『とんこつ』#259

主にラーメンのことです。
ラーメンが好きな人って世間にはなかなか多いと思うし自分の周りでは「ラーメン嫌い」と明言する人がいない、あるいは好きな人が多すぎて嫌いと表明できない、そんなケースなんだろうと思うくらいには、ラーメン好きが多い。かくいう私は本心からラーメン好きである。
高校が横浜駅が最寄りだったこともありラーメン食べる機会も多かったし家系ラーメンを食べる機会も当然ながら多かった。家系総本山、吉村家である。
その私は今(さっき)、二郎インスパイア系かなって感じの背脂ウキウキとんこつラーメンを食べていた。
食べながら、「とんこつラーメン」って人によっての想像がイメージが味が、全く変わるよなって思って、昔はこんなことなかったなぁって、遠い目になった。
昔は、私にとってとんこつラーメンって、博多とんこつのような、白っぽくて脂はあまり濃くない、そしてときどきインスタントラーメンの「しょうゆ」「みそ」「しお」「とんこつ」ってジャンルの「とんこつ」でイメージされる、博多とんこつ風なあっさりめのイメージだった。それが今では、さっき食べた二郎系っぽい背脂ウキウキのもやしキャベツてんこ盛りなとんこつラーメンもそうだし、吉村家に代表される家系もとんこつラーメンで少し具体的に言えば醤油とんこつであって、こないだやっと初体験できた池袋の屯ちんについては東京とんこつと称するそれは確かなとんこつラーメンで、初めにイメージがあった博多のとんこつも、九州で同じ島にありながら熊本あたりのとんこつラーメンも、似ていながら絶妙に違うしで、「ラーメン」って大きな括りに「とんこつ」で限定したとは言え、それでも各人でイメージが異なってくるという、途方なさ。
他にはどうかなっていくつか思い浮かんだのは「インドカレー」「スープカレー」「親子丼」「肉餃子」だ。わりとどれも、イメージ自体にはイデアというか、わりとブレない共通項があるんじゃないかと思った。インドカレーなら、ハッキリした黄色い感じで、ライスよりナンが供されるかもしらん。スープカレーならもう札幌で代表される、焼き野菜のヤングコーンとかブロッコリーとかカボチャが大きめに添えられて少し赤みのある水気の多いカレーとライスの組み合わせ。親子丼は、丼系のご飯もののなかでも、鶏肉と玉ねぎ、それが出汁で煮込まれたのちにとろとろの卵でほわっと仕上げられて、白飯の入ったどんぶりに盛り付けられたもの。肉餃子は、まぁ、野菜餃子でも変わらないあの三日月型の形状で、焼きタイプのもので、具にひき肉とキャベツやニラとかそのへんが混ぜ込まれているもの。おおよそ、味の系統は変わらない。バナナジュースとかバニラアイスとかデザートにまで拡大してみたけれど、やっぱり大きくは差異が浮かんでこない。
日本でラーメンはもはや、中華のくくりではないとわかってはいたけれど、「とんこつラーメン」もまた多方面に展開されてさらなる語彙を獲得していくのだなと、多様性と進化を見守る気持ちになった。妙な食事体験だった。広大すぎてとんこつ自体の追求にも及ばなかった。

#とんこつ #180903

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