『転がす』#196

サッカーW杯を大熱狂と興奮とで観ていて、ドリブルが上手いってのは色んな要素で成り立っているんだなとしみじみ思ったもので、そのうちの1つが、ドリブラーの考えに沿うように適切に転がされているんだな、というところ。
他の要素はと書き出してみればいくつかあって、味方と相手の位置と距離と体の向きと移動速度&加速度とを視野広く正確に見極められていること、相手がディフェンス対応し難しい速さ(身体とボールの移動スピード自体と、足さばき的な動作スピードの両方)で動けていること、それとドリブルのうまさとは少し線がずれるかもしれないが、相手に身体を寄せられても倒れず足元はしっかりと思い通りに動かせるだけのボディバランスの良さ・強さ、あとは先述のボールを適切に転がせるテクニック、そこ。サッカーはボールを蹴るスポーツだけど、ことドリブルに関しては蹴るというより転がすっていうのが適当だなぁと、アザールやメッシ、ネイマール、エジルのドリブルを見て思った。
ボールを“転がせる”って、並みのことじゃないってことはフットサルをして思ったことだ。ゲームをするでもなく、ボールを蹴りあっているときにしてもそう。少し力を入れればすぐボールは浮くし、スピンがかかって、まっすぐには転がらないで浮き玉になる。転がすには、上からなぞる。ドリブルにしても同じことだとわかった。蹴れば、飛ぶ。前に押すようにして運んでみるけどそれは走る脚とのスピード差で難しい。走りながら脚を止めるような感じで、難しいし骨と筋肉がおかしくなりそうだった。だから、走る脚のテンポと動きに合わせて転がすならば、アウトサイドで側面を滑らせるか、あとはボールの上面を足裏でなぞる。というのがフットサルでの所感。たぶんサッカーではボールが大きくて上面をなぞるドリブルは動きのロスが大きいからか、あまり見ない。つまさきで、まるで職人がたこ焼きを竹串で世話するように、細かく触れる。アザールやメッシは突く感じ、ネイマールはつま先にまさに“引っ付ける”。
W杯は発見が多い。
建築設計では転がすとは使わないけど、不動産だったら“土地を転がす”だなんて慣用表現がある。それは売買を指すわけだけど、もっと自らの意思直結で自由に思い通りに動かすことを示しているのだろう。ものを上手に思い通りに転がすあめには、手を離しすぎてはいけない、そんなふうに結びつく。

#転がす #180702

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