『東海道線』#88

東京から、小田原、国府津、熱海。この電車が最寄駅を通って走ってくれていることが、とても幸福でありがたいことなのだなと思ったのは最近のこと。いや、2、3年前ではあるけれど、最近として差し支えない歳になったか。
東京駅から、小田原、国府津、熱海。子どもの頃から、「遠くにいける電車がある」、「電車に乗ったら遠くに行ける」、そんなふうに電車への憧れとロマンを宿してくれた、それに、広い日本の途方もなさを思い知らせてくれた。
東海道っていうのが、江戸時代からの街道であると知ったのは小学生の頃の社会の時間だったろうか、いちおうその宿場町であるわけで、東海道線も通るわけで、子どもたちにとっても過去の歴史と自分たちの街が紐付けられると面白く嬉しくあるものであろう。そして、東海道というのは東京駅からの電車のように小田原とか熱海がゴールなのではなくて、もっともっと西の方、遠い方、京都まで続くものだとは知らなかった私はたいへんに驚いた。後々に、旅行に行くようになって京都駅を利用したときのこと、そこにも東海道線があるんだと(いや、京都駅にまで東海道線は届いているのだとはそれ以前に知っていたけれど)驚いたものだった。
大学に入ってから、沼津出身の友達との会話の中で、東海道線の話が出たかと思う(沼津も東海道の宿場町であったんだ)。そのとき彼女は東海道線を「ちゃみかんれっしゃ」と言った。なんのことかわからなかった。聞き直した。「茶みかん列車」と言った。聞き直してやっとわかった。東海道線はオレンジと緑のラインで車体がデザインされていて、その色を沼津、というか静岡の名産でイメージ重ね合わせたのだろう、お茶の緑色とみかんのオレンジ色とで呼び名が作られているよう。
東京から京都まで、端から端まで東海道線に乗ってみたいと思ったことがある。何度も。実現はしていないのだが、その欲望が現れるたび乗換案内を開いて検索している。東京から小田原まで、それから熱海、浜松、豊橋、大垣、米原、そして京都。これは乗り継ぎの一例で、興津を利用したり小田原には止まらず熱海まで直通したりと乗り継ぎ方がいくつもある。1つの名前の電車が、乗り継ぎ駅をいくつももっているということ、それぞれの乗車時間が30分から2時間半まで幅広く、そして乗り継ぎ駅がどうあれ、ひとつの路線として少しずつレールを変えながらも一本繋がっているところに並ならぬロマンを感じてしまう。
こういうことを、よく言う形で「時間のある大学生のうちに」やっていたら日本に関する地理感を少しは養うことができたし、人生観に良い影響も与えられたんじゃないかと思うし、なかなか悔い始めるとキリがない。
大きな世界の有り様を見られる、ということに関して他国に行くことや表に出ない仕事をすること、ポンポンと思い浮かぶものもあるけれど、列車、こと東海道線においてはすごく強大なアイテムなんじゃないかと思う。そう思って今年やってみたいなと考えているところ。

#東海道線 #180316

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