距離エンコーダの有無があります。 オート(TTL)でストロボを使わない限り意味がありませんが、TTLで使う人には必須機能と言えます。

F5.6

SONYバージョン 100mm F2.8 Macro (SAL100M28) は2022年3月現在、流通在庫でギリ新品購入可能ですが、中古だとだいたい
・初代 9000以下
・New 14000前後
・(D) 18000前後
・SONY 23000前後
カビやゴミやクモリのない極上品であればこの辺りが相場と言うか…適正でしょうか。
MINOLTA版は修理対応期限が切れていますし、希少価値がある訳ではない16-30年前の普及レンズでタマ数も多いので、最初はお試しで激安を狙って、気に入ったら上玉を気長に探すのが良い気がします。

AFでの動作保証/動作制限や修理を含め考えるとSONY製が良いと思いますが、絞る事が多い用途では円形絞りは殆ど関係がなく初代でも良い気がする反面、古い程コンディションには問題があると考えられるので、やっぱりSONY製が無難ですかねぇ…
個人的にもSONY製に買い換えたいですし…

尚、私物はポツポツと少々カビがあります。
無いに超した事はないですが、写りには大きく影響しないので余程大量にゴミやカビが無い限りはあまり神経質になる必要はないかな、と。
マクロレンズは自然環境でレンズ交換する機会がとても多いので、ゴミが入り込むのは仕方ない。


今回、久しぶりに色々と使ってみましたが、良いレンズだと使えば使う程に再確認出来ましたね。
やっぱり描写は一級品。
現行レンズと混在させると解像力で劣る事は体感出来ますが、全体的な描写では劣る要素を全く感じないです。 たのしい。

手持ちのカメラの可能性を広げるスーパーアクセサリーLA-EA5と併せても3~4万円程度で現在のレンズに引けを取らない・ある部分では勝るAFレンズが入手出来るというのは〝破格〟と言わざるを得ません。

Aマウントには性能に対して破格と言えるレンズが幾つかありますが、MINOLTA直系の普及レンズという括りでは、このAF MACRO 100mm F2.8は筆頭の一本。 STFと同じくボケ質と解像力の両立を果たしたレンズの価値観を知る上で必携と言えるレンズでしょう。

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