『モノローグ』#276

英語、monologue、芝居などの独白、一人語り。モノローグ。
独り言じゃなくて、独白、一人語り。ここの差異って、演劇でのことであるかそうでないかっていう、用法の限定であるわけなんですが、ただしそれも概念を読み替えることができる、面白いものだぞという、たとえば仕事からの帰り道に家の近くまで戻ってきたとき商店街を歩きながら「もう八百屋もしまっちゃったしスーパーも閉まっちゃったなぁ、だいぶ遅くなってしまった」と独り言を言ったとしたってそれもある面ではモノローグであると、言えちゃいますよねってことなのです。
どこにでもモノローグは顕れる。
演劇の、舞台の上やテレビの画面のなかでは人物がアップで映されるかあるいは引いた視点で映されるかして、注目を集める。そうして彼は、彼女は、語り始める。
「いったい今日の課長のあの一言はどういう意味だったんだろう、もう、気になって眠れないよ…」
「おお、月よ!星よ!たくさんのまたたく星たちに照らされた木よ!草花たちよ!よく眠れているだろうかい?僕の心は熱く燃えて滾って、あたりを照らし出してしまいそうなほどだよ!
「(明日はついにセンパイと遊園地デートをする日!気合いいれなくっちゃ!)」
当人の心の内を表す明瞭な言葉が、観客に投げかけられながら、当人自身の次の心、体の動きを促す。ひとり、誰へともなく、しかし誰かに届くようにと言葉を放つ。独り言は、自分の口から自分の耳、あるいは虚空へと放つ言葉だと私は思っている。つまり霧消する言葉。一方の独白、モノローグとして語られる言葉は、霧消させて清算するようなことを由とせず、人でなくとも植物や動物にでも、語りかけるように言葉が組まれる。ニュアンスや捉え方の違いだといえばそれきりかもしれない、だが、わたしが今こうして「独り言」と「モノローグ」の違いを書くことにしたって、ただ自分の頭の整理として指から目へ届ける文章を書いているのではなく、一応は自分に似た、日々の言葉や物の中から面白いことを見つけて汲むことに楽しみを覚える人がいると思って、読まれることを意識しながら言葉にしている類の文章としてまとめている。
千文字ぐらいのモノローグ。

#モノローグ #180920

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