『相似』#355

相似、中学数学で合同ののちに習う、ある図形とある図形が拡大図・縮図の関係にあること、あるいは、ある一つの図形を均等に拡大縮小するともう一方の図形と完全に重ね合わせられること。また、拡大縮小をすると二図形が合同になること、とも、合同を習得したのちにはそう言えるだろう。
中学生に、相似形そのものを教えることは決して難しいことじゃない。加えて相似条件についても、三つ覚えてもらえれば利用することが難しいことでもないように、掴んでもらえる。他方、難しいのは、線も図形もごちゃごちゃと混みいった図の中で、いかようにもたくさんの三角形や四角形が見て取れる図の中で、「線分BHの長さは」「∠BCEの角度を求めよ」「三角形ABDと四角形HGBDの面積の比は」と問われる問題。手持ちの武器は「図形の相似」「辺の比」「平行線の対頂角・錯覚・同位角」「中点連結定理」「三平方の定理」などがあるにはあっても、ゴールとする求めたい値にたどり着くまで逆算した道筋、見えている図形から各部分の値を求めていく際のスタート地点からの歩み進め方、迷ってしまって「何をどう求めたらいいのかわからない」となる。例えば相似な図形が見えていたって、辺の比を用いるのか対応する角度が一緒であることから外接円を発見できるとか、とにかく回路が繋ぐことができなければ回答までたどり着かない。
先日、中学生に解いてもらった問題では関数のグラフと複合してややこしいものがあった。平行線と、交差する直線が複数本ある。平行線との間に、砂時計型の相似な三角形ができる。ただし、図の中にある情報はそれだけではない。2つの二次関数の放物線、2つの一次関数の直線、ある点を支点にしたx軸とy軸に平行な直線、、たくさんの線とたくさんの交点があり、いくつかの三角形が潜む。その中から図形を探し出し、「三角形ABDと四角形HGBDの面積の比は」どのような値になるか、と問われる。ちなみに最終的にその比は6:11になった。
このときに、一義的にだけ覚えている概念は、なかなか取り出せない。というようなことを思った。相似の定義は「拡大・縮小して重ね合わせると二図形が完全に合同になること」だ。しかし、そのとき取り出したかった相似な図形の情報は、「平行線の間にできた砂時計型の三角形2つ」をもとに「相似比から面積比を求めること」だった。さらに過程を詳細に記せば、「関数のグラフ(式)から各点の座標を求めて、三平方の定理を応用して三角形の辺の長さを求めて、相似比を計算する」ことが前段としてあった。
この話をどう収めればよいのかわからないまま書き連ねてきてしまったが、言いたかったことは「概念の定義を知らなければ概念の理解が不完全なものになること」と「概念の定義だけでなく具体的あるいは抽象的な用法も知らなければ応用は容易ではないこと」。当たり前のことを偉そうに書いてしまった気分で居心地が悪いが、ある体験を忘れないための、記憶の変換。

#相似 #181208

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