『スーパーあずさ』#309

私にとって「幼い頃から名前を知っていて、触れたこともあって、それ自体をよく知っているかのように思ってしまうけれどあまりよく知らないもの」の筆頭。スーパーあずさ。
東京方面と信州方面をつなぐ特急列車で、特急あずさより何かが上のランクなのだとは知っている。紫と白のカラーリングで、特急あずさのベージュと臙脂色のカラーリングから刷新。でも、そのことぐらいしかわからない。特急列車らしくボックス型の席配置で窓際には缶ビールと小さな食べ物を置くくらいのスペースがあって、特急列車らしくドアは車両端部の2箇所だけで、トイレがあって、と、あずさに限ることない特急列車らしい特徴はあるけど、スーパーあずさの特徴はと言われると色と大まかな経路しかわからない。
こういう感じ。
でも、何度か、何度も、お世話になった。白馬のじいちゃんばあちゃんちに行くとき東京からこれに乗って、いや上野だっけ、どこから出たかは覚えていないな、まだ私が清涼飲料水とポテロングを旅のお供にしていたころだ、記憶に残っている部分がほとんどない、だから覚えているのは、乗ったことがある、ということと、そのときには必ず父はいなかった、ということ。じいちゃんばあちゃんちに行くとき普段は、父が運転して車で行く。そうできない、出張とか残業とか?そういうタイミングであったときにだけ、あずさに乗った。少しだけさみしい気持ちが伴う思い出だ。あのころ以来、乗ってない。次回があるかはわからない。
そんななか、ついこのあいだ、線路をゆく列車を見た。カラーリングが変わったようで、大きな面積を占めていたラベンダーかあずきか何かのような淡い紫色は見られず、白っぽくなった。どこかに残ってはいるのだろうけれど、なんだかさみしい気持ちが。
たいした記憶もなければ思い出もなく、たださみしい気持ちを呼び起こす乗り物があるだなんて。もう乗ることは、ないのか。

#スーパーあずさ #181023

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